純情サディスティック
初投稿につき、お見苦しい点や、ついていけない部分があると思いますが、生暖かい目で見てもらえると嬉しいです。
「好きです、私の奴隷になってください!」
「はい⁈」
「ですから、私の恋人(奴隷)になってくれませんか?」
どうやら聞き間違いではないらしい。こんな事を言い出したのは、我がサッカー部の後輩でマネージャーの桐谷女央(桐谷めお)である。正直に言うと、結構可愛いなとか前から思っていた子である。
「それは…告白、のつもりなの…か…?」
動揺で声が紡げない。
「もちろんです!」
向こうはキラキラとした笑顔で答えてくれる。
「…なんで俺?」
「さっきから質問ばかりですね…」
しょうがないだろう、恐らく世界で初めてであろう告白をされているのだから。
桐谷は言葉を続ける。
「先輩、Mですよね?」
「ナンノコトカワカラナイヨー…」
くっ…逃げるしかないか…!
ガシッ!
腕を掴まれる。
「くっ…殺すなら殺せっ!」
そう、正直俺はMである。気の強い女性は大好きだし、なじられるのも好きである。夜のお供も大体がそういうものである。
誰にも言っていないし、誰に見られたわけでもない…はず。
「なぜ知っている⁉︎」
桐谷は俺の問いに少し言いよどむが、衝撃の事をのたまいやがった。
「えっとぉ…先輩の家、カメラと盗聴器だらけですよ?」
「はあ⁈」
今日は驚いてばかりな気がする。
ありえないとしか思えないが、そうとしか考えられない。
俺はさらに問う。
「桐谷が…やったのか…?」
「当たり前じゃないですか。」
ですよねー…
あまりの即答に声も出ない。
「先輩の家にはトイレ、風呂、先輩の部屋など計13個ずつのカメラと盗聴器がありますよ。」
「多い!多いよ!!!」
桐谷はさらに言葉を続ける。
「私、先輩のこといいな、って思ってて、先輩がMって分かった時に運命を感じました。ずっと先輩みたいな素敵な人が恋人になってくれたらどんなに素晴らしいか、ずっと考えてました!」
そして、とどめの一言。
「で、最初の告白についてなんですが、全部録画してあって全国放送も夢じゃないのですが…受けてくれますか?」
頷くしかないよね、うん。
次の日、一緒に登校しようというかわいい彼女の家へと向かう。桐谷いわく、奴隷が御主人様に合わせるというのが普通らしい。俺の方が先輩なのに…
「先輩、遅いです。7分遅刻です。」
「悪い悪い、こっち方面の道は初めてだから、迷っちまった。」
怒った顔も可愛かった。
謝罪もそこそこに、そんなことを考えていたからだろうか、バチは意外とすぐに当たる。
「それじゃあ、私が御主人様になって初めての命令をしちゃいたいと思います。」
究極に嫌な予感ッ!!!
「じゃーん、今日はこれをつけて一緒に登校してもらいまーす♪」
「キ、キリタニサン…それは…?」
「何って…首輪ですよ?」
ですよねー…
って!
