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その後3

〇〇〇  9月10日 トソ小学校


「魔王がなんか言ってたんだって。マイト。何か聞いてないの?」

「何?その話」

「昨日あたりからニュースでやってんだ。魔王がしゃべってたんだって」

「ん?何?みんな聞こえてないの?」

「マイト分かるの?魔王の言葉」

「うん。あんなでかい声で話せば分かるでしょ。みんなには聞こえなかったの?」

「うわ!さすが小勇者!!でっ?魔王は死ぬときなんて言ってたんだよ?」

「え?死んでないよ。最後『貴様だけは、我の手で殺す』みたいなことを言って向こうの世界に帰ったみたい」

「え?じゃあ・・・」


▽▽▽ 9月11日 ネットNEWS「アルス」


 魔王は生きていた!!「貴様だけは許さん」


 トソ大学のリー・ジャック教授によると、マホリンピックの開会式に現れ撃破されたとされる魔王は言葉を発していたことが判明した。その内容は「貴様だけは許さん。人間ごときが」「貴様は必ず我が殺す」という意味の古代魔法言語だった。

 「許さん」「殺す」ということから魔王が反撃を想定しているということが分かる。どうやら魔王は生きていて、再びこの世界の誰かに報復しようとしているのだ。

 ここでいう貴様は誰なのか?

 やはり、小勇者なのか?


▽▽ 9月11日  ウラウラウラネットニュース


 憂者ゆうしゃは公開されるべき


 我々は恐怖のどん底に落とされた。原因は小勇者ことマイトだ。「小勇者」として英雄となったが全世界をだましていたのだ。MSAKとともに魔王を倒し世界を平和にしたと吹聴していたが、魔王はまだ生きていたのだ。

 さらに、未だにこちらの世界に対して復讐をしようと考えているのだ。マイトがいる限り我々の世界は再び魔王に襲われてしまうのだ。MSAKと小勇者マイトは再度会見を開き、謝罪をすべきだ。そして国はより強固な防衛対策を講じ、マイトは国外追放にするべきである。


▽▽ 9月13日 CBSテレビ『ひるベルト』


「ここで中継です。本日小勇者マイト氏が裁判所で任意の聴取を受けるとのことです。

繋いでみましょう。リズさん!」


「はい。こちらアルス家庭裁判所前です。沿道にはマイト氏の国外追放を求めるデモ隊が二百人ぐらいでしょうか?プラカードを持って集まっています」


『マイトうそつき!』『マイト追放!』『マイトうそつき!』『マイト追放!』


「先ほどデモに参加している方にお話を聞きました。VTRをどうぞ」


『怖いです。魔王を倒したなんて嘘ついて、いい汁吸ったんでしょ家族で。どういう教育してるのかしらね?』

記者『魔王を倒したとは言っていないのでは?』

『言ったも同然でしょ。みんな言ってるわよ。早く国外追放して欲しいわよね」


「と、みなさん一様に恐怖を感じ早く追放してほしいとおっしゃっています。現場からは以上です。何かありましたら中継します」


「いやあ現場はすごい人でしたね。冷静な対応をしてほしいと思います。さて、シヤロ弁護士いかがです?」

「はい。マイト氏側の発言を調べてみたんですけど、確かに倒したとは発言していないんですね。ネットの中で暴走した意見のような気がしますが・・しかし、魔王が彼に復讐しようと言ったのは事実のようなので恐怖を感じるのは仕方ないかと」

「法律的にはどうなんですか?追放とか」

「500年前の魔王がいた時代なら王の権限が強くそれもできたかもしれませんが、民主制をしいた現行の法律では難しいですね」

「じゃあ、今回裁判所で聴取というのは何なんですか?」

「ちょっと国の勇み足のような気もしますね。世界を救った英雄ですし、先ほど言った通り嘘をついた訳でもないので逮捕という訳にも行きません。でも、国として事情を知っておきたいというところでしょうか。警察署に呼び出しては犯罪者扱いになってしまう。まあ間をとって裁判所ということでしょう」

「なるほど。あっと中継ですね。マイト氏が到着するようです。リズさん」


「はい。こちら裁判所前です。小勇者マイト氏を乗せた車がもうすぐ到着するようです。来ました。パトカーに先導され黒いワンボックスカーがこちらに向かってきます。あっ」

「どうしました?」

「今、マイト氏が乗っていると思われる車にデモ隊から何か投げられました。車がスピードを上げて逃げようと、

 きゃあっ!

 すみません。今、マイト氏の車がパトカーに追突してしまいました。パトカーは動いていますが、マイト氏の車は動けない様子です。あっと車から煙が上がり始めました。危険です。危険です。


 あっ!今パトカーから警官が降りてきました。マイト氏に降りるように促しているようです。あっ!また何か投げられました。・・・生卵のようです!」


「やめなさい!」

「危険です!やめなさい!」


「警察の方がデモ隊へ注意していますが、生卵だけでなく石なども投げられ始めています。

 あっ!車の向こう側のドアからマイト氏が降りるようです。まず降りてきたのは、金髪の男性、父ジグ氏でしょう。デモ隊の方を警戒しながら出てきました。続いて女性です。黒髪の女性です。マイト氏の母親でしょうか?そして最後にマイト氏が降りてきました」


『マイトうそつき!』『マイト追放!』『マイトうそつき!』『マイト追放!』


ズダーン!


