表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
186/194

動乱群像録 186

「なんや……女子おなご同士がええんやな」 

 赤松の言葉に楓が頬を赤らめる。その話を初めて知った明石達はただ呆然と楓を見つめていた。

「そういうわけ。じゃあ別所君、車を」 

 貴子の言葉にはじかれるように別所と明石が走り出した。

「いろいろ大変ですね、嵯峨殿も」 

「まあね」 

 黒田の言葉に嵯峨は大きくため息をついた。

「それにしても……むなしい勝利ですね」 

 魚住の言葉。それを避難するように貴子が振り返った。弟の信念を貫いての死。それを受け止めている彼女には魚住の言葉は軽はずみに思えていた。

「まあ……あれや。人間の人生は一度しかない。ワシも貞坊もそれをかけて動いた。そしてそれに付き合って死んじまった人間がいる。そういう事実は受け止めとかんとな」 

 そんな言葉を言って視線を上げた赤松の前にもうすでに別所のセダンと明石のワゴン車が止まっていた。

「おう、それじゃあワシは別所の車に乗るから……新三と楓は明石のに乗り」 

「俺と黒田も明石のには乗れるでしょ」 

 魚住はそう言うと嬉々として明石の黒いワゴン車に向かう。

「やっぱりたくさん乗れると便利やのう」 

「そのうちパシリに使ってやるよ」 

 明石の言葉に返す魚住。そのまま車止めに止められた車の後部座席の奥へと嵯峨が身を滑り込ませた。

「陛下、助手席の方が広いですよ」 

「いいんだよ。楓、隣に座れ」 

 嵯峨の言葉に嫌な顔をしながら窮屈そうに楓は座席に体を押し込んだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