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本物です


クラウドさんとスズの活躍で戦況を盛り返した。

今の所順調にオークの数を減らせていると思われる。


まだ気分がすぐれないがどうにか立ち上がれる程度にはなった。

その間ずっとアリシアさんが気遣ってくれていたのだ。


住む世界が違うのは分かっていたが本当には理解していなかった。

ここの人達にとってこういう事は常に有り得る出来事だという事。


だから最初は慣れているのだと思った。

でもそれはとんでもない勘違いだった。

気遣ってくれながらビャッコに呼びかけるアリシアさんの声が涙声になっていたからだ。

それも一言二言ぐらいだけだったがその後はそんな素振りは全く見せなかった。


下を向き俯いているだけで事態が好転する事が無い事をよく知っているからこそ目を背けずに出来る事をするのだと。

そう言われた気がした。


大丈夫とは言えないがいつまでもアリシアさんに心配をかけたままというわけにはいかない。


「ギルド長少し退がって下さい!

代わりに俺達が出ます!」

「分かった任せたぞ」


最初に前線に出ていた冒険者達が戦線復帰してクラウドさんが素直に受け入れた。


疲れてるのは事実だと思うけど今までを見てる限りだと退がってと言っても素直に聞きそうに無いと思ってたんだけど…。


「意外、ですね?」

「ん? 何だこっちに出て来てたのか…というより顔色悪りぃぞ?」

「…大丈夫、です」

「そうか……で、意外ってのは何がだ?」


クラウドさんは何かを言おうとしたみたいだけど言葉にはしなかった。

というより俺、そんなに具合悪そうなのか?


「素直に退がるとは思わなかったんで」

俺は思った通りの感想を言ってみた。


「ああ、普段ならそれでもいいんだが…」

「ふぃ〜、疲れたぁ〜」


クラウドさんの言葉の途中でスズもこっちに退がって来た。


「あれ? スズも退がって来たんだ?」

「旦那が休んどけって言ってくれたからねぇ。

そりゃあ〜お言葉に甘えるしかないよねぇ」


…あ〜うん、まぁスズはそうだよね。


「嬢ちゃんやっぱり大したもんだなぁ。

その調子で次も頼むぜ」

「……次?」

「言いかけだったがそれが理由だよ。

こんだけのオークの軍勢だ、間違いなくさっきの進化した奴じゃなくて他にコイツらを率いてるジェネラルがいる」

「え⁉︎ そうなんですか⁉︎」

「ああ、間違いないだろうな」


しばらくの後クラウドさんの言葉が現実となった。


「…ホントに出て来た」

オークの倍ほどの大きさに青い体躯。

そして今度は素手ではなく体格に見合った盾と斧を持っていた…………それも複数。


「笑えねぇな…ジェネラルが20体とか……何の冗談だ」

「うへぇ〜、しんどそ〜」


クラウドさんと違ってしんどそうで済ませられる辺り流石スズだな。


「複数で当たれ! 無理して攻めるな!」

「隊列を乱すなよ!」

クラウドさんと旦那の声が響き渡る。


「各個撃破が常套手段だが何人無事でいられるか……、嬢ちゃん休憩は終わりだ、出番だぜ」

「クラウドギルド長、私達も出ます」

「ヴァウ!」

「王女様を前線に立たせるなんて気が引けるが、そうも言ってられんしな。

後からの騎士団長様からの小言はこの際我慢しよう」

「皆様御武運を」

「行ってくるねぇ〜」


約1名軽いノリが混ざってるが各々ジェネラルに向かって行った。




〜ザック サイド〜


「マズイな…」

ザックから見て騎士団、冒険者達もジェネラル相手によくやっている。


今の所各隊で分断出来ているから持ち堪えている。

が、戦況は芳しく無い。

持ち堪えているだけでは勝つ事は出来ない、いずれ押し切られる。

しかし現状守るだけで決定打に欠けていた。


幸いなのはジェネラルが出て来た事でオーク達が退がった事ぐらいか。


「団長! このままだといつまでも持ちませんよ!」

「分かってる!」


ガキィッ!

ジェネラルの斧を複数人で受け止めているのが精一杯でそこまで手が回らない。


反撃に転じても向こうにとってはかすり傷程度。

割に合わねえ!


向こうからしてもじれているのか今度は盾の方で殴りかかって来た。


「退がれ! スキル『バーサーク』!」

ガギィッ!

