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異世界へすゝめ  作者: 足助
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可能性と不可能性

私は家族を失った。

あまりに突然であった。その日は少し肌寒い風が吹くが心地よい陽が降りそそぐ、よく晴れた日だった。妹や他の学生たちが学校から家へと帰る途中だった。

妹を失った日から私は少し、いや、だいぶ荒れていた。大切な人を失うということは辛い。辛いが故にその穴を何かで埋めたくなってしまう。


「酒だ。酒が飲みたい。」


普段は飲まないお酒をここ数日続けて飲んでいる。

部屋には空き缶や空き瓶が散乱し冷蔵庫の中には少しの食べ物とお酒があるのみだ。テーブルの上には病院で貰った薬が置いてある。


お酒を飲んだ。飲みなれていないのにひたすら飲んだ。

頭が痛い。しかし楽になるような気がする。

冷え切った部屋に1人。

その現実がさらに飲む速度を上げていく。


「私がなにかしたのだろうか!あまりに酷いではないか!」


最後の家族を失った悲しみ。何故自分が生きて妹が死んだのかという意味の無い自問自答を繰り返す。


「…気持ち悪い。」


ぽつりと呟きトイレに駆け込んだ。

嗚咽が止まらない。

アルコールと吐瀉物の臭いで鼻が曲がりそうだ。


「結局妹の同級生達が言ってた"それ"ってなんだろう。」


吐いたら冷静になった。

冷静になった頭でふと思い出した。

なんでもその妹の同級生達が言うには妹の足元が光っていたらしい。光った直後にトラックが歩道に突っ込みそこで妹は亡くなった…はずだ。

普通に考えたら死んでいる。しかし死体がなかったらしい。死んだのは妹とそのトラックの運転手だけだが建物やトラックが大きく破損したためニュースにもとりあげられた。


「人間の足元が光るなんて…馬鹿らしい。」


だがやはり死体がないということに引っかかる。

警察も始めこそ熱をいれて捜査をしていたがやがて打ち切りになった。奇妙だ。


「足元が光り、人が消える…」


昔話では神隠しなんてものがある。が、それは物語の世界だ。だが万が一、神隠しのようなことが起きたとすれば…。


「妹は生きている…?」


限りなくゼロに近いが賭けてみることにした。妹が生きてる可能性に。



矛盾が生じないように気をつけないと…

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