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さぁ、冒険に出かけよう

本日もう一つ行きます。


街の入り口へ向かって黙々と進んでいくアリシアさん。その後ろを大人しく追従する俺。


アリシアさんちょっとは寄り道してもいいんですよ?ほらあそこのお店に入ってお茶でもしませんか?


とは言えず、段々と街の門が迫って来ている。

それと同時に門に近づくほどに人通りが少なくなってきている。


ほとんど出国出来ないからこっち側に用は無いってことか…。

今なら人目も少ない……このままアリシアさんを人質に国外脱出した方が生還率が上がるんじゃなかろうか?


理不尽な運命から懸命に逃れようとする俺、そしてそんな状況を作ってしまったアリシアさんに罪の意識が芽生え逃亡を続けるうちにいつしか2人の間に愛が………無いな。


今時どんな洋画だよ。

それにアリシアさんがそんなことになるなんて想像つかんわ。

それによく考えれば一人で監視として付いて来てる以上大人しく人質にとられるとは思えない。

むしろ現状だと俺が捕まって連行される可能性の方が遥かに高い。


あれこれ考えているといつの間にか街の入り口に到着してしまった。


門番に何やら話をしているアリシアさん。

あわよくば出国できませんでした。とかは……。


「では参りましょう」

無いですよね〜。

そりゃ王族でしかも王女様ですもんね〜。


ちょっとは危ないからって言って止めたりしないもんなのかね〜?

もしかしてアリシアさんって相当凄いのか?だとしたら人質にとか馬鹿な真似をしなくて良かったってことか?


でも、俺が危険なことには変わらないんだよな〜、どうしよ。


アリシアさんが街の大門の横にある馬車が1台通れる程度の扉の前からからこちらを見ている。


あ〜、そっちから出るのね。

人の出入りが殆ど無いから大門は閉じっぱなしってことか。


観念して扉を潜って外に出る。

ポン!

と同時に響く電子音。


アリシアさんに変化は見られない。

マップに表示されたお知らせアイコンをタップ。


「どうかなさいましたか?」


空中を眺めてじっとしている俺にアリシアさんが声を掛けて来た。


「いえ、なんでも無いです」

「?」

「さぁ、行きましょう」


小首を傾げるアリシアさん。

チクショー可愛い!

美少女が素でやるととんでもない破壊力だ!

監視と分かってなければ間違いなく落とされてるよ俺!

今のだけで俺の何重にも重ねられた防護フィールドが即座に全損させられた気分だぜ。


何馬鹿なことを言ってんだって思うかもしれないが、男はみんな大小あれどこういう一面を持ってるもんなんだよ。


それは置いといて、分かったことがある。

マップは俺にしか見えておらず、音も聞こえていない、さらには他の人には存在していない可能性が高い。

もしあるなら空中を見ていることで察しが付くはずだ。


となるとこれは旅人専用スキルで、マップについて聞いても分からない可能性が高い。


現段階では伏せておく方が良さそうだ。

今のところ切り札にはなり得ないが、今後はどうなるか分からない、しかも盗み聞きしてるから話づらい。


…取り敢えずさっきのやつは使っておこう。

相変わらず説明が無いから効果は不明だか、文字から察するに悪いことは無いはずだ。


「こっちに向かえばいいんですか?」

「そうですね。街道に沿って10日ほど歩けば近くに村があるはずですので、まずはそこを目指しましょう」


アリシアさんが街道の先を見ている隙にスキルを使用。

ん?なんか聞き捨てならない単語があったような?


「アリシアさん、今…歩きで10日って言いました?」

「はい」

「えっと馬車とかは?」

「今は魔物の被害がある為、出ていません」


おふ!マジか⁉︎

プチ旅行程度の日数だと思ってたけど、予想外の長期旅行!それも歩きだと⁉︎

そんな体験無いよ俺っ⁉︎

なんてこった!そんな苦行が待ち構えていたとは!


いやまてよ?アリシアさんと10日間キャッキャウフフのハイキングと思えばなんとかなるか?


アリシアさんを見る。

うん、想像出来ん。


いやそれよりそんなの想定してませんでしたよ?

「あの〜、長旅の準備してないんですけど…」

そう言えば俺、食料もなんも持ってませんよ?


「それならご心配には及びません。こちらに準備しております」

そう言ってアリシアさんがローブの中から肩掛けのバックを取り出した。


「これは?」

「マジックバックです。見た目以上に物が入り重さも感じません。このサイズだとひと月分ぐらいなら問題ありません」


はい、異世界定番アイテム頂きました。


これもう途中でアリシアさんから離れてもバッドエンドじゃないですか?

強制力ハンパじゃないんですけど?


下手に情報は与えないってことか…。

いやこれは俺の落ち度か……誰かに聞けば分かったことだしな。


魔物に襲われる以前の問題だな。

異世界って優しくね〜。

チート無双ってホント夢物語だな。

実際そうなんだけど…。


この分だと最初にエンカウントするのも危ない気がするな〜。

世の人々が神頼みする気分が分かる気がする。


「先は長いのでそろそろ行きましょう」

「…そっスね」


アリシアさんの催促で街道を歩き出した。


後はこのスキルが頼り…か。

マップに表示されている文字を見た。


スキル『護身用具』を発動します。


頼むから説明くれよ!


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