盾の一撃を強化した状態で受け止める。


「くそっ! 互角かよ!」

「団長っ⁉︎」

「よそ見すんな! 来るぞ!」

ザックの目に斧を振り上げる姿が目に入った。


くそっ! こっちの力が弱まってねえ!


「うわっ⁉︎」

「ビャッコ払って!」

「ヴァウ!」


ギィッ!

巨大化したビャッコの爪がジェネラルの斧を弾き返した。


「大丈夫ですか⁉︎」

「ア、アリシア王女⁉︎」

「ここは私とビャッコが支えます! 今のうちに体勢を立て直して下さい!」

「は、はい!」

「ビャッコ撃って!」

「ヴァウッ!」

ビャッコから放たれた雷がジェネラルを捉える。


「グゥ…」

ジェネラルが体から煙を上げているが倒れる気配は無い。

しかし兵達が引く事は出来た。


「アリシア王女、言いたい事はありますが助けてもらった事、感謝します」

「ザック騎士団長、これが終わればいくらでもお聞きしますよ」

「そりゃあ頑張らないといけませんね」


この状況で小言を言うほどザックは読めないわけじゃない。

それに心配はするがアリシア王女のビャッコの実力は知っている。

物理的な実力だけなら自分と同等、総合的で言えば遠距離も出来るビャッコの方が上だ。


ここで崩れればどちらにしろ王女が危険になる。

むしろ加勢して貰っている今の方が安全なぐらいだ。


フリード王が見たら卒倒しそうだが。


チラリと他の戦況を見るが、ギルド長と嬢ちゃんが参戦したおかげで若干手が空いた人員が他のジェネラルを相手にしている。


1人でジェネラルの相手してる辺りあの2人は大概だがそれは現状では非常に頼もしい。

おかげでこっちに専念できそうだ。


なんとか数を減らさないとあの2人でもこの数は厳しいだろう。

進化したてと元々ジェネラルだった奴とでは強さが違う。

今の方が遥かに厄介なのだから。




〜スズ サイド〜


「厄介だねぇ」


ドオッ!

ザシュ!


斧が地面を叩く音に続いてスズの斬撃がジェネラルの腕を捉える。


ブォンッ!

そんな事はお構いなく今度は盾を地面スレスレに振り抜いてくる。


「いや〜、ソレそんな使い方じゃないでしょ」


一撃で致命傷だろうジェネラルの攻撃をツッコミを入れつつ躱す。

躱しながら斬撃を叩き込んでいるのだが、ジェネラルの肉の壁により致命傷にならずにいた。


「擦り傷程度じゃ止まってくれないかぁ。

コイツさっきのより強い……」


倒れるまで斬りつけるのも一つの手ではあるがそれは中々時間が掛かりそうではある。


周りを見るが皆苦戦中の模様。

その中で自分と同じで1人でジェネラルを相手にしている人物を見つけた。

ギルド長のおじさんだ。

ジェネラルとまともに斬り合ってる…けど……、あちらも苦戦中…っと、場所はここから1番近い…。


ん〜……よし!

まずはこっち側の気を引かないとねぇ。


そこからジェネラルの攻撃をギリギリで躱しながら斬りつけるを繰り返し徐々に後退して行った。




〜クラウド サイド〜


やっぱり進化したての奴より強いか。

予想はしてたがやってみると厄介だ。


一撃一撃がこっちのスキルと同等の威力。

相殺するだけで手一杯と言わざるを得ない。


せめてまともに当てる事ができればなんとかなりそうなんだが…。

他はさらに防戦一方、打ち合えてるだけまだマシな方だった。


ガギィン!

斧と剣が激しくぶつかり合い両者弾かれる。


ったく! こうも体勢崩されちゃ次に繋げらんねぇ!

