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第1話 最強のTS幼女騎士「アレックス」

 世界歴410(ようじょ)年。突如現れた魔女「ヨージョカ・スルーゼ」によって人々が無差別に(おさな)(おんな)にされるという事件が起きた。


 屈強な男や老人までもが幼女にされる「呪い」によって……。


 思考までも幼子(おさなご)へと変化させられることに人々は恐怖した。


 しかし。そのような中でも思考を大人のまま維持する意思強き存在もいた……人々はそのような者達を我らの古き言葉で「ロリババァ(救世主)」と呼び、救いを求めた。


 そして、その中でも戦闘能力に長けた(ロリババア)達を集め、組織されたのが我が国最強の騎士団である。


 それが……。


L()oyal(忠実)

O()mnipotent(全能)

L()egendary(伝説)

I()nvincible(無敵)

V()aliant(勇敢)

A()rmor()Knights(士団)



 LOLIVA。通称(TS)『ロリヴァーナイツ』である。



 騎士団は既に幼女化している為、魔女の呪いも無効化できる。1人1人が強き精神を持つ(おとこ)であり、戦士であった者達。


 腕は立ち、思考は大人……まさに最強の騎士団だ。



 ……。



 …。



「だがそんな彼らにも問題(・・)がある。だからこそ、世界中を探し回り、山籠りをしていた君を呼んだのだよアレックス殿」


 キーダ王国のロリス王はその手の本をパタリと閉じた。


 ロリス・キーダ6世。


 民達から圧倒的な支持を誇る賢王。そんな彼から召集を受けた時夢かと疑った。大戦の裏でひたすら魔物と戦い続けた私が、表の舞台に立つことになるなどあり得ないと思ったからだ。


「君の噂……いや、伝説的な活躍は人々に語り継がれていたのでな」


「そう、ですか……」


 威厳ある風格に蓄えられたヒゲ。しかし、その瞳には慈愛の心が読み取れる。そんな彼が、真っ直ぐに私を見る。


「しかし、ロリヴァーナイツの問題とは?」


「強すぎる者達をまとめるには相応の力が必要だ。前任のガーラは彼女達(・・・)をまとめ切れず、その重圧から精神が幼女へ退行してしまったのだ……」


 ガーラ殿……先の大戦で三英傑の1人と言われた彼、いや、彼女ですら扱えぬ者達か……。


「ぜひに頼む。魔女の放った『特殊な魔物』は未だ各地を襲っておる。それを救うにはどうしてもロリヴァーナイツの力が必要なのだ」



 目を閉じる。



 未だ忘れられぬ我が苦しみ。



 私を魔女が襲撃した日、私は幼女となってしまった。魔女め、私がペドリアスドラゴンと戦っている隙を突くとは……。


 あの日から、私は魔女ヨージョカへの復讐の為に生きてきた。



 近くにいた兵士をジッと見つめる。鏡のように磨かれた盾に映る、私の姿。



 金髪、碧眼。長い髪に低い背丈。10代前半のような若き姿。


 そして、特注の鎧を仕立て上げねばならなかった……細い体。



 屈辱だ。鍛え上げた私の肉体がこのような弱々しい姿に変えられてしまうなど……。



「い、いかがされましたか? アレックス様?」


 私が見つめていた盾……それを持つ男性兵士が顔を赤くした。


「いや、何でもない。気にしないでくれ」


 再び王の瞳を真っ直ぐに見つめる。王は、私の顔を見た瞬間、遠くを見るような目をした。



「なんと……可憐な……」



「ロリス王? 私の顔に何か?」



「い、いや! 何でもない! それで、どうかね? 答えの方は……?」



 ロリヴァーナイツの力、そしてその役目。それはやがて魔女を討つ運命へと私を(いざな)うだろう。



 やってやる。これは私にとって人生最大の好機だ。



「分かりました。しかし、私は修羅の道を進んだ者。他者との意思疎通に難があるかもしれません。統率するまで時間を頂けませんか?」



「もちろんだとも! アレックス殿が我が国にいてくれるだけでワシは……っ!? コホン。では頼むぞ騎士アレックスよ。其方をロリヴァーナイツの騎士団長へ任命する!」




◇◇◇


 兵士に連れられ、騎士団の待つ部屋へと向かう。長い廊下では貴族の者達の声が耳に入る。


「アレが噂の?」

「あぁ。世界最強と名高いアレックスだ……」

悪食竜(あくじきりゅう)ペドリアスドラゴンを単騎で倒したと聞いたぞ」

「すごい……綺麗……」


 なんだ? なぜ皆そのような目で見つめて来る?


 尊敬や畏敬の念ではない。どこか慈愛のような……小動物を見るような瞳。


「兵士君。私の顔に何か付いているだろうか? 普段はひたすらに修行をしていてな。こういう風に見られるのはどうも気になってしまう」


「そ、そそそれは! アレックスささささまがとても、その、あの、か、か……」


「か?」


「か、可愛らしいお姿をされているから、かと……」


 兵士が顔を真っ赤にする。まただ。先ほどもそうだった。ロリス王も。貴族達も。皆私を見て顔を赤くする。



 これも呪いの効果か? クソッ。魔女め。



 可愛らしい……か。


 全くもって分からん。



「うぅん……理解できん。私はそのような言葉とは無縁の人生であったからな」


「はい……」


 なぜか悲しそうな顔をする兵士。その顔を見た瞬間、不思議と罪悪感が芽生えた。


「だが、ありがとう。君が私のことを褒めてくれたのだけは分かるよ」


 極力爽やかに見えるよう笑う。これから私は彼らと共に戦うのだ。今までのように1人で戦い続ける日々とは違う。良い関係を気付いておかなくては。


「こちらこそ! あ、ああああありがとうございます!!」


 固くなる兵士の動き。彼は、廊下を直角に曲がると、ある部屋の前で立ち止まる。


「……こちらでロリヴァーナイツの皆様がお待ちです」



 兵士に礼を告げ、扉を開ける。



 ここからだ。



 ここから私の復讐劇が始まる。



 待っていろヨージョカ。貴様を殺すのは、私だ。


 第一話をお読み頂きありがとうございました。新作は最強のTS幼女騎士が騎士団を作る物語となります。


もし少しでも先が読みたい。続きが気になると思われましたら


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どうぞよろしくお願いします〜!

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[一言]  王よ!名前から犯罪臭がします!
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