「・・! 今、警官が発砲しました。銃は上を向いています。投石を続けるデモ隊への威嚇射撃だと思われます」


「なんだ。あんなやつを守って俺たちを撃つのか!?」

「まだ刑が決まった訳でも罪が決まった訳でもない!仮に罪があったとしても裁くのは君らじゃない!!」

「うるさい!じゃまするな!!」


「あっ!また、石が投げられます。マイト氏の家族はお母さんを守るように裁判所に入ろうとしています。あ!マイト氏は両腕を三角巾で吊っていますね。魔王から受けたケガでしょうか?

 飛んでくる石などを父のジグ氏が叩き落したり、つかんで捨てたりしています。


 あっ!ジグ氏がバランスを崩して転んでしまいました。母親が歩み寄ります。

 

 あっっ!!!危ない!!えっ!??あれは?!」


「リズさん!?こちらスタジオのミグメです。どうしました?こちらから見えないのですが」


「あ、はい。今カメラが移動しました。確認できるでしょうか?義足に慣れないのか転倒した父ジグ氏にマイト氏の母が歩み寄った所に大人のこぶし大ほどの石が投げられました。

それをマイト氏がケガをしている手で防いだのですが、その手が・・」

「こちらでも見えました!真っ黒ですね!」

「そうなんです。ここから見るに光沢があり、まるで金属のようです。あれが魔王から受けた傷なのでしょうか?呪いのようにも見えます」

「確かにそのように見えますね」


『マイトうそつき!』『マイト追放!』『マイトうそつき!』『マイト追放!』


「デモ隊の声がますます大きくなっています。あの呪われた手を見てしまっては仕方ないかと思います。あぁ、マイト氏の家族はに支えられながら裁判所に逃げ込みました。」


「リズさん。ありがとうございました。噂どおり魔王の呪いなのでしょうか?裁判所は我々の不安を解消すべく判断してほしいものです。では、次のニュースです」



▽▽ 9月15日 『アルス日々新聞』


 罪はない。不安は残る


 9月13日に行われた小勇者に対する事情聴取の結果、国は彼に「罪はない」ものとした。これはそもそも逮捕されていない少年に無罪という言葉は適さないという異例の決着だ。


 一部ネットユーザーから魔王を殺したと嘘を言っているという件については本人、関係者とも一度もそのような発言・発信していないと確認された。


 魔王が復讐に来るのではという不安は残るが、マホリンピックの出場者、つまり世界でも有数の魔法使いが集まったからこそ起こった今回の魔王の召喚は今後起こることはないと予想される。


 小勇者を追放すべきという意見もあったが、「罪がない」人間を追放することはできないという見解だ。また、エルフ国『フレスト』、ドワーフ国『ドウ』の長命の人々には魔王の声は聞こえていたらしくアルス国が今回の件で一喜一憂しているのを憐れんでいるとの報告もあった。


 法的に考えると妥当な結論であったように思われるが、魔王が生きていたという衝撃は大きい。国民の不安が完全に払拭された訳ではない。



〇〇 9月16日 トソ小学校


「マイト、じゃあ3時にネットでな」

「うん。了解・・?」

「あんた、マイト?」

「うん」

「どうした?低学年」

「おまえなんか学校にくるな!」

「・・・」

「お前何言ってやがる。低学年でも許さねえぞ」

「だっておまえのせいでみんな死んじゃうんだろ?」

「そんなわけねーだろ!魔王はもう来ねえよ」

「それにうそつきはいけないんだ」

「ニュース見てねえのか!うそつきじゃないって国が認めたんだぞ!誰がそんなこと言ってんだ!?」

「ママがいってたもん。いなくなればいいのにって」

「どうしようもねーな。いいか。お前この兄ちゃんになんかされたのか?されてないだろ?今、初めて会ったんだろ?名前確認したもんな。ろくに話もしたことのない人間を簡単に悪者にするんじゃねえ!バカ!」

「・・シン。言い過ぎ」

「うわーーーーーん。バカっていったーー」


「どうした?どうした?」

「何?あれマイト?」

「低学年を泣かしてる」

「やっぱりな~」


「マイト!帰ろうぜ!」

「うん」



「・・・あのさ。シン。」

「ん?」

「実は引っ越すことになったんだ」

「え?本当?」

「うん」

「いやだ」

「俺もいやだよ」

「・・なんで?」

「家の方にもいろいろいやがらせがあるし、学校でもだしね」

「オレがなんと・・か・・」

「俺も何かできること考えたけど、ちょっと小学生では厳しかったね」

「どこ行くの?」

「本当は秘密だけどね。シンなら話せる。山奥のMSAKの土地で暮らす。父さんに鍛えてもらうんだ。それで魔王を本当に倒せるようになればいいいかな」

「でも、手が・・」

「うん・・俺一人じゃなくてMSAKの人達と協力してでも倒せればそれでいいじゃない」

「・・帰って来るんだろ?」

「このいやな噂が落ち着いたらもどって来れるかも」

「かもじゃなくて、戻って来いよ!」

「うん」

「オレはいつもマイトの味方だから」

「うん。分かってる」

「よし!じゃあ、今日3時。ネットで」

「ハハ、分かった。そこで詳しく話そう」

「バイバイ」

「バイバイ」


 つづく

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