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6 画伯

来ていただいてありがとうございます。


光星魔法


星の光  星の光をほぼ永続的に留める。ランプや魔法石に応用できる


星の光の癒し 癒しの魔法。最高ランクの魔法使いは死者の蘇生も可能になる。


星の育成  成長を促す。植物、動物。(注)病気の元となる生き物も活性化する。


星流し  幸運を司る。願い事を叶いやすくする。


星の刃 光の刃で攻撃できる。高温の刃。使用者の魔力により威力が異なる。


星落とし 星を落とす。究極の攻撃魔法。使える者は稀。




うーん、読んだ本の内容をとっても簡単にまとめてみたけど、やっぱり私の魔術には当てはまらないような気がする……。星の光の魔法くらいかな?でも、永続的はとても無理。

「前に実験したときは三ヶ月くらいかな?もったの……」


私はペンを置いた。さて、次はあの青い表紙の古代文字の本!こっちはたぶん星汲みの巫女のことが書いてあるみたい。ただ、星汲みの巫女じゃなくて、星の花嫁って読めたんだよね……。花嫁ってどういう意味なんだろう?こっちはもう少し時間がかかりそう。

「…………セレスト」

「えっと、女神様の決めた仕組みで……、星狼族の成長と人間との交流を助ける……、あれ?これって私の持って来た本と内容が似てるかも……?星の一族の王子様と人間のお姫様の恋のお話……」


「セレストっ!」

「わっ!びっくりしたっ!リオン様、本の上に乗っちゃダメですよっ」

「呼んでも気が付かないから……」

リオン様はそう言うと、机の上から飛び降りた。いつの間に私の部屋へ入って来たの?ドア閉め忘れてたかな?

「ごめんなさい。ちょっと集中しちゃってました」


リオン様が初めて喋ったあの夜から、リオン様は巫女の住まいへよく顔を出すようになった。一日中いることもある。あの後、リオン様は私を巫女の住まいへ送ってくれた。今までは喋らなかったのではなくて、喋れなかったのだと言った。良く分からないけど、何か制約か、約束があるみたい。


「カイヤがお茶の準備ができたって、言ってる」

リオン様は私を呼びに来てくれたんだ。でも、女神様のお使い様にこんなことしてもらっちゃっていいのかな?

「ありがとうごさいます。行きましょう」

私は読みかけの本を置いてリオン様と一緒にカイヤさんのところへ行った。





星の泉の神殿での私の生活は大体パターンが決まってきていた。まずは早朝に神殿の掃除とお祈り。それから朝食の準備を手伝って、後片付けも手伝う。それから、巫女の住まいの掃除。これはカイヤさんと分担することにした。それから、昼食の準備の前に神殿へ行ってお祈り。お昼ご飯の後は自由時間。本を読んだり散歩をしたり。


花畑や森にも行ったけど、ちょっと帰りが夕方になったらとても心配されてしまった。それからは、リオン様が一緒について来てくれるようになった。まあ、花畑の方はともかく、森は迷ったら危ないから仕方ないよね。心配させてちゃって悪いことしちゃった……。


遠出をしない日は(こっちの方が多いけど)こうしてみんなでお茶を飲んでおしゃべりする。そう、リオン様も一緒に。そして、夕食の準備を手伝って、夜に星汲みをして女神さまにお祈りを捧げて一日が終わる。あ、寝る前にお風呂に入る!あと少しだけベッドで本も読んで……。ああ、すごく楽しい……!




「そういえば、セレストはコソコソ隠れて絵を描いていたな。何を描いてるんだ?」

リオン様の言葉にお茶を吹き出しそうになった。

「リオン様、見てたんですか?」

いつ見られてたんだろう?

「まあまあ、セレスト様は絵をお描きになるんですか?わたくしにも見せてくださいな」


カイヤさんはリオン様が話すのを最初から普通に受け入れていた。あの夜、私がカイヤさんに慌てて報告したら、カイヤさんは

「あらあら、小さい子の成長は早いですねえ」

っていつも通りのほんわかした笑顔で言った。そういう問題なのかなって思ったけれど、カイヤさんが全く動じてないので私もそういうものかなって思うことにした。何事にも動じないカイヤさんへの尊敬度はまた上昇した。


「絵っていうか、ちょっとデザインを考えていたんです……」

ちょっと恥ずかしいけど、他でもないカイヤさんが見たいならとスケッチブックを部屋から持って来た。実はランプのデザイン画を描きためているのだ。


「私、光を灯すことしかできないし、特に勉強が出来る訳でもないから。ランプ職人になりたいなって思ってて……」

もちろん職を得て自立をするためだ。私はスケッチブックを二人の前に広げて見てもらった。


「………………」

「………………とても独創的ですね」

リオン様は無言。カイヤさんはなんか言いづらそう……。あれ?反応が…………イマイチ?あれ?………もしかしてダメ?


「まだ、先は長い。頑張れ」

「わたくしは商品化されたら、一つ買いますね!」

「…………そんなに励ましていただかなくて、だいじょぶです……」

うう、泣きそう……。


「もう、神殿に永久就職させてもらおうかな……」

私はこのまま、ここで働かせてもらおうかと真剣に考え始めた。

「っ!」

何故か目をそらすリオン様。

「まあ!それは……良いですわね!リオン様っ」

私のつぶやきに今度は反応がいいカイヤさん。何で?







ここまでお読みいただいてありがとうございます。

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