ダンジョン探索です
ダンジョンに関して分かった事。
ダンジョンは元々存在しているモノを見つけるパターンと、ある日突然何も無かった場所に現れるという2パターンがあるらしい。
そしてどのダンジョンにも魔物は生息しており、いくら狩ってもいなくなった事は無い。
多少増減はするらしいが。
そのくせにダンジョン内の魔物が外に出て来るという事は今まで無いらしい。
ダンジョン内に生息している魔物はダンジョン固有の存在もいるが外の魔物と同じ種類もいて、魔物の強さはダンジョンごとでおおよそ決まっており、外みたいに下手にばったり強敵と出会う事がなく比較的安全。
かつ魔物の素材などを収集出来て低確率で魔石も落とすと。
一言で言うと不思議な場所。
殆ど何も分かって無いけど美味い狩場なので大いに利用してるっていうのが実状だった。
とは言ってもこれらは全て経験則であってこれから何か起こる可能性が無いとは言えない。
未来は常に未知数なのだ。
準備をするに越した事は無い。
という事でリーガル踏破を兼ねて回復薬、毒消、麻痺薬等の買い出しをしていた。
「こんなもんかな…」
「にぃさん、おやつも忘れないでねぇ」
「それ、出てからじゃダメなのか?
あんまり保たないだろ?」
「むぅ〜、じゃあ飴で我慢するぅ」
やれやれ、時間制限があるってのに相変わらずだなぁ。
まぁ帰りは『配達』で帰るからいいんだけどね。
行きはどうしようもないけど帰りはそっちの方が安く済むんだよね。
ちなみにフリードまでの配達費用はお一人様金貨1枚なり。
スズのリクエストの飴を購入した所で準備完了。
「じゃあ準備も出来たし行くか」
「ふぁ〜い」
「飴食うのはえぇよ!」
既に飴を頬張っているスズを連れてダンジョンに向かった。
辿り着いた場所にはいくつかの仮設店舗と一軒の建物、そしてそれと真逆の位置に洞穴があった。
マップにはリーガルダンジョンと表記されているのでアレがそうなんだろう。
某有名RPGの初代を彷彿とさせるな。
いや初代だけじゃなくて全部そんな感じだったか?
まぁいいや。
仮設店舗は買い食いを楽しむようなものではなくダンジョンから出て来た人達の戦利品を買い取っているようだ。
それぞれ素材や魔石と言った具合に店舗が分かれていた。
他にも治療の為のスペースらしき場所もあった。
「君達、ここは初めてかな?」
「ん?」
仮説店舗を見ていた俺達の背後から声をかけてくる者がいた。
「貴方は?」
「私はここの警備を担当している者だよ。
随分軽装……というかそっちの子は」
あ〜うん、言いたい事はわかりますとも。
そう思いスズの方を見る。
「んん?」
飴を頬張りながら不思議そうな表情をしているが、とても戦闘するような格好に見えない。
辛うじて差している刀と背負っているリュックが観光ではなさそうという事が分かる程度だ。
「……お兄さんの付き添いかな?」
そう来たか。
「妹じゃなくて大事な相棒ですよ、これでも凄腕ですから大丈夫ですよ」
しかも相当の。
「おっとごめんよそうだったのかい。
本人が言うのなら止めはしないけど準中級とは言え気をつけてね。
そうだコレをあげよう」
そう言って5枚の紙を取り出してきた。
「コレは?」
「ここの地図だよ、迷うほどでは無いけどあった方が便利だろ?
間違ったお詫びだよ」
「へぇ、ありがとうございます。
有り難く頂戴しますね」
親切な警備の人は片手をあげてその場を離れて行った。
俺達は貰った地図を見てみる。
リーガルダンジョンは全地下5階層から成り、地上の階は存在しないようだ。
道も複雑なモノでは無い。
地図無しでも片側の壁を伝って行けばいつかは出られるみたいだ。
所々広い場所があるが、大きさや距離なんかはイマイチ分からないので後は入ってみてからってとこか。
「じゃあ行くか」
「ふぁい」
洞穴に入るとすぐに緩い下り坂になっており、坂を下り切った先からは縦横3メートルほどの広さの通路になっていた。
得物を振り回す程度の広さはあるっと。
にしても息苦しいというか肌に絡みつくと言うべきかなんか変な感じだな?
