余波です
〜クラウド 視点〜
ゴォッ!
「っ!」
嬢ちゃんがジェネラルに吹き飛ばされた!
「スズっ⁉︎」
「嬢ちゃん‼︎」
吹き飛ばした嬢ちゃんの方へジェネラルが歩を進めようとする。
ジェネラルの拳に柄の部分を当てていたから即死では無いと思うが無事では無い可能性が高い!
ここで嬢ちゃんを失うわけにはいかん!
「おい! こっちはなんとかする! 嬢ちゃんを頼む!」
ランクDの奴にジェネラルの相手をさせるわけにはいかん!
嬢ちゃんの連れが走り出すのを見て歩き出したジェネラルを追う。
「よそ見とは余裕だな!」
こっちを見ずに追撃しようとしていたジェネラルを斬りつける。
「ウゴッ⁉︎」
これで注意がこっちに向いた!
嬢ちゃんの連れの行く道には複数のオークが立ち塞がっている。
アイツにはオーク達は荷が重いかもしれんが今は他に頼る奴がいない!
しかしそれは杞憂に終わった。
複数のオーク達を一撃で屠ったのだ。
おおっ⁉︎
今のは嬢ちゃんと同じ⁉︎
速さは嬢ちゃんに劣るが今のは中々……身体強化に魔力を使うって言ってたな、ランク通りの実力じゃないって事か。
後は間に合うかどうか、か!
ギィンッ!
ジェネラルの斧をスキルで弾きながら進路を阻む位置へと回り込む。
目の前のジェネラルに集中しようとした時異変が起こった。
ビリビリ‼︎
なっ⁉︎ なんだぁ⁉︎
突然背後、嬢ちゃんがいる方向から強烈な圧が発生した。
う、動けねぇっ⁉︎
視線だけを動かして周りを確認するがそれは目の前のジェネラルも同様の様子だった。
しかしその圧は一瞬の事ですぐに身動き出来るようになった。
ジェネラルから距離を取り背後を見るが脅威となる者の存在は確認できなかった。
分かったのは嬢ちゃんが助け出された事だけ。
それには安堵を覚えた。
嬢ちゃんはあの状態だから無いとして、まさかアイツか?
俺やジェネラルの動きを止めるなんざ考えられんが……、いや分からん事を考えてもしょうがない!
今は立て直す事の方が先決だ!
「おい! 無事なら嬢ちゃんと退がれ!
まだ回復薬があるはずだ!」
さっきのでジェネラルだけじゃなくオーク達も萎縮してるみてぇだし、これを逃す手は無い!
「「今が好機だ!」」
「今が好機です!」
各所で同様の声が上がった。
今のは騎士団長とアリシア王女?
そういやアイツらは2人と面識があったな…。
あの異常の後、この切り替えの早さ…何か知ってるな。
まぁスキルの詮索はマナー違反だ。
何よりこっち側に利するんならなんでもいいさ。
〜ザック サイド〜
ビリビリ‼︎
「うおっ⁉︎」
唐突に発生した感覚に身体が強張った。
それは目の前のジェネラルや兵士達も同様だった。
以前放たれた圧と同等…こいつは小僧か⁉︎
ジェネラル相手によそ見してる余裕なかったが、温存してた小僧がスキルを使ったって事は何か切羽詰まった状況になったか?
目視出来る距離にいるがそこまで近くもなかったはずだがここまで響いてくるとは。
相変わらずぶっ飛んだスキルだ。
ジェネラルやオーク達が怯んでるのはいいが味方まで巻き込んでやがる。
距離があるのとすぐに治ったからいいが状況が分かってない奴からしたらたまったもんじゃないな。
だがそのおかげで得たものもある。
多少距離はあるがアリシア王女と視線を交わして頷く。
「「今が好機だ!」」
「今が好機です!」
っ⁉︎
同時に兵を鼓舞する声が上がった。
今のはギルド長か、普通なら混乱するだろう場面なのに流石だな。
「二部隊以上で交代で攻め続けろ!
相手に余裕を与えるな!」
ジェネラルが立ち直ればまた膠着状態になる。
それまでになんとかして数を減らすことが出来れば!
〜アリシア サイド〜
「っ⁉︎」
いま、何かが⁉︎
それに身体が動かない⁉︎
かつて感じた事のない感覚が全身を支配している。
どうして⁉︎ この状況で急に動けなくなるなんて⁉︎
今は戦場のど真ん中。
一瞬の油断も命取りになりかねない。
不安と恐怖が込み上げてくる。
「ヴァウッ‼︎」
「あっ⁉︎」
ビャッコが吠えたと同時に身体の自由が戻った。
今の状態が長かったのか短かったのかそれすら分からなかったが、すぐに状況を確認する。
戦況は変わり無いように見える辺り先程のはほんの僅かな時間だったように思われる。
しかしすぐに奇妙な事態になっている事を知る。
「……動きが、無い?」
兵士やオーク達までその動きを止めている。
先程の自分と同じように。
「これは一体?」
「ヴァウ」
戦場での硬直状態という異常事態に答えを求めているとビャッコが吠えた。
「ヴァ」
そしてもう一声してある方向へ首を向ける。
釣られてそちらを見る。
「あれはクラウドギルド長…」
「ヴァウゥゥ」
ビャッコが首を振りながら吠えた。
「違うの?」
そしてもう一度よく見てみる。
「っ⁉︎ あれは悠生様⁉︎……それにスズさんっ⁉︎」
2度驚いた。
一つは控えていた悠生が前線に1人で出ている事に。
もう一つはスズが助け起こされている事実に。
そして悠生とスズの周りには何か…この場合はオーク達だと思われる者が倒れているのも見える。
そしてスズが立ち上がったのを見て命に別状は無さそうなのを見て安堵する。
「じゃあ先程のは悠生様が?」
「ヴァウ!」
ビャッコが正解だと言わんばかりに吠える。
少し離れた位置にいるザック騎士団長と視線があった。
そして頷いたのを見てこちらも頷き返した。
味方のモノであるならこれを逃す手はありませんね。
周りを鼓舞し動揺しているオーク達を他所に攻勢に出た。




