その後2
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▽▽8月31日 「アルス日々新聞」
マホリンピックに勇者?
8月に開催された4年に一度の魔法の祭典「マホリンピック」の開会式に魔王が出現し、216名の負傷者がでた。実行委員会と警察の発表によると負傷者のうち138名は会場から逃げようとした観客で、転倒などによる軽傷。残りの78名は警備にあたっていた「MSAK」の警備員だ。
魔王が現れたのはマホリンピックの選手と観客が打ち上げた魔力が原因と思われる。MSAKと魔王の激しい攻防の末、魔王は姿を消した。
〇〇〇9月1日 トソ小学校6年教室
「おはよ。久しぶり」
「おはよう。夏休み終わっちゃったね」
「うん。でもあれみた?マホリンピック!」
「魔王が出たって話でしょ?」
「なに?マホリンピックがどうした?」
「何?シンも見たの?」
「見たに決まってるじゃない。なにV’zの「特別な靴底」で魔王が召喚されたってやつでしょ?」
「え?ちがくない?最後に打ち上げた魔力でって話じゃなかった?」
「え?え?そーなの?そういやマイトが開会式に行ってたらしいよ。ケガもしたって言ってたけど連絡が取れなくてさ。来たら聞いて・・・お、ちょうど来た」
「マイト君。おはよー♡」
「おはよー♡」
「あ、おはよう」
「あれ?マイト。何、その手どうした?ケガ?開会式?マホリンピック?魔王?」
「ねえ。シン。何聞いてるか分かんない。ねー♡マイト君?♡でも、手の包帯と手袋どうしたの?」
「うん。肌荒れがひどくて。日に当てないように病院で言われたんだ・・と、触らないほうがいいよ。モカちゃん」
「えー本当?大丈夫?何か困ったことがあったら言ってね。モカ何でもするから」
「うん。まあ、何かあったらね」
「まったくモカはマイトのことになるとすぐこれだ。」
「うるさい!いもシン! ・・!!」
「痛ってえな~。何だよ「いもシン」って」
「あんたがダサい芋みたいだからよ!ねー。マイト君♡」
「ひでーなー。まあ、どうでもいいけど。あーそうだ。マイトはマホリンピックの開会式見てたんだろ?魔王見た?」
「・・うん。見た。けどすぐに逃げたからよく分かんなかったけどね・・」
「じゃあちょっとは見たんだろ?どうだった?」
「どう?って・・・大きかったかな」
「フン。やっぱな。オレの想像通りだぜ」
「はあ・・さすがいもシン。バカだねー。普通それで納得する?マイト君。ケガとかしてないの?腕も大丈夫?ケガじゃないの?」
「う、うん。大丈夫」
「魔王は倒されたんだろ?やっぱマイトの父さんが倒したのか?」
「いや、父さんもケガをしちゃったから。でもみんなで倒したみたい」
「ふーん。MSAKもすげーな。勇者より強いってことだろ?」
「・・うん。そうかもね。」
「あ、先生来た。」
▽▽9月2日 ネットNEWS「アルス」
勇者も復活か?映像に魔王と戦う人影が。
マホリンピック開会式で復活したと言われる魔王。アルス国最強警備会社「MSAK」によって倒されたと発表されたが、MSAK以外に戦った人物がいることが分かった。
マホリンピック開会式を観覧したAさんが撮影したビデオにその人物は映っていた。
その映像には魔王が空間?を破り?(記者にはそう見えた)現れた様子が映し出されていた。「MSAK」の対応は素早く、すぐに様々な武器で応戦するも、魔王の強力な攻撃に大打撃を受ける。その後、小さな人影が魔法を使って魔王に反撃する様子が撮影されていた。Aさんは魔王出現時に危険を感じ、座席の下に潜り撮影をしていたため人影は鮮明には映っていない。「遠かったのでよくわからないが、小学生ぐらいの子どもに見えた」(Aさん)
この小さな人影は誰なのか?500年前の勇者が魔王を倒すために復活したのか。取材を続けたい。
〇〇〇9月3日 トソ小学校からの帰り道
「マイト。ネットニュース見た?勇者。勇者だって」
「うん。そうだね」
「動画も見た?」
「動画見れるの?」
「いろいろ検索すれば、すぐ見れるよ。すげーよ。魔法!」
「どうせCGじゃない?」
「いやっ!あれは本物だね。オレには分かる。勇者いいな~」
「そう?」
「ところでさ。あれ、マイトだろ」
「うん」
「やっぱな。じゃ、コンビニでコロッケ食べない?」
「いいね」
▽▽9月3日 ウラウラウラネットニュース
勇者特定か?MSAK隊長の息子?
