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離脱です


ジェネラルはまだ健在しているものの戦況は次第にこちら側が優位に傾きつつあった。

クラウドさんとスズのコンビが次々とジェネラルを屠っていき、手が空いた者が他の救助に向かい戦況を支える。


1体1体が十分な脅威なので油断は出来ないが無理に攻めたりしなければ今の状況を持ち堪えるのは可能に思えた。


残りのジェネラルはその数を15体まで減らしていた。

これだけなら完全にこちらが優勢だと言いたいところなのだが途中から控えていたオーク達が進軍しだしたのだ。

完全に優勢と言えない理由の一つだ。


そしてオーク達の大半を押さえているのがビャッコを引き連れたアリシアさんだった。

一対一なら断然クラウドさんとスズに軍配が上がるが一対多となると広範囲で攻撃出来るビャッコが有利だ。


そして優勢と言えないもう一つの理由、それはクラウドさんとスズのコンビだ。

一見して順調にジェネラルを倒しているように見えるが4体目から倒すのに時間がかかるようになっているのだ。


スズの斬撃を大した事ないと決めつけて多少の被弾は無視しだしたのだ。

それはやってる本人達が1番痛感している事だろう。

それでも絶妙に注意を引く辺り流石スズだ。

何と言うか手を出したくなるようなタイミングで動きを止めるのだ。

動きが止まったと言ってもそれはスズの『玉響(たまゆら)』の残像なんだが、分かってても実態と見分けつかないしな。


そして今は6体目。

スズの多少の斬撃は無視するのは変わらずだったのだが、今度は動きを止めたスズすらも無視するようになった。


そのせいで危うくクラウドさんが被弾しかけたところをスキルで迎撃した。


「学習してきやがったか⁉︎」

「ふぅん……そうくるんだねぇ……」


それでも構わずに先ほど同様スズはジェネラルの攻撃を避けながら斬撃を入れ動きを止めた。

今度も同じかと思われた時、動きを止めたスズが動いた。


「一の太刀、『瞬閃(しゅんせん)』」

ズバッ!


「ギッ⁉︎」

完全に無視を決め込んでいたジェネラルが無防備状態でスズの斬撃を浴びた。

しかもさっきまでの擦り傷じゃない。

もう2、3発放てば切断出来そうなぐらい深い。


思いがけない攻撃にジェネラルの注意がスズに向いた。

そしてそれを逃すクラウドさんじゃない。

ジェネラルに致命の一撃を叩き込む。


そして7体目、8体目とまた元のペースで屠っていく。


動きを止めて無視をしたら『瞬閃』、攻撃したら『玉響』。


流石に無防備で『瞬閃』を受けるのは擦り傷じゃ済まずに警戒するぐらいの攻撃と認識されているらしく完全に無視も出来ない。

そしてスズの攻撃も有効とくれば今度はクラウドさんが囮として引きつける側に回ったりしている。


クラウドさんの場合はスズみたくヒットアンドアウェイではなく力技で攻撃を弾いてたけど…。

やられた方からするとタチが悪いとしか言いようがない。


そして10体目の折り返し地点。


ガンッ!


ジェネラルが振り下ろした斧をスズがギリギリで躱した。


何故かそれに違和感を覚えた。

何故急にそこに疑問を持ったのか分からなかった。


その後もスズはギリギリの所でジェネラルの攻撃を躱し続けている。

凄いけどそれにはやっぱり何か違和感を覚えた。

そしてそれは良い予感とは違いどうにも胸騒ぎを覚えた。


何だ? この違和感は?

スズは見事と言うしか無いほど紙一重でジェネラルの攻撃を躱している。

ジェネラルの攻撃が加速しようがそれは変わらない。


……え? ……かそく?

自分で思った言葉に疑問を持った。


待て待て待て! 加速って何だ⁉︎

もう一度よく見る。


ジェネラルの連撃をスズはギリギリで躱しているがジェネラルの動きが速くなったわけでは無さそうだ。

じゃあ何で加速してると思ったんだ⁉︎


さっきまでは順調に2人でタゲ取り合ってたじゃないか………っ⁉︎

そこまで思って気付いた。


スズが反撃できてない⁉︎

あまりに紙一重という見事な躱し方に目を奪われてそこに気が回らなかった!

動きを牽制しなくなってジェネラルが止まる事がないから速くなったと誤認した!


それに今は『玉響』を一度も使っていない!


ガンッ!

ジェネラルの斧が地面を穿つ。


スズは躱して即座に距離を取ろうするが地を踏み締めた時、スズの膝が落ちた。


「あ…」

スズの声が漏れた。

ジェネラルがニィと不敵な笑みを浮かべた気がした。

よく見るとジェネラルが斧の柄を短く持っている⁉︎


そして斧を手放してスズの方向に向かってバックブローのように振り抜いた。


ゴォッ!

「っ!」

それを受けてスズが吹き飛ばされた。


「スズっ⁉︎」

「嬢ちゃん‼︎」


吹き飛ばした嬢ちゃんの方へジェネラルが歩を進めようとする。

「ちっ! おい! こっちはなんとかする! 嬢ちゃんを頼む!」


言われなくてもっ!

クラウドさんの言葉にスズに向かう事で答える。


その行く手をオーク達が塞いでくる。

「邪魔だ!」

3乗、『瞬閃』!


接近したと同時に斬り捨ててスズの元へ急ぐ。

その間にも倒れているスズにオークが群がろうとしている。


間に合わない⁉︎

その光景に餌食になった人達の姿がフィードバックした。


ふざけんなっ!

スズをそんな事にさせるかっ!


ミク! 4乗‼︎

《了解です》

溢れる魔力を周囲に撒き散らした。


4乗を発現した時の魔力の余波は制御出来ない。

周囲にいる人も魔物も全てを巻き込んでその動きを止めた。


おかげでオークがスズに到達する前に辿り着く事ができた。

即座に3乗の『瞬閃』でオーク達を斬り捨てる。


「スズ! 大丈夫かっ⁉︎」

「……っつ!」


声をかけるとすぐに目を覚ました。

「いったぁ〜」

「おい動いて大丈夫なのか⁉︎」


立ち上がろうとしたスズに声をかける。


「大丈夫、見た目ほど酷く無いから……」

動き出したスズに手を貸して上半身を起き上がらせる。

スズが周りを一瞥する。

そこには一撃の元斬り捨てられたオーク達がいた。


「……心配かけちゃったねぇ」

そう言いながら口から流れる血を拭った。


「無茶すんなよ」

「ごめんねぇ、とお?」

「お、おい⁉︎」

立ち上がったスズがよろけたのを慌てて支える。


「っ⁉︎」

支えているスズの体が小刻みに震えている。


「あ〜あ、バレちゃった」


隠せないと思ったのかスズがそんな事を言った。

さっき上半身を起こした時は震えて無かった。

そして吹っ飛ばされる直前の動き……。


「……足か?」

「ちょっと頑張り過ぎたかなぁ。

『玉響』って連発するモノじゃないからねぇ」

「いつからだ?」

「6体目辺りかなぁ」


6体目……スズが攻勢に出始めた時か!

有利に見えて実は節約してたってわけか。


「ったく、こっちまで欺いてどうすんだよ」

「ごめんってぇ」

「おい! 無事なら嬢ちゃんと退がれ!

まだ回復薬があるはずだ!」

クラウドさんがジェネラルの相手をしながら声を飛ばして来る。


「ってことだ、歩けるか?」

「なんとかぁ」

俺はスズに肩を貸しながら門の方へ退がって行った。


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