かと言って手を抜いて攻めたとしても盾で阻まれる。


どうにかして数を減らさない事にはどうしようもないんだが、このまま続けても負ける事はないが他が保たん……ここは無理してでも仕留めるべきか……。

と思った矢先。


「ギルド長のお〜じさん」

「は?」


聞き慣れない呼び方に一瞬唖然となる。

そこにいたのはつい最近知った嬢ちゃんがいた。

敵意が無さすぎて全く気付かなかった。


凄いと言えば凄いのだがそれよりもさっきまでジェネラルを相手にしてたはずなのに何故ここに⁉︎


「えへへ〜、連れて来ちゃった」

「何?」


背後を見るとこちらに小走り気味でやってくるジェネラルがいた。


「ちょっと待てぇーっ!!?」

「まぁまぁそう慌てなさんなって、ちょっと待っててねぇ」


そう言うと近づいてくるジェネラルではなくこちらが相手にしていたジェネラルの元へ移動した。


「お、おい⁉︎」


ジェネラルが振り下ろした斧を躱し、腕を踏み台にして顔面を斬りつけた。

「グォッ⁉︎」


擦り傷程度ではあったが癇に障るぐらいにはなったらしく無茶苦茶に斧と盾を振り回し始めた。


次第に追いついて来たジェネラルも混じって嬢ちゃんを攻め始めた。

それでもヒラヒラと躱しながら今度は2匹のジェネラルを斬りつけていた。


「おお〜、凄えなぁ」

その様子に思わず声が漏れた。

さっきまではどうやって当てるかを考えていた自分には2匹を相手に躱しながら当て続けるのは無理だ。


……つっても躱す事はできても決定打にかけてるってとこか。


そしてそれは唐突に終わりを告げた。

2人の注意が完全に向いた時、嬢ちゃんが得物を構えて動きを止めた。

その隙を逃さないとばかりに2人のジェネラルが襲いかかるが、それでも嬢ちゃんが動く気配が無い。


そして二つの斧が同時に振り下ろされた。


「おい⁉︎ 何やってんだ⁉︎ 避けろっ‼︎」

ドドォッ!

振り下ろした斧が地面を穿った。


微動だにしなかったように見えたはずの嬢ちゃんは構えをとったままその場に立っていた。


「躱した…のか?」

正直あの場から動いたようには見えなかった。

しかし現実には嬢ちゃんはその場で構えた姿勢のまま立っている。


「そうとも言うしそうじゃないとも言うかなぁ」

「なっ⁉︎」


突然後から聞こえた声に耳を疑った。

「静かにねぇ、声出してあっちに気付かれても困るから」


振り返るとそこには嬢ちゃんがいた。

ジェネラルの方を見るとなんとそこにも嬢ちゃんが構えをとったまま存在しており、ジェネラルが幾度も斧を振り下ろしていた。


「こいつは一体どうなってんだ?」

「まぁまぁ、それは置いといてこんな感じで引きつけとくからキツいのお願いねぇ」

「説明してる場合じゃないのは分かるから今はそれで納得しておく、そう言う事なら任せておけ」

「よろしくぅ〜」


それだけ言い残し嬢ちゃんはジェネラルの方へ向かって行った。

それと同時に向こう側の嬢ちゃんらしきものの姿が消えた。


実態が無さそうなところを見ると幻術や残像の類か。

若いのに大した嬢ちゃんだ。


完全にジェネラルは向こうに集中してるな。

そうとなれば早速やらしてもらおう。


ジェネラルの背後を取るのは恐ろしく簡単だった。


嬢ちゃんがこちらの動きに合わせて注意が行かないように動き、視線がこちらを向きそうな時は反対の方向を斬りつけ注意をそこに向けさせていた。

ただ避けるだけだったならおそらく気付かれていただろう。


こちらが十分な距離で死角に入った時、嬢ちゃんの動きが止まった。


なるほど、さっきのに合わせろって事か。


2匹のジェネラルが嬢ちゃんに斧を振り下ろすが、斧は当然の如く嬢ちゃんをすり抜ける。


地面を穿って動きが止まったところをスキルを叩き込む!

「スキル、『剛剣』!」


ズバッ!

「グゥオッ⁉︎」


スキルの一撃がジェネラルの腕を斬り落とす。

斬り落とされた腕を押さえて盾を手放した。


そこを逃さず次はスキルで片足を切断する。

「ギィッ⁉︎」


その間もう1匹のジェネラルは嬢ちゃんが引きつけている。


片手片足を同時に失ってジェネラルが体勢を崩し倒れてくる。

首を狙うには良い高さだ。


そして難なくトドメをさせた。


ジェネラルをここまであっさり倒せるとは…、と言ってもまだ数はいる。

今もまだジェネラルの相手してくれてる嬢ちゃんに加勢して次に向かわなねぇといけねぇからな。


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