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第二波です


カァンカァンカァンカァン!

非常事を知らせる鐘の音が街に響く。


まだ姿こそ見えないが砂煙がだいぶ王都に近づいて来ている。

話の通り大型が攻めてくるならそろそろ目視出来てもおかしくない。


城壁には王国の魔法師団が待機しており、門を出たところでは冒険者と騎士団が迎え撃つ準備をしていた。


そしてついにその時が来た。

距離はまだあるが先頭にいる魔物の姿が確認出来た。

それだけやってくるのがデカいという事にもなるのだが。


「迎撃用意!」

アリシアさんの言葉で魔法師団が一斉に詠唱に入る。


「撃って下さい!」

群が確認出来た距離でアリシアさんから号令が入る。


魔法師団が声を揃えて発声する。

「「エクスプロージョンっ!」」


ゴウッ!!


放たれた一筋の光が魔物の群に向かい着弾と同時に爆発が起きた。


爆煙が巻き上がり煙が晴れると直撃を受けた魔物で動く気配は無かった。

て言うかクレーター出来てね?


その現象に直撃を免れた魔物も戸惑った様子を見せた。


「足が止まったぞ! 今のうちに叩くぞ!

ただし全員で行くなよ! 交代要員は残しておけよ!」

「こっちも行くぞ!」

「「おおおおおっ!!」」


クラウドさんと旦那の声で一部を残して冒険者達と騎士団が我先にと突っ込んでいく。


今はする事が無いので俺は門のところでその様子を見ていた。


「集団魔法とはね…王国も中々やるもんだなぁ」

「集団魔法?」

「複数人で一つの魔法を行使するんだよ。

俺はそこまで魔法に詳しく無いから細かくは説明できんがな。

そうだなぁ……言ってみりゃパーティ戦みたいなもんだ」


パーティ戦?

