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追想


ベキベキィッ!

木々が次々と薙ぎ倒されていく。

「ぐっがっ!」


何本目かの木にぶつかった時やっとその勢いが止まって木々を薙ぎ倒していた者は地に伏した。


「よくも我を謀ってくれたな」

「ぐ、ぞっ!」

「ここ最近飽いていたとは言え、主らの誘いに簡単に乗った我も浅はかではあったがな」


満身創痍になりながらもこんな仕打ちをした目の前の者を睨みつける。


同族の中でも異端な存在。

キングの名を冠しておきながら配下を持たない孤高の存在。

そしてオークの特徴的とも言える欲求である暴食。

しかし目の前の者はその特性よりも強い者との戦いを好んだ。


それ故にキングという存在がありながらオークは統率がとれていなかった。

そして各々が自由に動く中でオークの中から新たなキングが生まれた。

それが俺だった。


キングとなった俺は統率のとれていなかったオーク達を支配下に置き徐々に力をつけていった。


しかし少なからず配下を拒む輩もいた。

その原因が異端の王にあった。

配下を持たないからと言ってキングの特性を失っているわけではなかったからだ。


統率されているわけでもなく意にそぐわない輩がいる、それが気に食わなかった。

次第に勢力が拡大し、次は異端の王を自らの支配下に置き全てを手に入れようと考えた。


しかし結果は惨敗。

同じキングの名を冠し、軍勢を率いた自分の方が圧倒的に有利だと思っていたが全く相手にならなかった。

それもたった1人を相手に、だ。


瀕死の重症を負い命からがら逃げ出し、配下は付いて来る者もいたが大半は散り散りになりオーク達は再度統率を失った。


統率を失ったオーク達は欲求に従い各個バラバラに行動を開始した。

しかし壊滅的な被害を受けた後、各々が餌を求めて自由に動いた結果人間達によってその数を減らしていった。

流石に統率もなくバラバラに動いていては人間がひ弱な存在と言えど分が悪い。


例外もいるがアイツらは個では大した強さは無い。

特筆するべきは数と知恵だ。

だから今の状況では無闇に動くべきでは無い。


俺は重症と言う事もあったがその間全く動く事はしなかった。

考えていたのは如何にしてあの異端の王を排除するかだけだった。


人間達に返り討ちに合い逃げ帰ったオーク達は欲求を満たせずついには共喰いが発生した。

しかしこれがオークの減少を食い止める事にもなった。

共喰いした中から新たなキングが生まれたのだ。

異例の3体目のキングだ。


3体目のキングはすぐにバラバラになっていたオークをまとめ出した。

ここぞとばかりに成り立てのキングを服従させ元の勢力を取り戻す事に成功した。


しかしいくらキングが2体になったところで所詮新しいキングはまだ俺には及ばない。

それではあの異端の王を排除する事は出来ない。


そんな時転機が訪れる。

顔を隠した怪しげではあったが不思議な術を使う奴が現れた。

聞けばあの異端の王を利用したいという事だった。

俺は即座にその話に乗った。

どうにか出来るなら何でもよかった。


実際に強い者との戦いを好む性格を利用して誘い込み見事封じる事が出来た。

これで邪魔者はいない。

以前の屈辱も果たし優雅な時を送っていた。


そんな中異端の王が自らの前に現れた。

突然の復活、そして今の現状に至ってしまった。


「ぐっ!」

封じられていたくせに強さは変わっていない。

どう足掻いても勝ち目など見えなかった。


「まぁ主らにそのつもりはなかったのだろうが結果的には誘い文句の通りになった。

その事に関しては礼を言わねばならぬな。

我と互角以上に闘えた者は久々だったぞ」


まさに今の言葉通り、異端の王を誘った文句が強者との邂逅だったのだ。

そんな者を都合よく用意出来るわけもなく罠に嵌める為の嘘だったのだが、今の物言いだとこの異端の王が認めるほどの強者が現れたという事になる。

しかも互角以上と言う事はこの異端の王を退けたという事だ、俄かには信じ難かった。

オークキング2人で挑んでおな歯が立たないコイツとまともに闘える奴が存在するなんて。


「久々に楽しい時を提供してくれたのだ。

それに免じて命だけは助けてやろう、失せろ」


そこからは一目散に逃げ出した。

いつかこの異端の王を超える力を身につけて復讐する為に!


それには餌を得る事だ!

それには人間が1番いい、数もいるしそこそこ活きがいいのも混じっている!


全ての支配下のオーク達に命じる。


喰らえ! どこまでも!

その全てが俺の糧になる!


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