高橋スイッチ【WEB】
高橋スイッチ
姉は裏切り者だ。
わたしたちの心に高橋を植え付けて、あっさり新潟へと嫁いでいった。
突然ですけど、家のメンバー紹介を致しましょう。
お爺ちゃん、克実!
つるっつるです。
お婆ちゃん、瞳!
目の下の黒子が、チャームポイント、
オヤジ、克典。
いつも、どうせ誰も家を継いでくれないんだってぼやいてます。
ママ、真麻。
お腹に妹、翔子待機中。長男が生まれたら英樹ってつけるのといつも言ってます。
絶縁中の姉、留美子。
特にコメント無し。
口うるさい妹、愛。
お姉より先に嫁ぐからねってほざいてます。
わたしが先だっつうの! バーカバーカバーカ!
メンバー紹介も終わったところで、本編スタート!
夕暮れ時急な土砂降りの雨、真っ赤なヒールが石畳の隙間に突き刺さって足首がゴキッてなって、ヒールがポッキリいっちゃって泣く泣くヒョコヒョコ歩いていたら、魔法使いみたいなお鼻の尖ったとんがり帽子のお婆さんにこっちゃこうって手招きされたんです。
中々雰囲気のある占い屋さんだったもんで、こんな状況でしょ! いっちゃいますよね!
黒地に魔方陣の金刺繍の入った、めっちゃほわほわなタオルを差し出してくれた。
見た目と違って優しいじゃん。
有り難くうけとって髪を拭きながら「その水晶で占ってるんですか?」ってたずねると。
「おまえさんにはこれじゃろ」と、赤いボタンに黒い可愛い髑髏が描かれたスイッチを差し出された。
「これなんですのん?」
「おまえさんの中に、高橋が見えるのお」
「えっ(ものほんじゃん!)? 高橋がわたしの中にあるんですか?」
「高橋スイッチじゃ! 覚悟があるんなら押して見るんじゃな」
「えっ(やっぱさっきの嘘、うさんくせえ)! 高橋スイッチですか(なんじゃそりゃ)?」
「ふん……高橋に覚悟がきまっておらんな! ふらふらしおってからに、お前も姉といっしょじゃな」
「はあ? いっしょじゃありませんからね! 全然押しますから! 押せますから!」
ポチッ!
次の日の朝、目が覚めるとそこは高橋の世界が広がっていました。