表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
163/194

動乱群像録 163

「出撃だ!準備をしろ!」 

 安東はそう叫ぶとパイロット控え室から飛び出した。部下達もそれに続く、そしてそのままハンガーに来た時にようやく異変に気がついた。

 警備兵が整備員に銃を突きつけて整列させている。そしてその指揮を執っているのは艦長の秋田貞義だった。

「何のつもりだ……」 

 そう言うと威嚇射撃がすぐに飛んできた。

「安東大佐。我々はこれから第三艦隊に降伏します」 

 秋田のまじめな表情に安東は顔をゆがめた。

「命が惜しいのか?」 

 秋田は首を振る。そしてその立場も安東には十分に分かった。

 もはや官派に逆転の目は無かった。おそらく今回の逆転劇に一枚噛んでいる親友の嵯峨惟基。あの男を敵に回している以上奇跡は期待できない。そして羽州が官派一枚に染まったとなれば戦後の懲罰はどのような形で彼等の領邦を襲うか分かったものではない。

「降伏は貴様等がしろ。俺は貫くべき信義を貫く」 

 そう言って自分の機体を目指す安東だがその足元に秋田の拳銃の射撃音が響いた。

「大佐はそのまま自室に戻ってください」 

 死んだような目が安東を見つめている。思わず安東は敵意をはらんだ目を秋田に向けていた。

「大佐が動けばさらに赤松准将を怒らせることになります。ですので大佐には……」 

「ごめんだな!」 

 そう叫ぶと身を翻し安東は走り出した。射撃音が響き肩に痛みが走るが無理をしてそのまま控え室の隣の脱出用エアロックに飛び込む。

『大佐!無駄な抵抗はやめてください!これ以上は!』 

 叫ぶ秋田の声がインターホンを通して響く中、安東は大きくため息をついた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