「初日からハードルが高すぎや無いでしょうか?御主人様⁉︎」
いろいろと言葉使いが安定しない。
「まあまあ、先輩のお友達には私の所為ということをちゃんと言っておけばいいじゃないですか。」
いや、一般の方々など障害は多すぎると思われる。
「と、いうわけで、頑張りましょー♪」
ザワザワ…ザワザワ…
「先輩!みんな見てくれてますよ!」
いや、それは見るだろう。首輪をつけた3年生とその首輪のリードをもつ2年生の2人が登校しているのだから。こっちを見ながらヒソヒソ話す生徒たち。
「ふふふっ、みんなが私たちを羨ましそうに見てますよ!私、幸せです!」
うん、正直悪くない。忘れていないだろうが、俺はMだ。かなりやばいとこまできてるが、まあ、まだだいじょう…
「よーう、レイレイ。おは…よ…う…?」
さて、どう処理したものか…
こいつはクラスメートの朝田晃平である。
あ、ちなみにレイレイは俺のあだ名ね。
どうしたものか、一番見られたくなかったやつにしょっぱな出会ってしまった…
迷った挙句、普通に紹介することにした。
「えっと…俺の彼女の桐谷っていうやつなんだ。それでだな…これは…あれだ…気の所為だ。」
「ふふっ、先輩、彼女兼御主人様が抜けてますよ?」
晃平は…
「なるほどね、なるほどね…」
ニヤニヤ顏で俺の方を見ている。
「レイレイ、俺は教室に用事ができたみたいだ。それじゃ、お先ー!」
「まて、朝田!おーい!ぐえっ…」
首輪を忘れ、追いかけようとすると自分で自分の首を締めることになった。
「先輩、私を置いて行こうとするなんてひどいです。でも、朝はこれくらいにしておきます。放課後、一緒に帰りましょうよ。もっと、楽しいことをしましょう。」
まだなにか持ってきているというのか…
「今日は部活が無いので、たくさん遊べますね♪では私はこの辺で。」
桐谷は教室へと向かう。
が、振り向いて言う。
「その首輪、とても似合っているので、外さないでくださいね?」
これはキツい…
ガラガラ
教室に入った俺に突き刺さるニヤニヤ顏と視線。
案の定、予想通りである。
「あぁぁぁあさぁぁぁあだくぅぅうん!!」
どがっしゃーん
「はっはっは、少し遅かったようだね、全てが遅すぎたのだよ、レイレイくん。」
俺の飛び蹴りは見事に躱され、自分から椅子の山に突っ込むことに。痛い。
「さて、皆で冷やかそうではないか!」
大仰しく両手を広げ俺に向かって言う。
「異端審問を開始する。」
そう告げるはクラス委員の貝谷君である。
君もボケ側だったんだね…真面目な子だとおもってたのに…
「米崎玲よ。朝の件について弁明は?」
「…特になにもない。」
「では、証言者朝田晃平、前へ出て証言せよ。」
朝田は前に出る。
「レイレイは朝から御主人様を名乗る可愛らしい女の子といちゃいちゃしてました!」
「ちょっ…いちゃいちゃしてたわけじゃっ…」
弁明虚しく、貝谷君はその口を開く。
「陪審員の皆さん!この者は無罪か、有罪か!」
「「「「「「有罪!」」」」」
さて、逃げるか。命の問題になってきた。
「容疑者が逃げたぞ!」
「追え!」
「生きて帰すな!」
全力の鬼ごっこなんていつぶりだろう。違うのは捕まれば死あるのみということだけである。
「サッカー部舐めんなぁぁぁあ!!」
放課後なう。
捕まりました。そらそうだ、教室一緒だもん。
「さて、この咎人をどうするか。みんなで考えようじゃないか。朝田の証言からすると、相当可愛いらしいじゃないか。」
絶 体 絶 命!
みんなの案がものすごい勢いで出てくる。文化祭の出し物もこのくらい出せばあんなに時間がかかることもなかったのに。どうでもいいことを考えることでしか現実逃避ができない。
「簀巻きにしてグラウンドを引きずり回しましょう!」
いや、痛いってそれ!
「全員でタコ殴りにしよう。」
骨は覚悟するべきか…
「やっぱ、縄で縛って川に捨てましょうか。」
死ぬって絶対。
てんやわんやしていると、恐れていた事態が起きる。
「放課後も遅刻ですか?」
ガラガラ
「それと、先輩を引きずり回すのも、叩くのも、縄で縛るのも全部私の仕事ですよね、先輩?」
女神キターーーーーー!!!
言ってることは恐ろしいが、この場面での彼女は女神に等しかった。
スタスタとこちらまで歩いてくると、そのまま手でも引いて連れてってくれるのかと思いきや__
がちゃん
ずっと付けていた首輪にリードを付け直した。
「さて先輩、帰りましょうか♪」
素晴らしい笑顔で言ってくれやがりました。
俺with首輪スタイルで下校する。
少し歩いたところで桐谷はこんなことを言い出した。
「先輩、御主人様を待たせるどころか、出迎えさせるだなんて、何を考えてるんですか?」
「いや、それは…しょうがな
「しょうがなくないです。奴隷さんなんですから、何があっても私のところに来ないといけないんです。と、いうことで…」
「と、いうことで?」
「罰として、先輩の家に遊びに行くことにしました♪」
家の前。
さあ、大変なことになった。俺の母親は専業主婦。すなわち、家にいる。どうやって鉢合わせしないように入るかだが…
がちゃり
「おじゃましまーす!」
ってオイ!人が真剣に考えてるのに…ッ!
