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ダンジョン探索です④


手には直前に握ったスズの手の感触。

光が収まってやっと目を開く事ができた。

見た所俺とスズにおかしな所はなさそうだが。


「なんともないか?」

「だいじょぶみたい」


ひとまず異常が無い事に安堵し周りの様子を見る。

フロア内は先程と似た作りのようだが、決定的に違うのが広さだ。

さっきの3倍ぐらい広いフロアになっている。


どうやら予感は的中したみたいだ。

直前に見た六つの光点。

俺の『配達』のマーキングと酷似していた。


転移トラップ。

ダンジョン内にあるっていうのは聞いた事あったがまさか準中級って言われてるダンジョンで出くわす事になるとは…。


「……にぃさん、この部屋……出口が見当たらないんだけど?」

「は?」


言われて隅々まで見渡す。

確かに四方を完璧に壁に囲まれて出入り出来る場所が無い。

マップも確認して見るがそれらしい場所は無い。


「閉じ込められた⁉︎」


ポン!

そんな時お知らせを告げる電子音が響いた。


「「っ⁉︎」」

俺のマップがある位置に映像が可視化して声が聞こえてきた。


[悠生様達はまだ戻っていませんね]

[はい、予定より早かったみたいです。

ですが保険をかけてくれたみたいでこの会話は伝わっていると思います]

[わかりました。

こちらはすぐに迎撃体制をとりましょう!]


それだけ流れると映像は終了した。


「にぃさん今のは?」

「いや念の為、旦那になんかあったらアリシアさんと2人で会話してくれってお願いしといたんだよ。

まさかこんなに早くなるとは…」

「まだ魔石集まって無いよ、戻る?」

「戻るって言ってもこれじゃあ……」


俺は出口の無い周りを見渡す。


「んん? にぃさんの転移は使えないの?」

「あ…」

「忘れてたんだ」

「そ、そんなこと無いぞ!」

「ふぅん」


おほん、ミクさんリクエストのあった『配達』はどうでしょう?

《さて、何の事でしょう?》


意地悪しないで教えてよ!

ダンジョンとワールドマップの移動は別物のイメージがあったんだよ!

《また某RPG知識ですか……まぁいいでしょう。

結論から言うと不可能です》


え⁉︎ 無理なの⁉︎

《このフロアが特殊な結界に覆われていると思って頂ければよろしいかと》


マジで閉じ込められた⁉︎


「……スズ……、ちょっと残念なお知らせが…」

「え? もしかして…」

「ああ、うん、その通り…なんかダメみたい」

「ええ〜⁉︎ 甘味は⁉︎」


カッ!

「えっ⁉︎」


スズにツッコミを入れようとした直前にフロアの床から光が発生した。

それも複数。


光の中には2〜3メートルはありそうなシルエットが見え隠れしている。


「なんかヤな予感…」

「右に同じ…」


その予感は外れる事なく物言わぬ塊達が姿を現した。

人型で全体が白に近い灰色。

頭部の目にあたるところが窪みがあり、そこから光る球体が二つ。


「この数のゴーレムってどう見ても敵じゃん!」

「相性悪いなぁ」


問答無用でゴーレム達が一斉にこちらに動き出した。


3乗、剣気!

大気が震えたが、ゴーレム達は全く怯む気配無く腕を振り下ろして来た。


ドゴゴォ!

ゴーレムの拳が地面を穿つ。

ギリギリで躱してゴーレム達を見る。


「効いてないっ⁉︎」

「にぃさん、あーいう奴らにそれ(剣気)は効果無いよぉ」

「マジかっ⁉︎」


となると躱しながら叩くしかないのか!

なら! 3乗、『瞬閃(しゅんせん)』!


「あ」

「え?」

スズが一瞬声を上げたが発動した技は止まれない。


ガキィィィィン!

鉄を鉄で叩いたような音が響き渡った。


「痛ってぇぇーっ⁉︎」

「あ〜、やっぱり硬かったみたいだねぇ」


剣を左手に持ち直し痺れた右手を振りながらゴーレムから離れる。


「スズ! 思ってたんだったら言ってくれよ!」

「いやぁ、にぃさんなら斬れるかなぁ〜と思って」


夢の中では似たやつを斬れたけども!

って、いや斬れたって言うか確か何度も斬りつけてやっと崩したって感じだったか?


夢の時は確か3乗……なら4乗なら行けんのか?

でもそれすると後が……。


そんな事を考えているとゴーレム達の後方で新たな光が複数発生した。


「げっ⁉︎ 増えた⁉︎」


既にフロアには10や20ではない数のゴーレムが溢れていた。


「スズ……コイツらなんとか出来る?」

「多分無理…かなぁ……刀だと相性悪すぎ」


相性が悪いって言うけどスズで無理って相当だぞ……。

全部相手にすんのは厳しいな…、せめてまとまってる所を一気にいきたいとこだが……。


「スズ倒すのは無理でも何体かを一箇所にまとめる事って出来る?」

「ん〜、それなら出来るかも……10体ずつぐらいでいい?」

「それは出来るんだ…頼む!」

「んじゃあやってみよぉかぁ」


言いながらスズがゴーレムの群に小走りで近寄って行く。

射程内に入り込んだスズにゴーレム達が殺到し殴る蹴るの攻撃を開始した。


「ほっ、よっ、わぁ」

ガン! ドン! ガゴォ!


声と衝撃音の違和感が半端ねぇ。

でも最小の動きで躱しながらどんどんゴーレムが密集してきてる。


程よくゴーレムが密集した所でスズが動きを止めて、腰を落として構えをとった。


ゴーレム達が一斉に腕を後ろに引いて強烈そうなストレートを繰り出す。

スズはその場から動かない。


「………た、………ら」

スズが何か呟いた後、ゴーレム達の拳がスズの体を貫いた。


「っ⁉︎ スズっ⁉︎」

まさかの結末にスズの名を叫ぶ。

貫通なんてどうみても致命傷だ!


