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不遇な支援魔術士

作者: Myosotis

もういやだ。

こんなパーティー辞めたい。




「ではいつも通り自分が正面から突撃して注意を引きつけます。」

「そしたら俺が横から攻撃してやるぜ。」

「私は皆が注意を引いている間に詠唱をして大きいのをぶちかますわ。」

「私、皆が怪我したら、治す。」

「俺っちは新しいのが来ないよう注意しつつ援護するぜ。」


俺、テトは皆がそう話し合っている間に支援魔術をかけていく。

重戦士で壁役のロックには耐久や堅牢の魔術を。

このチームのリーダーで大剣使いのカインには攻撃威力を上げる魔術を。

自称大魔法使いの魔術師のマナには詠唱短縮と魔術威力を上げる魔術を。

僧侶のミリーには回復力を上げる魔術を。

盗賊のフィンには索敵範囲増大の魔術を。


「おら、クズさっさと準備しろ。早くできないならお前みたいなクズは新しい技の練習台に使うぞ。」


いや、早くしても俺をサンドバックにするだろ。しかも新しい技とか言って何も変わってないし。さらに練習とか言ってるくせに真剣使ってるなんて馬鹿だろ。魔術使ってなければ大怪我して探索に支障が出るわ。


「戦闘で何も出来ないんですから雑用くらいお願いしますよ。」


おまえらは戦闘以外何も出来ないだろ。俺がいないと荷物運びも解体も出来ないなんて探索パーティーには致命的だろ。


「はぁ、なんでこんなんが私達のパーティーにいるのよ。」


辞められるならいつでも辞めてやるよ。


「何も言い返さない、駄目なやつ。」


何か言っても文句しか言わないだとか話しかけるなとか言うわもう何か言う気にもなれんわ。


「・・・」


こいつは何故かいつも何も言わないな?チャラいからボロクソ言ってきそうなのに。まぁ、言わないならそれはそれでいいんだけど。






「よし、今回も楽勝だったな。」


いや、お前の攻撃じゃ俺の支援が無けりゃかすり傷くらいしか傷は与えられんぞ。


「おら、クズは早く解体しろ。」


うわ、また無駄に傷作りやがって。これじゃ評価が下がるだろうが。皮は傷だらけで火の魔術で焦げてるし、牙や爪も折れたり欠けたりしてるよ。




「よし、次に行くぜ。」

「いや、もうあまり余力も無いし今日は引き返した方が良い。」

「はぁ?まだ大丈夫に決まってんだろ。」

「マナやミリーだって魔力が少なくなってきてるだろう。」

「そんなわけないでしょ。まだまだ余裕よ。」

「そう、お前みたいのとは、違う。まだ、大丈夫。」

「ほらみろ、まだ大丈夫だろ。うだうだ言わず行くぞ。」


はぁ。帰り道のことも考えて余裕を残せよ。最悪を想定して動けよ。











やっぱりギリギリだったよ。複数の奴らに囲まれて焦って攻撃は受けるわ。ほぼ瀕死のやつに無駄に攻撃するわ。途中で魔力が切れるわ。回復優先順位を考えないわ。このパーティー本当に駄目だな。


「なんで私がこんなやつに背負われなきゃいけないのよ。」


こいつ魔力切れで動けないのにうるさいな。お前とミリーが魔力切れで動けないわロックはダメージを受けすぎたわで俺とカインで背負ってるんだろうが。


「あんたじゃなくてフィンかカインがよかったわ。」


フィンは索敵しないとまずいだろ。こんな状況で敵に襲われでもしたらこんなパーティーなんて一巻の終わりだろ。







途中で弱いやつに遭遇したけどフィンとカインで対処できた。

そしてギルドに戻ってきて解体した素材を換金した。やはり買取額はやや低くなっていた。


「今日の報酬はこうだ。」


やっぱり俺だけ皆より少ないな。なんでおまえらの半分程度なんだよ。まぁいい、これで目標金額になった。












よし皆まだ寝てるな。今日早くギルドに行ってパーティーから離脱しよう。

そして王都に行って活動するんだ。王都に行けばあいつらとの関わりもなくなるだろ。

王都への費用と当面の活動費、これだけ集めるまではあのパーティーから抜け出せなかったけどやっと抜けられる。

あいつらにバレないように早く行こう。


「テトはこんな朝早くにどこに行くのかな?」

「フィン!?なんでこんな時間に!?」

「昨日ニヤニヤしてたからそろそろこのパーティー抜けるだろうなと思って見張ってた。」

「俺は絶対に抜けるぞ。邪魔するなら容赦はしないぞ。」

「ああ、違う。止めはしないよ。ついて行こうと思ってるだけ。」

「はぁ!?なんで!?」

「いや、俺っちがあのパーティーに入ったのはテトの能力が高かったからなんとなく入っただけだし。」

「そうだったのか?まぁ、ついてきたいならついてきていいけど金は出さんぞ。」

「テト、金もってないもんね。大丈夫、大丈夫。しっかり金はあるから。」

「うるせぇ。なら、いいけど。とりあえずまずはギルドに行ってパーティーから抜ける手続きをしに行くぞ。」

「りょうかい~。」


元々俺たちのパーティー中堅どころだったけど、俺たちが抜けたらあいつら確実にランク落とすか生き残れないな。あんなやつらじゃパーティー募集したとしても断られるかすぐ辞められるかだろうな。

まぁ、もう抜ける俺たちには関係ないな。











俺は知るよしもなかった。

実はフィンはフィリアという名前で男装している女の子だったということを。

そしてさらに平民ではなく貴族のご令嬢であり家から抜け出して何年も帰ってないということに。

王都に行ってあんなことになるとは俺は少しも想像していなかった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 続きまだですか?
[一言] こんなん続き気になるやろ!!!
[一言] 続き、続きはよ!   バン   はよ バン (∩`・ω・) バン はよ   / ミつ/ ̄ ̄ ̄/   ̄ ̄\/___/ 冗談です。 続きがとても気になるので連載してもらえるとうれしいです。 …
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