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いざ!


アリシアさんの予期せぬ登場によって追加で体に鞭を打たずに済んだ。


多少?の痛みは伴ったがアリシアさんに心配されるのは悪く無い。

心配かけたのは申し訳ないけど。


ただこの現状をどうすれば……スズがやったという事にしようと思ってた俺の目論見が潰えてしまった。

王様止める間もなく言っちゃうんだもん。


今の所突っ込まれずに済んでいるからなんとか有耶無耶になるか?


「これは…夢と…同じ…」

「っ⁉︎」

アリシアさんからマズイ台詞が聞こえた。


俺は必死に旦那に視線を送る。

通じたかどうか分からないが旦那が俺を背負った。

「ほら小僧行くぞ、よっと」

「いたっ! 旦那! 痛いっ! いてぇっ!」

痛いのは事実だが、少しでもアリシアさんの思考を逸らさなければ!


「……せっかくの場面もこれ見ると薄れるなぁ」

「だねぇ、ホントなら感動の再会になるとこなのに台無し」

「しょうがないでしょ! 痛いもんは痛いんだから!」

「す、すみません!」


アリシアさんの思考中断には成功したみたいだが、何だか責めたみたいになってしまった。

「いやっ⁉︎ アリシアさんは全っ然! 微塵も悪く無いですよ!」


上手く気を逸らせたみたいでよかった。

俺達はその場を早々に後にした。


……何か引っ掛かるな……何か忘れてるような……。

《夢と酷似してるので最後に出て来たゴーレムじゃないですか?》


……いやいやいや! 夢と現実をごっちゃにしちゃいかんよ!

あれは流石に実現不可能でしょ⁉︎

《まぁそれについては同感ではありますが、ただ何も無いという保証にはならないですからね》

不吉な事言うなよ、それってフラグだぞ。


《私にその手のお約束は関係ありませんので》

うぉいっ⁉︎ 渦中にいる俺の身になれ!


《何を言おうと起こる時は起こるんですよ》

……身も蓋も無いな。


《疑問が残っているのは事実ですから》

疑問?


《はい、首謀者の目的は都合のいいコマを得る事。

その為にはアリシアの力が必要だったので王族を先に落としたのは分かります。

少々回りくどいやり方ではありますが》

ダメ出しかよ。


《アリシアを手中に収めた時点で既に用済みな王族を五体満足で生かしておいて同じように対策しているのは不可解です》

意外と人道的だった?


《違うでしょうね。

王族を使って何かするつもりだったのでは?》

何か………ねぇ。


《それを知る術はありませんが、夢の中では妨害、捕獲と来て最後は抹殺でしたからね》

…………ちょい待ち!

じゃあ何か⁉︎ 今は抹殺フェーズって事⁉︎


《捕獲に失敗した場合はそうでしたね》

思わず後ろに意識を集中する。

いやそこはほら、体が動かないので出来る事で状況把握しないとね。


「ではアリシア、シンシアとアークを頼んだぞ」

「お父様?」

「私は政務に取り掛かる」

「フリード王⁉︎ まずは心身に異常が無いかお調べしてからにして下さい!」

「そうです! 万が一お倒れになっては行けません!」

「動けるのであれば問題無い」

「そういう問題ではありません!」


……会話内容からすると問題は無さそうに感じる。

《フリード王を止めるのに忙しいようですが?》


周りから全力否定されてやっとのことで説得し、やっと解散というところで突如眩しい光が発せられた。


「「「っ⁉︎」」」

「な、何だっ⁉︎」

「こ、これはっ⁉︎」

発生源はすぐに判明した。

何故なら救出した王族3名からだったからだ。


ほらっ! フラグ成立しちゃってんじゃん!

《身構える事が出来たと言ってもらいましょうか》

…ものは言いようだなぁ。


旦那が光の方を向いてくれたから俺にも分かるようになったが光は一色では無かった。


赤・青・黄の三色が王・王子・王妃からそれぞれ発せられていた。

光は徐々に弱まって行き薄らと体を覆っており一部分だけが依然強い光を放っていた。

その部分とは王の指輪、王子の腕輪、王妃の首飾りだ。


「…うう…」

見た目は普通だがまるでゾンビを彷彿させる動きだな。


「お、お父…様?」

「があぁぁっ!」

「えっ⁉︎」

声に応えるように王様がアリシアさんに掴みかかろうとした。


「失礼ぃ」

王様とアリシアさんの間に入ったスズが、王様が伸ばした両手を遮るように鞘で受け止めた。


目標を遮ってきた鞘を王様が両手で掴んですぐに…。

ピキピキッ。

「っ⁉︎ ふっ!」

小さい音が聞こえたと同時にスズが鞘ごと刀を振り抜いた。


スズが器用に振り抜きながら刀を抜いたが、王様に持っていかれた鞘から先程より大きい音が響き……。

バギィッ!

