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15Day 〜作戦開始です〜


アリシアさん達がマロメを立って今日で5日目。

馬車で向かったので3日目には既に王都に到着している。


出口設置が完了したら合図をもらう事になっていて既にその連絡は受けている。

その際に翌日には討伐隊を率いて王都を出発する事も同時に聴いたのだ。


順当に行けば今日には王都から出発した討伐隊を十分に引き離した連絡が入るはずだ。


その間にこちらも装備や送る人員を選抜し、俺のスキルでアリシアさんの部屋に転移して速やかに城内にいる兵士達を無力化する段取りの最終確認を行なっている。


説明で一番手こずったのは『配達』の信憑性だったりする。

何せ出口は一箇所しか設定出来ないから実演する事が出来ない。


一応何人かは森でアリシアさんを配達しているのを目撃しているので、旦那のカリスマ性と併せてなんとか納得させられた。


ちなみにその後の『プランナー』の説明で完全とはいかないまでも転移の信頼性が上がったのだが、こちら(異世界)では『プランナー』も十分に異常なスキルのようだ。

流石の俺でもこんなに多数の人にこんな反応されれば納得せざるを得ない。

この時点では()()()盗み聞きなのになぁ。


で、俺はというものの流石に4日間ボーっとしていた訳ではない。

スズの協力で迷いの森の踏破に精を出していた。

皆が真剣に準備してる中1人ボーっとしてるのは躊躇われたからだ。


その甲斐あってミクのレベルが上がり新スキル獲得!

……とはならなかったが代わりにスキルの性能が上がったのだ。

それにより『プランナー』で音声だけで無く映像での視聴が可能となった。

先ほどただのと付け加えたのはそういう事だ。


これでテレビの説明が簡単に出来るようになったわけだ。

《せっかくの性能アップをそんな用途で使いますか》

百聞は一見にしかずだよ。

まぁ説明する機会があるかどうかと言われれば無いような気もするけど。


とまぁ、今回の戦闘では直接では無いにしろ3日目の報告の時に実演して皆の不安要素を削減出来たという訳だ。


皆が驚く中で旦那とスズだけは呆れた顔をしていた。

さらに性能向上なのに何故そんな反応をされたのか?

俺から言わせてみれば臨場感が味わえるようになったから良い事だと思うのだが?


「さて、そろそろ日が暮れる。

そろそろ合図が入る筈だ、用意はぬかるなよ」

旦那の言葉に一同が頷く。


俺達はいつ合図が来てもいいように迷いの森地下に集合していた。


当初の予定とは違い出口とその安全性も確保出来ている為、5部隊に分かれて送る手筈になっている。

それでも30人って、やっぱ王族の部屋ってデカいんだなぁ。


「皆、転移が完了したら即座に鎮圧に向かってくれ。

小僧、転移は20数える間隔で次々送ってくれ」

「了解」

これもアリシアさん解放後の段取りにより変更になった点だ。


ポン!

各々が最終確認を済ませているとお知らせを告げる電子音が響いた。

その瞬間皆に緊張が走る。


そして、俺のマップがある位置に映像が可視化出来るように浮かび上がった。


[ここまで来れば十分だろうね]

[そうですね、後はこの会話を皆様が聞いてくれているはずなので私達は異変がないか確認しましょう]

[知ってはいても会話しているだけで伝わっているなんて変な感じですね]

[こっちからすればあっちの状況は分からないからね。

まぁ、ぶっ飛んだスキルだよ]