マホリンピック開会式で魔王を倒した勇者の正体が特定された。MSAK隊長J氏の息子Mだ。
この小勇者は小学生であることから公式の発表では存在が隠されているようだが、我らがウラウラウラニュースはそんなことは気にしない。善い行いをした英雄なのだから公表されるべきだ。「MSAKは子どもの手柄を自分のものにしようとしているのではないか」と、質問メールを送ったが回答はまだない。真相は明らかにすべきだ。
▽▽9月3日 モカッピのかわいいかわいい日記
マホリンピックで魔王と戦った小勇者がもしかしたら友達かも。今日、学校の帰りにそんな話聞いちゃった。前からかっこいいと思ってたんだよね。〇〇〇君(個人情報だから載せません♡)明日サインもらおっと。
今日は学校の帰り道にあったかわいいペットショップの看板とツーショット。パシャリ♡
〇〇〇 9月4日 トソ小学校
「なんか校門が大変なことになってるな。何?テレビ局?」
「何か、うちの学校に小勇者がいたらしいぜ。」
「え?オレ誰にも・・」
「ああ、シン、おはよう」
「おはよう」
「マイト。ちょっと廊下にきて」
「何、何?どうしたシン。顔が青いよ」
「誓って俺は誰にも言ってないからな」
「うん。わかってる。そのうちばれると思ってたしね」
「あ~♡マイト君♡おはよう。ちょっと~、聞きたいことあるんだけど~。マイト君って~あの小勇者なの~?だったら、ブログに載せていい?っていうか昨日ちょっとヒントをアップしたんだよね。あ、でも大丈夫名前とか顔とかは載せてないから」
「モカ。お前、何したのか分かってんのか?」
「ああ、マイトさんにモカさん登校してきたね。すぐに指導室に来るように。あっマイトは帰りの支度をしてな」
「え~。マイト君、早退しちゃうの~?」
「マイトさん。お母さんからさっき電話があってな。迎えが行くから早退するようにとのことだ。裏の職員駐車場にタクシーが来るそうだからそれに乗って帰りなさい」
「はい」
「マイト君、タクシー乗るの?モカはまだ乗ったことないんだけど~」
「さて、モカさん。このブログは君のものだね」
「はい。そーですけど。先生も登録してくれてるんですか?」
「いや、さっき警察から連絡があって、初めて見たよ」
「ふーん、そーなんだ」
「君はことの重大さが分かっていないようだね。君はマイト君の秘密を世の中にばらしてしまったんだよ」
「えっ、、でも、、名前とか載せてないよ」
「小勇者が小学生ということを発信してしまったし、さらに、この写真に映っている店の看板は学校を特定するのに充分ということは分かるかい?」
「!? で、でもマイト君は良いことをしたんだし、別に迷惑はかけてないし・・」
「マイト君は今からマスコミから逃げて早退するんだよ。君もあのマスコミの数を見ただろう」
「先生。ありがとうございます。でも、まあ、あの感じだとばれるのは時間の問題だったんだと思います。だから・・」
「マイト君、許してくれるの?」
「俺は大丈夫だと思うけど、モカちゃん、この後大丈夫?」
「えっ?何が?」
ガラッ
「モカさん!!あなたも帰りなさい。学校のHPが大炎上しています。あなたのブログもよ!」
「え?」
▽▽ 9月7日 「アルス日々新聞」
昨日、9月6日にアルス国議会内の記者クラブにおいてMSAKの隊員の男性の記者会見が行われた。その中で男性はネット上で拡散されている通り自身の息子が小勇者であり、魔王討伐に大きな役割を果たしたことを認めた。
しかし、息子が小学生であることと学業に支障をきたし始めていることを理由にこの会見を最後に過熱した報道がされないことを望んだ。
