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動乱群像録 103

 向き直る安東を直立不動の姿勢で迎える教導部隊の生徒達。多くは平民の出で彼らからすれば自分達の行動が平民の権利を制限する戦いになると知っても彼等は安東に着いてきてくれていた。

「貴様等。本当にいいんだな」 

 あと数日で第三艦隊との決戦に挑む最後の模擬訓練。どの顔も緊張と焦りの中静かに安東を見つめてくる。安東の隣でニコニコと彼を見守っていた教導部隊の副隊長の小男がそのままの表情で部下達を眺める。

「大佐。うちにそんなことで大佐を裏切る奴はいませんよ」 

 『そんなこと』。それは秋田との会話のことを指すのだろうと思って安東は苦笑いを浮かべた。ここまで来てまだ上官が迷っている。本来ならそんなことは見せてはいけないと思うことをやってしまった自分に少しばかり恥じ入りながら苦笑いを浮かべる。

「自分達は……ただ安東教官についていくだけです!」 

 五分刈りの頭を振りながら戦闘に立つ曹長がそんな安東の苦笑いに答えるように叫んだ。部下達は誰もが大きく頷き安東の次の言葉を待っていた。

「これから模擬訓練に入る」 

 そう叫んだところでそれまで含み笑いなどを浮かべていた生徒達の表情が引き締まった。それに満足するように頷くと安東は言葉を続けた。

「訓練だと言ってもこれが実戦までの最後の訓練だ。被弾したら死んだと思え、命中させたら殺したと思え。それぞれに死力を尽くし勝利を目指す。これは訓練も実戦も変わらん」 

 ここまで言ったところでシミュレータのセットアップをしていた技官達が現れる。訓示の最中と知ると厳しい表情でこれから各機体のシミュレーション機能を使用しての最後の訓練を行なう生徒達を眺めていた。

「諸君等は今回の戦いでは私の部下として百足むかでのエンブレムを背負うことになる。別にそれは誇りでも権威でもない。ただ俺のエンブレムを背負えば敵もひるむ。面白いことだが俺は赤松の手下連中にはかなり恐れられているんだそうだ。諸君が俺の顔をつぶさない限り相手はいつでもひるんでいると思え」 

 その言葉に生徒達は大きく頷いた。

「それでは各機搭乗準備に向かえ!」 

 この安東の一言で生徒達はハンガーに散った。安東もまた自分の赤黒い機体に向けてゆっくりと歩き出した。


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