分かりやすく言ってくれたのかもしれないが生憎こっち側の常識には疎い俺だ。

考えてみてもいまいちピンとこなかった。


「役割を分担しているんですよ」

「アリシアさん!」


考えている俺の後ろから声をかけられた。

その後にはスズも付いてきてる。


「そういうことだ。

前衛、後衛、支援みたいなもんだな。

1人で無理でもパーティ組んで高難度の依頼にあたるのは一緒だろ」


なるほど、そう言われれば的を得てる言い方ではあるな。


「口で言うほど簡単な代物じゃないんだがな」

「そうなんですか?」

「そうですね。

1人で出来ない規模の魔力を調整するので下手をすると暴発する可能性もあります」

「いっ⁉︎」

「だから相応の練度が求められる。

リスクはデカいがその分結果は見ての通りだがな」


大型の魔物達は浮き足立っている奴もいればクレーターを避けて進軍してくる奴もいた。

分断された形になった魔物達はそれぞれ冒険者と騎士団と交戦に入っている。


こっちの都合の良いようになっている。

少しするとクレーターから飛び出してくる奴の姿があった。


「大型が中心だからと言って小型中型がいないとも限らない。

この状況だと中型以下がこっちにきそうだな」


飛び出してきたのは数匹。

全身黒い体躯の四足歩行の魔物。


「黒狼か…、流石に大型の群の中にいるだけあって柔な奴じゃないみたいだな。

お前さんは下がってな」


そう言ってクラウドさんが大剣を担いで黒狼に向かって歩いていく。

黒狼はまとめて襲いかからずにそれぞれが好き勝手にこちら側に向かっている。

そのうちの1匹がクラウドさんへ襲いかかった。


「ふん!」

「ギャウッ⁉︎」


まさに一刀両断。

何もさせずただの一撃で仕留めた。


「お〜い、そっちにも行ったから頼むぞ〜」

そう言いながらクラウドさんは別の黒狼を始末していく。


「ビャッコ!」

「ヴァウッ!」

アリシアさんの声にビャッコが応え、ビャッコから雷が黒狼に向けて放たれた。


「「「ッ⁉︎」」」

黒狼は悲鳴を上げることすら出来ずに雷に打たれていく。

しかしそれでも潜り抜けてくる奴もいた。


「こっからは通行止めだよぉ〜」

「ギャッ⁉︎」


緩い声の後に悲痛な声が続く。

スズが近づく者を即座に斬り捨てて行く。


そうして黒狼達は3人(2人と1匹)によっては瞬く間に殲滅させられた。


「肩慣らしにはちょうどいい感じだな」

「ワタシはもう十分動いて来てるから早く休みたいけどねぇ」

「休ませてやりたいとこだがそうも言ってられないんでな、ほら次が来たぞ」


冒険者側と騎士団側どちらからも大型の魔物が突破して来ていた。


「俺は冒険者側に回る、嬢ちゃんは騎士団側を頼んだ。

アリシア王女、それでも抜けて来た奴は頼みます」

「お任せ下さい」

「しょうがないなぁ〜」


クラウドさんとスズの2人はそれぞれ別れて抜けて来た大型の魔物へ向かって行った。


クラウドさんは一撃で次々と致命傷を与えていき、スズの方は足を狙い歩行不能に追い込んで行く。

やり方は違うが相手が動けなくなれば止めを刺す必要は無い。

要は王都に被害が出ないようにすればいいからだ。


何体か抜けて来てはいるがこっちまで来る事なく対処出来ている。

ちょっと抜けてくる数が増えている感じはするが。


「ぎゃあーっ!!」

そんな感想を持っていると冒険者側から悲鳴が上がった。


魔物が一斉に抜け出して来ていた。

「負傷した奴は一旦退がれ!」


クラウドさんが即座に対応に回るが小型と中型の魔物が散らばってこちらに向かって来た。


「ビャッコッ! まとめて撃って!」

「ヴァァァウッ!」

ビャッコから雷が放たれるが全てを捉えきれずに逃れた魔物がこちらを避けるように抜けられてしまう。


まずっ!

バラバラ過ぎて追いつかない!


後方に控えていた交代要員が門の前で対処しているが数が多い!

ドオォォンッ!


と思った矢先、大型の魔物が何かにぶつかったかのような音が響いて弾かれた。


「えっ⁉︎」

弾かれた場所には何も無い。


「止まるな! 今のうちに仕留めろ!」

クラウドさんからの活で戸惑っていた後方が動き出した。


理由は不明だがチャンスなのは間違いない。


「前衛が押されて来てる、そろそろ下がってた方がいいぞ」

「今のは一体?」

「戻ってみれば分かるさ、間に合ったんだろ」


よく分からなかったがクラウドさんの言葉通り俺は後方に下がって行った。


先ほど魔物が弾かれた場所を通り過ぎるが特に何かあるわけでもなく門の前までやって来る事が出来た。


「何も……無い?」

俺が首を捻っていると聞き覚えのある声が聞こえた。


「苦戦しているみたいだね」

「ロゼさん!」

「アンタに持って来てもらった魔石で結界を張らせてもらったよ。

本当は王都全体を覆う予定だったけど、来る方向が分かるなら話は別だ。

こっち側に集中して展開してるから多少の無茶は効くよ」


ロゼ婆さんすげぇ!

クラウドさんが行けば分かるってのはこの事か!


「でも大型の魔物の突進はそう何度も保たないから後は任せたよ」

「それでも大助かりです」


正直今みたいに散らばられると困る。

まだ向かって来るのを防ぐ方がいい。

それにさっきので負傷者が出たので手当の手伝いをする必要もある。


結界で安全になったとはいえこの数は厄介だ。

少しでも戦線復帰出来る人員を確保しなければ。


「また抜けて来たぞ!」

「近づけるなっ!」


負傷者の手当の手伝いをしていると門の方から声が響いてくる。


城壁の外周からは魔法師団が援護射撃を行い、後方に控えていた冒険者と騎士団がそれぞれ交戦している。


「次が来るぞーっ!」

迎撃しても次々とこちらに抜けてくる数が増えて来ている。

流石のあの3人でも向かってくるならいざ知らず、逃げてこっちに向かって来る魔物までは防ぎきれない。


「にぃちゃんもう大丈夫だ」

手当をしていた冒険者の男がそう言って立ち上がった。


「いや! 腕折れてますよ!」

木で固定しただけの右腕はだらんとしている。


「邪魔にならなきゃ十分だ。

にぃちゃんは他の奴を頼むぜ」

そう言って門の方に向かって行った。


カァンカァンカァンカァン!

「えっ?」


そして非常事を知らせる鐘の音が街に響いた。


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