表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/172

また別室行きです


「……にぃさん、なんか日に日に疲れていってない?」

「おお…、そう見えるか?」

「なんかねぇ」

「ちょっと夢見が悪いだけだから大丈夫」


あれから夜は夢の中でミクのスパルタ特訓を受けた結果周りからはそんな状態に見えるらしい。


現実だったら終わってたな。

夢の中では倒してもすぐに復活するし一体とも限らない。


キングが複数出て来た時は流石に死んだ。

夢の中だけど。


いくら4乗を無制限に使用出来ると言ってもアレじゃあ身が保たん。


「そろそろリーガルに着きますよ」

馬車の業者からそんな声がかかった。


遠くの方に建物が見える。

あれがリーガルなんだろう。


夢特訓を始めてから道中は平和で魔物と出会う事は無かった。

そう言う意味では夢で相手がいたのは幸運だったと言える。


「あ、そう言えばリーガルでコレ買い取ってもらえる所ありますか?」

俺は途中で剥ぎ取ったファングの牙を指差して聞いてみた。


「リーガルにも冒険者ギルドがあるのでそこで買い取ってもらうのが一番安全ですよ」

「リーガルにもあるんですね」

「規模は違えど殆どの街にギルドはありますよ。

うちらみたいな外に出る商売の人種に護衛は必須ですからね」


言われて納得。

一歩外に出れば魔物がいる世界だ。

一般人からしたら物騒で仕方がない。

俺達が護衛も兼ねてるからすっかり忘れてた。


そのまま昼過ぎにリーガルに到着した。

さて、とりあえずギルドで牙を買い取ってもらうついでにダンジョンの事を聞いてみるか。


街の人にギルドの場所を聞いて向かう。

街中には他と違っていかにもな装備を身に纏った人達が多くいた。


しばらく歩いていると目的のギルドに辿りついた。

扉を開けて中に入るとフリードとは違って昼時なのに多数の人がいた。


「なんかフリードと違って人が多いな?」

「そうだねぇ」


俺達がそんな感想を言っていると周りから視線が集中した。

視線の先は俺も含まれているがどっちかって言うとスズの方に多く集まってる気がする。


見た目の格好が珍しいのもあるけど美人だしな。

そんなのがこんな所に来たらやっぱそうなるよなぁ。


絡まれる前にやる事やって聞く事聞かなきゃな。

俺は空いている受付にリュックからファングの牙を取り出した。


「すみません、コレ買い取って欲しいんですけどいいですか?」

「はい、では冒険者カードの掲示をお願いします」


へぇ? ここでそれが必要なのか。

俺は言われた通り冒険者カードを取り出して見せた。


「確かに、ではコチラはお預かりしますね。

モノはこれ一つですか?」

「あ、まだあります」


俺はリュックから50本近い牙を取り出した。

「え?」

「これで全部です」

「あ、で、では少々……いえ! しばらくお待ち下さい!」


少々からしばらくに言い直されたな。

ちょっと多過ぎたのかな?


隣を見ると他の受付にいる冒険者と目が合ったがすぐに逸らされた。


……これは一体どう言う反応なんだ?

少なくとも絡まれるみたいな感じでは無さそうだが。


周りはヒソヒソと何かを話しているので、耳を澄まして聞いてみる。


「おい、見たか今の?」

「ああ、何かの牙みたいだったな」

「ここらで牙と言えばアレか?」

「だろうな数もかなりあったしな」

「見ない顔だし他の所の奴らだな」

「あの数を二人で仕留めるんだから駆け出しって事もないだろうな」


今はスズより受付嬢に渡した牙の話題が上がっているようだ。


「ちょいといいかい?」

「俺?」

俺が聞き耳を立てていると声をかけられた。


「ああ、お前さんら二人だ」

「ワタシも?」


声をかけて来たのは白髪で立派な髭を携えた男。

見た目だけで言えば爺さんと言えなくもないが、それを否定するかのような引き締まった筋肉が見える。

そしてどことなくクラウドさんと同じ様な風格を漂わせている。


「ちょっと話を聞かせてもらうだけだ。

すぐに済む」

そう言って奥の部屋を指す。


「おい、ギルド長が出て来たぞ?」

「アイツら何者なんだ?」


ギルド長?

何でまたそんなお人がここで出てくんの?

俺なんかやったっけ?

今回は何も無いはずなんだけど?


別室に入ってギルド長と呼ばれていた人が振り返った。

「さっきの牙なんだが、あれはお前さんらで狩ったって事でいいのか?」


え? そこ?


「そうですが?」

「他に連れがいるって事は?」

「いえ、俺達2人だけです」

「ほぉ〜……、お前さんはランクDだったな。

そっちの嬢ちゃんは?」

「ワタシもランクDだよぉ……ほら」


スズもカードを掲示する。

「確かに……」


これ何の確認なんだ?