以下、質問に対する解答。
Q 小勇者は魔法を使えるのか。
A 使える。幼少の頃から使えたが、魔王との戦いによる怪我で現在は使えない状況。
Q 運動能力が高そうだったが
A やはり幼少のころから運動能力も高かった。息子とはよく運動をして遊んでいる。
Q 小勇者がいなかったら魔王はどうなっていたか
A MSAKだけでも対処はできたと考えているが、さらに長い時間とさらに大きい被害があっただろう。息子には感謝している。
Q MSAKは小勇者の手柄をとろうとしたのでは
A そんなつもりはない。このように息子のプライバシーが侵害されることが懸念されたため、私が無理を言って隠してもらったという経緯である。
Q 小勇者はこれからどうするか
A 答える義務はない
Q 怪我とはどのようなものか
A 答える義務はない
Q ネットには写真なども出ているが、今回特定されたことについて
A 特定された経緯については知っているが、私も息子も特定されるのは時間の問題だったと考えている。また、きっかけになったお子さんも炎上被害に合われている。こちらも未成年であるため誹謗中傷はやめていただきたい。
写真を勝手にネット上に上げられている件についてはMSAK専属の弁護士に対応を依頼した。近いうちにアップした方の所に連絡がいくと思われる。
Q 息子さんは世界の英雄なのでは
A 息子がいなければよりたくさんの方が亡くなっていたと思うし、私自身も命を救われたと思う。しかし過剰に英雄視されるのを親として教育上好ましく思っていない。本人も静かに暮らしたいと言っている。
▽▽ 9月9日 CBSテレビ 『ひるベルト』
「と、まあ、こういった内容の記者会見でしたが、ヌノカワさんいかがですか?」
「そーですね。とても冷静に答えられているなという印象です。ですが、小勇者であるお子さんは素晴らしいことをしたわけですから、何らかご褒美というか、国からお礼というかがあってもいいのではないかと思います」
「そうですね。そうは言っても小学生ですから。いかがですか?シヤロ弁護士?」
「そういったことも含めてそっとしておいて欲しいということなんでしょうね。何でもお父さんは片足を失う大けがをされたそうですし」
「そうですね。MSAKから何かお礼があったかもしれませんが、そっとしておいて上げたいですね。しかし、魔王についてちょっと気になるニュースです。リズさん」
「はい。まずはこちらのVTRをご覧ください」
「・・・マホリンピックの開会式で魔王が復活したときの映像ですよね」
「ミグメさんお気づきになりましたか?」
「いいえ。何かありましたか?何度も見た映像ですよ」
「はい。私にも分からなかったんですが魔法史研究家でトソ大学教授のリー・ジャックさんによると、魔王の声が動画に入っているということです」
「え?そうでした?ヌノカワさん、シヤロさん聞こえましたか?」
「いえ。私には・・」
「私も・・」
「スタジオにいる人は誰も聞こえなかったようですが。リズさん」
「ええ。私にも聞こえないのですがリー・ジャックさんのお話では古代魔法言語で話されているので、ある程度の魔力とこの言語の知識がないと聞き取れないそうです」
「それで、魔王は死に際に何と言っているんですか?」
「それが、まだすべてが分かっている訳ではないようで、『あなた』という単語が入っていることは間違いないそうです」
「それだけでは何とも言えませんね」
「でもこの『あなた』はだれなんでしょうね」
「それもまだ分からないようです。詳しいことが分かり次第この番組でお伝えしていきたいと思います」
つづく