「呼んだ?」

「へ⁉︎」

驚愕していた俺の背後から聞き覚えのある声が聞こえた。


そこには五体満足のスズがいつもの調子で立っていた。

「え? え⁉︎」


貫かれたはずの方のスズを振り返るとそこにはゴーレム達がキョロキョロとしているだけで他は何もなかった。


「え? どういう事? さっきのは?」

「守の型、『玉響(たまゆら)』。

ん〜、簡単に言うと残像を残したんだよ。

でもしんどいからあんまり使いたくないんだけどねぇ」

「……………」


どこの戦闘民族だよ!

胸中で盛大に突っ込んだ。


「というわけでにぃさん、構えた後はやっちゃっていいから宜しくねぇ」

「お、おお…」


先程と同じ要領でスズがゴーレム達を集めていく。

そしてスズが構えをとって身動きを止めた。

ゴーレム達がそこへ殺到して拳を突き刺していく。


それを見てゴーレム達に接近。

4乗、『瞬閃』!


密集したゴーレム達をまとめて斬り裂く。

そして…。


ボボボボォンッ!


連続してゴーレム達が爆散した。

「「っ⁉︎」」


そして爆散した後には石が落ちていた。

「魔石⁉︎ マジか⁉︎」

「もうけ〜」

「よし! この調子で殲滅するぞ!」

「りょ〜かぁい」


俺達は次々にゴーレム達を屠っていった。


そして十数分後。


「なんとかなったな」

「つかれたぁ〜、甘味が呼んでるぅ〜。

ぐーたらしたい〜」


ここだけ聞くとダメな人間みたいだが、スズのおかげでだいぶ魔力が節約出来た。

残りは半分ぐらいか……って、体痛ぇ〜。

反動きてるな……が動けないわけじゃない。


「スズお疲れ、おかげで魔石も大量に落ちたしな」

「…………回収は任せるねぇ」

「そんぐらいは任せとけ」


足を大の字にして座り込んでいるスズを置いて魔石の回収に励む。

筋肉痛のおかげで意外と大変だった。


ここのゴーレム達は全て爆散した。

そして回収した数は60個に及んだ。

手持ちと合わせると71個、これでひとまず依頼達成となった。

後はどうやってこっから出るかなんだが………。


ピカッ!

「「っ⁉︎」」


フロアの中央の地面が光った。

光が発生して少し経っても何か出て来たり、強制的にどこかに飛ばされる事は無かった。


近づくと六芒星の形で星の先端の6箇所が一際光っている。

配達と同じかと思ったけどこっちは六芒星の外側に円が浮かび上がってて魔法陣みたいだな。


「今度は自分から行けってことか?」

「にぃさぁんおぶってってぇ〜」


スズが子供みたいな事を言っているが今は無理だな。

体が保たん。


「……何があるかわかんないからそこは歩こうな」

「むぅ〜……」


不満そうな声をあげるが、そこは我慢して欲しい。


俺とスズは同時に魔法陣の中に入る。

すると光が俺達を包み込んでいき、2人の姿はその場から消えた。




光が収まり周囲を見渡す。

「あれ? 同じ場所?」


部屋の大きさはさっきと一緒。

ゴーレム達は爆散したから痕跡は残ってない。

光が消えたと同時に魔法陣も消えている。


「一応違う場所なんじゃないかなぁ」

「そうなのか?」

「さっきのゴーレムが地面を殴った痕が無いからねぇ」


そう言われるとそうだな………でも。


「違う場所だったとしても出口が無いな…」

「そうだねぇ」


ピカッ!

「「っ⁉︎」」


俺達がいる場所から離れた所でフロアの地面が光った。


「またゴーレムか⁉︎」

「……でも今度は一つだよ?」


光を見ると人影のようなシルエットが一つ見える。

大きさは2メートルもないぐらい。

これはもしかして…。


「俺らの他にも被害者が⁉︎」

「……それってワタシらの状況変わらなくない?」

「…………」


確かにそうだ。

閉じ込められたのが2人から3人になるだけだ。

しかも敵か味方かもわからない。

ならせめて無害である事を祈ろう。


そう思い光が収まるのを待っていると声が聞こえて来た。


「グルルゥ」

……人語では無い?


光が収まって姿を現したのは二足歩行でオオカミの姿をしているお方だった。

これは獣人か?


「……っ⁉︎ にぃさん構えて!」

「グァッ!」


ガキィ!

「おわっ⁉︎」


スズが叫んだ直後、狼の獣人が目前まで迫りスズが俺の目の前で振り下ろしてきた爪を防いだ。


「お、も、ぃ〜!」

受け止めはしたがスズが力負けしてきてる⁉︎


「すまん! 助かった!」

4乗、『瞬閃』!


周りこんで即座に技を発動する、が。

「ガッ⁉︎」


いっ⁉︎ 躱した⁉︎


「グルルゥ……」

腕からはポタポタと血が滴っており警戒するようにこちらを見ている。


完全に避けられたわけじゃなかったか。

ってか4乗で掠っただけってどんだけだよ⁉︎


マズイな……コイツの相手したら多分魔力が切れる上に動けなくなる事必須。

……でもやるしかないか。


「にぃさんそろそろ限界でしょ? 休んでていいよぉ」


覚悟を決めて一歩踏み出した俺にスズが待ったをかけた。


「スズ? でもアイツやばいぞ⁉︎」

「みたいだねぇ、でも切り札を切るのは今じゃ無いよ。

今はワタシがにぃさんを守ってあげる」


そう言ってスズが狼の獣人と向かい合った。


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