「……さっきの牙、ありゃあファングのもんだ。

ギルド認定ランクCに分類されてんだが、理由は簡単でな常に3〜5匹がまとまって行動するからだ。

アイツらは決して単独では行動しねぇ」


へぇ〜、意外と高めだったんだな。


「アイツらは縄張り意識が強い。

だから不用意に他の集団の領域に入り込んだりはしねぇんだ。

たがお前さんらが持って来た数は50本近い数だった。

って事は集団自体の規模がデカいって事だ。

ランクDの2人がそんな大群を相手に、しかも見たところ無傷ってのがな…」


……これあれか?

ランクに見合わない戦果ってやつか?


「ランクに合わないってやつだねぇ」

スズも俺と同意見らしい。


「ここまで言えばそりゃ分かるか、まぁそう言うこった。

平たく言えば盗品、とかな」


降りかかる火の粉を払っただけなんだけどなぁ。


「どうすれば納得してもらえますか?」

「一番手っ取り早いのは実力を見せてくれればいいぜ?」


ふむ。

となると試すならうってつけか。

でもクラウドさんといいこの人といいギルド長ってこんな感じの人ばっかりなのか?


「スズ、ここは俺でいい?」

「いいよぉ〜」


スズから了承も得れた。

「じゃあ俺がやりますね」

「ほぉ? 自信ありげだな?」

「そう見えますか?」

「ああ」

「試すのは初めてですけどね」


3乗、剣気!

瞬間大気が震えた。


「むっ⁉︎」

「およ?」


ギルド長と呼ばれていた男が一瞬身構え、スズが珍しそうにこっちを見ている。


今までのように魔力を全方位に垂れ流していたのとは違いちゃんと指向性を持たせてギルド長のみに向けたのだ。


夢の中でキングがジェネラルを囮に使ってくるから邪魔でしょうがなかったので、動きを封じる必要があったのだ。

だって倒してもすぐ復活すんだもん。


夢の中だと4乗でも出来たんだけど、現実では3乗が今の所限界。


「にぃさん制御出来るようになったんだ?」

「全力はまだ無理だけどね」

「……………」


さてギルド長が黙りだけど、どうだろう?


「……今の会話だとまだ上があんのかい?」

「まぁ」

「ほぉ、ランク通りの実力じゃねぇってのはよくわかった、疑って悪かったな。

ここじゃ冒険者以外の持ち込みも多くてな」


どうやら疑いは晴れたようだが…。


「冒険者以外に持ち込みが多いってどういう事ですか?」

「ん? ここの事知らないのか?」

「ダンジョンがあるって事ぐらいしか」

「まさにそれだよ。

ここは街中にダンジョンがあんだよ」

「え⁉︎ 街の中に⁉︎ それって大丈夫なんですか⁉︎」

「ああ、ダンジョン自体は準中級なのは知ってるな?」


ギルド長の言葉に頷く。


「それぐらいなら冒険者のランクCがいりゃどうとでもなるし、ギルド長は最低でもランクB以上が条件だからな」


へぇ〜。

ってことはギルド長はもれなくそこらの冒険者より強いって事か。

でもなんか納得。

元冒険者なら手っ取り早い方法とりそう。

だいたいのギルド長がこんな感じって事ね。


「何かあった時にはこっちに話が来るからその辺の心配はいらねぇんだよ。

話が逸れたが持ち込みの話だったな。

街中にあるもんだから冒険者とは別に探索者って呼ばれてる奴らがいるんだよ」

「探索者?」

「言ってみればダンジョン専門の奴らだな。

中には悪どいやり方をする奴もいるもんでな」

「それがさっきの盗品がどうとかって言うやつですか」

「そうだ、手口は色々だがな。

そのせいでそう言う部分にはちっと敏感なんだ」


今からダンジョンに挑もうって言うのに印象悪いなぁ。


「すみません、今からまさにそのダンジョンに用事があって来たんですけど」

「あん? そうなのか?」

「ええ、ちょっと魔石の収集依頼を受けてまして」

「集める事自体は問題無いだろうな。

ただ根気のいる作業だ。

疲れ切る前に区切りをつけた方がいいだろうな」

「そんなに落とす確率悪いんですか?」

「1割以下だろうな」

「いっ⁉︎」


マジか⁉︎ 誰だよ50%でも100体とか計算してたの!

《マスターですよ》


すいません、甘かったです。


「わぁ〜大変そぉだねぇ〜」

スズがあまり大変そうに思って無い感じで言葉にする。

でも面倒臭いとは思ってるんだろうな。


クラウドさんの言葉が頭をよぎった。


「落とす確率より獲物を見つける方が大変かもな」


ホントそうだよ!

そもそも500体も生息してんのかそのダンジョン⁉︎


「……あの、ダンジョンって魔物多いんですか?」

「ん? ああ、そこは問題無い。

理屈は分かってねぇがダンジョン内はいくら魔物を狩ってもいなくなった事はねぇんだ。

狩りすぎて一時的に少なくなった事はあったみたいだがな」


いなくなった事が無い?

何だそのゲーム的な設定?


とりあえずダンジョンに関して聞けるだけ聞いといた方がいいな。


そしてしばらくの間ギルド長を独占して質問攻めにした。

相手も疑ってかかった手前断れなかっただけの気もするが、それぐらいは我慢してもらうしか無い。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