幸せカエルと喋る鳥
丁度、雨だった。
それはかなりの勢いで、かなりの長さだった。
カゴの中の春雪は、雨には興味がなさそうだった。エサを食べなくなってから二日。自殺でも図ろうとしているんじゃないかと心配していたが、春雪はカエルだからそれは無いだろう。気分でも悪いのだろうか。
暗いコンクリートで作られた部屋の中には僕と春雪しかいなかった。
濁ったガラスを雨がバタバタ叩き、室内に音を染み込ませていた。
母がテーブルにご飯を用意してくれていたので、レンジで温めて遅い昼食とする。
「春雪。」小さく呟く。聴こえているかは知らない。
「君はご飯食べないの?」
「…。」まあカエルだ。返事は期待していない。
カチャカチャと音をたてながら遅い昼食は進んでいく。昼食はいつも一人だ。
太陽が僕を嫌ってしまったせいで、僕はこの部屋から出れない。そんな時に母が連れてきたのが春雪だ。
彼はカゴに入れられて、不機嫌そうに挨拶してきたのを覚えている。
「ぶぉーんんぶぉーん」確かこんな感じ。
それからというもの、外に出れない僕の話し相手は春雪だけだった。
そんな思い出しの間に簡単な昼食は終わり、僕は少しの眠気を覚える。
どうせ僕には昼夜逆転などという言葉は通じないのだから、すぐ食べて横になると牛になるというのも通じないのだろう。
大きなあくびをして、雨をさっと窓から確認してから、朝起きてから畳まれていない布団に潜り込む。
もしかしたら牛になってる場合も考えられるが、大体そうゆうことがある時は向こう側から何かの予告があるはずなのだから、今日ではないのだろう。
そんなことを考えながら眠りに落ちる。
窓を叩く雨の音はどんどん強くなっていた。