地下だからか? 支障があるわけじゃなさそうだけど長居はしたくないなぁ。
薄暗いから視界もよろしく無い。
てか完全な闇じゃ無いだけマシか。
どういう理屈かは考えるだけ無駄だろうしな。
とりあえず広い場所に向かってみるか。
目的は魔石だし、まずはエンカウントしなきゃ話にならないしな。
初ダンジョンが攻略じゃなくて狩りとか中々無いよなぁ。
「ふぃふぁん、ふぁにかふぅよ」
「……せめて口から出して喋ろうな」
「ふぁい」
通路の先を静かに凝視しているとカチャカチャと音が聞こえて来た。
「これは……金属音?」
聞こえて来た音を表現するならそれだろう。
ここに潜ってるのは俺達だけじゃないから敵じゃ無い可能性もあるが…。
「……敵って事でいいんだよな?」
「いいんじゃないかなぁ?」
現れたのは小柄で犬に似た頭部に体毛のある人型生物。
片手には剣を持ち鎧を身に纏っている。
さっきの金属音はこの鎧か。
ここに魔物しかいないって言うなら討伐しても問題無いんだろうけど、獣人が街中にいる世界だしなぁ。
一応の確認はしてみる。
「こんにちは」
「グゥッ!」
友好的に挨拶したつもりだったが、意思の疎通は叶わなかった。
「敵って事で」
「降りかかる火の粉は払わなきゃねぇ」
襲いかかって来るコボルトを見据えて剣を構える。
鎧のせいか随分と動きが遅い。
これなら素のままリモートを使えば十分だ。
上段からの振り下ろしを剣で弾いて鎧の隙間を薙ぐ。
「ギャッ⁉︎」
コボルドは短く悲鳴を上げて崩れ落ちた。
ボンッ!
そして爆散した。
「「っっ‼︎⁉︎」」
予想外の結末に2人とも唖然。
「……爆散するなんて聞いて無いんですけど?」
「びっくりだねぇ」
「ていうかこれだと素材取れないじゃん」
「ホントだねぇ」
コボルトから爆散した場所を凝視してみると光るモノがあるのに気付いた。
「何だコレ? 石?」
「それが魔石じゃないの? 入口の店に置いてあったやつに似てるけど?」
「……そういえばそうだな。
一発目から落とすとか運がいいな、この調子が続けばいいけどな」
その後魔物と出会う事なく少し広い場所に出た。
そこには先程のコボルドがポツポツと徘徊していた。
鎧を着て無い奴や、盾しか持ってない奴、短剣を持っている奴など微妙に得物が違うが誤差の範囲内だろう。
「ほんじゃ狩りますか」
「にぃさん、頑張れ〜」
「いや、スズもやるんだからね?」
「飴食べてからでもいい?」
「スズなら咥えながらでも楽勝でしょ」
「食べてる時は静かにするものだよ?」
「合ってるけど時と場合! ほらやるぞ!」
「ふぁい」
……スズがこの程度の相手に苦戦するわけないんだけど、本当に咥えながら戦ってるな。
俺でも楽に倒せるからそんなもんか。
そして俺達2人は部屋にいた20匹ほどのコボルトを殲滅した。
そして気付いた事が一つ。
今度のコボルド達は1匹たりとも爆散しなかったのだ。
「……これってもしかして……」
「かもしれないねぇ」
「次の場所に行ってみるか、広い場所にはそれなりに魔物がいるみたいだし」
そして俺達は次の場所で予測が正しいであろう事を悟った。
今度の場所には先程の倍の数のコボルトがいたが爆散したのは1匹だった。
そして爆散した場所には最初と同じ石が一つ落ちていた。
「やっぱそう言う事だよな?」
「みたいだねぇ」
理屈は分からんがどうやら爆散する個体が魔石をドロップするようだ。
ていうか見た目じゃ全く判別つかんから手当たり次第殲滅するしかない。
今の所ドロップ率3%程度で既に1割も無い。
こういう系って最初だけ良くて後の方はさっぱりってのはよくあるパターン。
腐らずに地道にやるしか無い。
とりあえず一度踏破してみて良さそうな場所を探すか。
魔石必要数まで残り48個。




