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15Day 〜速やかに、でも慎重に〜


「何故貴様がここにいる⁉︎」

意外なことに声を上げたのはオークキングだった。


「ん? 簡単な話だよ。

つい最近ここにいた知り合い……というより顔見知り、かな? が人間の救世主召喚を成功させたって聞いてね。

僕の真紅とどっちが強いか試しに来たんだよ。

でも彼いないみたいなんだよねぇ。

でも試す前にこっちの真紅はそこの彼にやられちゃったみたいだけどね」

「そりゃ悪い事をしたな」

どう転んでも俺がアレの相手しなきゃいけなかったって事ですか。


それよりこの物言いだと国を乗っ取った黒幕はここにはいないという事になる。

今の状況なら助かるがコイツはこのまま素直に引き下がるのか?

というか今は動けん!

引き下がってくれないと困る!


「貴様は我を謀った奴とは関係無いと?」

「無いよ」

「…そうか、ならばここにはもう用はなかろう」

そう言うとオークキングが立ち上がった。

げっ⁉︎ 致命傷だったはず⁉︎


胴の傷口を見るが、血は止まっているが傷は塞がっていない。

胴体半分切られて致命傷じゃないってのかっ⁉︎

てか何で血が止まってんだよっ⁉︎


「ん〜まぁ、用は無いけど興味はあるかな。

僕の真紅を降してオークキングの中でも変わり種である君を退けた彼に、ね」

「引くつもりは無いと?」

「その状態で僕と遣り合うつもり?」

「必要ならな」

名も無き男とオークキングを中心に静寂が場を支配する。


均衡は長くは続かなかった。

「怖いなぁ〜、そんな顔しないでよ」

「…………」

「今回は予定と違うから素直に君に譲るよ」

「…………」

「あれ? 信じてくれて無い?」

「気まぐれで嘘をつくのが常だろう」

「否定は出来ないなぁ……まぁ今回はその証拠としてもう帰るよ」

そう言うと名も無き男は壊れた壁から夜の闇に消えていった。


「素直に引き下がったか…」

オークキングがこちらに向き直る。

ここから再戦と言われても俺に手札は残って無い。


「我と互角以上に闘えた者は久方ぶりだ。

まさか人間にそんな奴がいるとはな」

「…それはどうも、疲れたんで今日は終わりにしたいんだけど?」

「面白い奴だ、我を前にしてそんな事を言うとはな……いいだろう、我を楽しませた褒美だ。

その言葉通りにするとしよう」


え? マジ?

あまりの呆気なさに一瞬頭がフリーズした。


「…流石王様、器がでかい」

「勝者の当然の権利だろう」


勝者? 誰が?

《先程の会話で『互角以上』と言っていたのでマスターの事でしょう》

あちらさんまだ余裕そうだけどもしかして痩せ我慢?


《見た目は致命傷ではありますけどね》

なんだよ驚かせやがって!

心配して損した。


《…でも動けないマスターよりは向こうが優勢ですけどね》

……調子に乗ろうとしてすみませんでした!

可及的速やかにお帰り下さい!


「次に会うのを楽しみにしている」

そう言うとオークキングは先程名も無き男と同様夜の闇に消えていった。

出来れば二度と会いたく無いんですが…。


それからどれぐらいだっただろうか。

暫しの間謁見の間に静寂に包まれていた。


終わった……って事でいいのか?

「小僧よく退けたな、感謝する」


旦那がふらつきながら俺の元に来て声をかけて来た。

「ギリギリでした。

もう魔力残って無いんで一歩も動けないですね」

「それであんな軽口叩いてたのか?

大した奴だな、担いでやってやりたいとこだが生憎俺もそんな余裕が無いから肩貸すぐらいしか出来んが」

そう言って旦那が俺の腕をとった瞬間。


「っっっ‼︎⁉︎」

全身至るところから激痛が走った。

「痛ってぇぇぇーーっ‼︎‼︎‼︎」

広間に絶叫が響き渡った。

しかし痛みと裏腹に全く身動きが取れない!


「お、おいっ! 大丈夫かっ⁉︎」

「だ! 旦那っ! すみません!

動かさないでっ!」

「お? おお?」

旦那は戸惑いながらも俺を解放した。


……動かなければ痛く無いな? なんだコレ?

《身の丈に合わない力を一気に出しましたからね》

? ミクどう言う事?


《『夢現』は魔力で今のレベル以上の力を酷使します。

当然ながら夢と違って現実では肉体に負荷がかかりますのでその代償ですね。

少し前に痛みがあった覚えがあると思いますが》

少し前の痛み?………って武闘祭後の筋肉痛っ⁉︎

いやいやいやっ! さっきのは筋肉痛ってレベルじゃないよっ⁉︎


《ですがこれが現実ですので》

………何それ。

どこかの戦闘民族が初めて使った赤いオーラを纏う技の代償みたいなノリ…。


「だ、旦那、ちょっと無理し過ぎたみたいで全身筋肉痛になったみたいです」

「あん? そんな直ぐになるもんなのか?」

「いや〜、俺も知らなかったんですけどそういうスキルでもあったみたいです」

「俺の『バーサーク』と似てるけどちょっと違うって事か」

「ですかね〜、とりあえず動かさないで下さい」

「って言ってもここに置いとくのもなぁ…」

旦那が思案しているところに別の場所からも声が上がった。


「ワタシも動けないけどこっちは治療をきぼ〜」

うつ伏せのまま手だけを振っているスズだった。

……意外と大丈夫そうだな?


少ししてバタバタと複数の足音が聞こえた。

「団長! 大丈夫ですかっ⁉︎」

「こ、これはっ⁉︎」


解放軍の面々が謁見の間に流れ込んで来て目に入った惨状を見て硬直する。


壁ぶっ壊したり、地面に叩きつけられたりで結構ボロボロだな………って全部俺がやられた跡じゃん!

よく生きてたな。


「おお、そっちは大丈夫か?」

「あ、はい! こちらは問題ありません!

拘束した者達も正気に戻っています!

それよりここで一体何がっ⁉︎」

旦那の質問に律儀に答えるが、関心は完全に惨状の方に向いている。


「大丈夫だ、説明は後でまとめてする。

それより王族の安否確認を急げ!」

「はっ! それに関してご報告です!

王族一同は地下牢に幽閉されておりました!

ですが、その…牢に問題がありまして……」

「何だどうした⁉︎」

「実は牢に結界のようなモノがあって手出しが出来ないのです」

「結界だとっ⁉︎」


牢に結界?

どっかで似たような境遇がつい最近あったような……?


「王族は無事なのかっ⁉︎」

「は、はい、多少の衰弱は見受けられますが、意識はハッキリしております」

「そうか……では結界とやらをなんとかすればいいわけか、よしお前達ここにいる2人を医務室に運んでくれ、今回の作戦の功労者だ。

俺は地下牢に行く」

そう指示を残して旦那が地下牢に向かって行った。


「では悠生さん失礼しますよ」

そう言って肩を貸そうと腕を掴まれた瞬間激痛が走った。


広間に俺の絶叫が広がったのは言うまでも無い。


それを見た別の人がスズに触れようとしていた手を引っ込めた。

「あ、ワタシはあんなにひどくないから大丈夫」


俺の搬送に苦労しながら解放軍の人が慎重に扱ってくれたのだが、それでも痛かった。


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