握り潰された。


「いっ⁉︎ ア、アリシアさん……お父様は随分と力持ちですね?」

やべぇ、夢の内容知られたら間違いなく殺さ(やら)れる。


「こ、こんな事出来るはずありません!」

「俺でもあんな芸当は出来ん!」

「え? そうなの?」

良かったぁ〜、命拾いした。

《そんな場合では無いと思いますが》


「ワタシの鞘がぁ〜」

……もう1人焦点が違う人がいるけど?

《………》


「う……ううぅ」

呻き声を上げながら3人がジリジリとこちらににじり寄って来る。


「何が起きてるのか分からんが今のを見ると、取り押さえるのは俺一人じゃちと現実的じゃないな……スズ、頼めるか?」

「後で罰されたりしない?」

「私が保障します! 止めて下さい!」

「承り」

スズにしては畏まった言い方だな?


スズが刀を構える。

「鞘の仇ぃ〜!」

いや、殺すなよ?


(あだ) (そく) (うつ)!」

スズが持ち前の速さで3人の間をすり抜けた。

素の状態だから正直何やったか見えてない。

セリフがダメな分類のやつな気がするけど……殺して(やって)ないよね?


少しの間を置いて3人が同時に崩れ落ちた。

「討伐完了」

ホントに大丈夫…だよな?


「今のうちに拘束するぞ! 人を呼んできて来てくれ!」

「はぁい」

旦那の言葉にスズが速やかに応援を呼びに向かった。

「お父様達に一体何が…」

アリシアさんの悲痛な声が耳に残った。




そこからは速かった。

まぁ王族の緊急事態だから当然ちゃあ当然だが。


普通の部屋に運び込む事も出来ないので王室で物理的拘束に加えて厳戒態勢が敷かれた。

また襲われても困るしな。


原因はそれぞれ付けてた装飾品が限りなく怪しいんだが、それは旦那達も同意見で取り外そうとしたらしいが皮膚と同化しておりピクリとも動かなかったみたいだ。

破壊も真っ先に試したがダメと…。


俺は動けないので医務室に戻されている。

旦那やスズは目覚めた時に対応する為に王様達の側で警戒している。

アリシアさんはというと、また忙しく政務に追われているみたいだ。


ホントこれ仕掛けた奴腐ってんな。

入念にしてると言われればそれまでだがくらう身になるとたまったもんじゃない。


さて今俺に出来る事はあるだろうか?

《アリシア同様『夢旅行』で解放する事が出来るかもしれません》


なら悩む必要無いな、可能性があるならやるしかないでしょ。

《マスターならそう言うでしょうね》


むしろ『夢旅行』の方が動けない俺にとって好都合だしな。

《では参りましょうか、『夢旅行』発動します》


ミクの言葉の後に意識がどこかに吸い込まれるような感覚を覚えた…直後。

ガガン!

何かにぶつかるような衝撃を感じたが、それも一瞬の事で目を開けた時には薄暗い場所にいた。


ここは……牢屋に続く通路か?

また随分変なとこに出たな?


しかしミク…中途半端にエコじゃなかったね?

《……先程のは私のせいではありません》


ん? ミクじゃないの?

《ここでそんな事をする必要がありませんので》


じゃあさっきの衝撃は何だったの?

《どうやら王族達はそれぞれで操られているのではなくて3人で一つの拘束になっているようです。

衝撃は単純に2人分の夢を通り抜けた結果ですね。

夢が三重に重なっていたと思って頂ければいいかと》


そんなもんか。

《それよりも問題なのが……》


ミクが何か言いかけた時、通路の奥から靴音が響いて来た。

音は二つ、何かこっちに近づいて来てる。


「……うぅ…」

この声って…、考えるよりも早くその姿を表したのは王妃と王子の2人だった。


早速解放のチャンス!………あれ?

と思ったのも束の間、現実で付けてた首飾りと腕輪が見当たらない。


「うがあっ!」

そんな事はお構いなしに2人が襲いかかって来た。

「おわっ⁉︎」


いきなり撃退する訳にもいかず後退して距離を取る。

「っ⁉︎」

そこで違和感を覚えた。

あれ? 動きが……悪い?


《先程言いかけた事はその事なんですが……、三つの夢が統合されている影響でマスターの能力が1/3に減退しているようです》

「ナンデストッ⁉︎」

思わず声に出してしまった。


《こんなケースはそうそう無いと思いますが、簡単に言えば三つの夢に同時に飛んでいる状態と思って下さい》

動きが悪く感じたのはそれでか!


《出力は3乗の少し上、と言った所ですね》

なんか制限かかる場面多くね?


《旅人ですから》

戦闘職でも無いのに文句言うなってことね。

まぁ、前回の夢で3乗だった事を考えれば文句は言えないか。


んじゃここ突破して解放に向かいますか!


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