「あら?どちら様?」
悩みの種が出てきたッ!!!
「先日から先輩の彼女になりました、桐谷女央といいます。」
「あらー、若いのに礼儀正しいのね〜。さ、上がって上がって。」
俺抜きで話が進行しているようだ。
親父、男って不憫だな…
in俺の部屋
なんだかんだで、挨拶を済ませ、俺の部屋に入った俺たち。
特に何があるわけでもない。普通の男子高校生の部屋。
桐谷は無造作にベッドに座り、俺は机のいすに座る。
黙っているのもあれなので、こっちから話しかける。
「なあ、この部屋にカメラと盗聴器があるんだっけ?」
「そうですよ?この部屋には3個ずつあります。」
多い!やっぱ多いよ、桐谷さん!
「これからも随時増やして行く予定です。」
これ以上増やしてどうすんの…
「そういえばなんですけど…先輩。」
「なんだ?」
すっごい嫌な予感がする…
「ベッドに座るのに飽きたんですけど…私、先輩に座ってみたいです///」
かわいい!でも言ってること鬼畜!!
「いいじゃないですか、先輩。首輪登校もできたんですし、ちょっとだけでいいので。」
両手を合わせてのお願いはダメでしょ…
「先輩、じゃあ、座りますよ?」
四つん這いになり、後輩を見上げる形になる俺。
どうしてこうなった。
「いきますよー…」
横からひょいと乗ってくる。思っていたよりも軽く、何時間でも乗せていられそうだ。
「へえー、思ったよりしっかりしてるんですねー…ちょっと楽しくなってきました。」
そう言うと、俺の背中の上でぴょんぴょんと飛び跳ねる。流石にキツイ。
「ちょっ、暴れんなって…」
「奴隷さんが御主人様に指図しなーい。」
そう言いながら、俺の上に乗りながら俺の頭を撫でる。
柔らかい手が俺の頭を滑るように動いていく。
桐谷も、俺がおとなしく撫でられているままなのが気に入ったのか、撫で続ける。
そんな優しい時間が過ぎていく…
訳も無く
がちゃっ
「お二人さん、お茶淹れたけど飲…」
おーまいごっど…
そんな状態でも平静な桐谷。
「あ、お義母さん、ありがとうございます。いただきます。」
動けない俺。
「………」
冷静を取り戻すのが早い母。
「あら、血は争えないのね。どう、桐谷ちゃん?座り心地は?」
ちょっ、親父たちもこんなんなのかよ⁉︎
「はい、しっかりしていて座りやすいです♪」
って、桐谷もなにいってんの!
「テーブルも呼んだほうがいいかしら?」
親父…
「いえ、奴隷さんは先輩だけで充分すぎるので。」
もう、どうとでもなれよ…
その後はだいぶ酷かった。
具体的なことは伏せておくが、母さんから鞭を貰った桐谷が暴走し、身体中が赤く染まったことだけ、記しておく。
そして、夕食。
「先輩、お手!ほら、早くしてくれないと私も食べれないんですから、ほら早く。」
……ぽん
「よく出来ました、じゃあ、食べましょう♪」
などというやりとりをしたりした。
「先輩、私、そろそろ帰りますね。御主人様を送ってください。」
たった一日、されど一日。完全に慣れた。
「家までってことだな?」
「はい、もちろんです。」
帰り道、俺たちはくだらない話をして楽しんだ。普通の恋人達も交わすような、普通の会話。楽しかったんだが、少し物足りなかった。
桐谷の家に着く。
「ちょっと待っててくださいね。」
そう言うと、家に入っていく。
5分ほどで桐谷が戻ってくる。
「どうしたんだ?なんかあるのか?」
俺の問いに桐谷はちょっと真剣な顔をした。
その手には小さな何かが握られていた。
「これは例の、先輩の恥ずかしいとこを録画したデータです。」
その手にはUSBメモリ。それを…
バキッ!
桐谷は両手で折る。
「これで、先輩を縛るものは何もなくなりました。改めてお願いです。」
もう一度息を吸い
「好きです、私の奴隷になって下さい!」
俺の問いは決まっている。
「奴隷にしてください、御主人様。」
いかがだったでしょうか?
アドバイスなど、あれば書いていただけると嬉しいです。