女将さんが褒めてるのか貶してるのか分からない事を言っている。


「よし、合図だ。行くぞ!」

「「「「「おおっ!」」」」」

旦那の声で一同が声を張り上げる。


「では行きます」

ミク『配達』宜しく。

《了解です、分割で発動します》


ミクの言葉が終わると旦那率いる第一陣が光に包まれる。

その光景を見ていた周りが声を上げた。

直接見るのが初めての人もいるしな。


間隔を空けて第二、第三と送っていく。


そして最後に俺の番が来た。

俺を含む30名を光が包みこむ。


次に気付いた時は迷いの森の薄暗さとは別の暗い場所に出た。


そっか、誰もいない場所に明かりが灯ってたら変だもんな。

俺がそんな感想を抱いていると旦那から声がかかった。

「よし、これで最後だな。

お前達は手筈どおり城門付近の制圧だ」


兵士達は敬礼しただけで速やかに部屋を後にした。


「よし、俺達は予定通り玉座の間に向かう。

そこから寝室まで一気に行くぞ」

俺とスズが無言で頷く。


王都フリードの作りだと王の寝室は玉座の部屋からも行ける構造になっている為、玉座に居なければそのまま寝室に殴り込むという訳だ。


俺達も速やかに目的の場所へ移動を開始する。

途中何人かの兵士たちにすれ違ったが突然の襲来に適応出来るはずも無く制圧完了していた。


「流石にぶっ飛んだスキルのおかげで恐ろしいぐらい順調だな」

「そりゃそうだろうねぇ、こんなの聞いた事無いし対策しようがないもん。

狡いとしか言いようが無いよねぇ」

その言葉通り俺達を遮るモノは何も無くスムーズに玉座の間に到達した。


3人顔を見合わせて頷いたのを確認すると扉を開けて中に入った。


入ってすぐに目に入ったのは二つの人影。

王座には誰の姿も無い。

身構えるが人影からは何の反応も無い。


「……? 旦那何か様子が…」

「ああ…」

「…生気が感じられないねぇ。

ん〜なんて言うのかなぁ……人形…みたいな?」

「人形…」

……そういえば一回目の一番最初に牢屋来た時の兵士がぶつぶつ独り言のような事言ってた気がするな。

思えばあれも人形と言われれば操り人形みたいな感じだったな。


「とりあえず今のうちに拘束しときますか?」

「そうだな、襲ってこないならそれに越した事はない」


「騒がしいぞ? 一体何事だ?」

王座の奥から聞き覚えのある声が聞こえて来た。

その想像と相違なく姿を現したのは忘れもしない俺をいきなり処刑しようとした偽王だった。


「お前は……討伐隊を率いて出発したはずでは?」

俺の偽物の事を言っているのだろう。

正体がバレているとも知らずに。


「そっちの2人は誰だ?」

旦那とスズを見て記憶に無いと言わんばかりの言葉を投げかけて来た。


「偉い王様はこっちの事なんざ興味無いって事だな。

まぁ、そっちに用事がなくてもこっちにはあるんでな」

「ふむ? 夜分に来て随分な言い方だな図が高いぞ? この不届者達を捉えよ!」


偽王の声と同時に先程まで生気が感じられなかった兵士が動き出した。


「文字通り操り人形って事か……」

「ここはワタシの出番かな? 少しは仕事しないとねぇ、身内で争いたくもないだろうし」

「すまん、頼む」

「お任せあれ〜」


言うや否やスズがパタパタと兵士達に向かって行く。

その姿からはとても今から戦闘をするようには思えない。


「不届者には死を!」

兵士達は不吉な単語を呟きながら向かって来たスズに向けて剣を振り下ろした。


ガカッ!

ドドゥ!

2人の兵士の剣が地面を叩いた後、鈍いが響いた。


カラカラン!

少し遅れて剣が転がる音が謁見の間に響き2人の兵士が床に崩れ落ちた。


「峰打ちだから許してね」

スズが片目を瞑って旦那に謝る。


「はっ⁉︎ な、なっ⁉︎」

偽王が言葉にならない声を漏らしている。

いやまぁ見た目とのギャップが凄いからその反応は分からんでも無いよ。


いやもうホント敵じゃなくてよかったよ。

底が知れん。


「さて観念してもらおうか」

旦那が偽王に近づき剣を構えた。


「ひ、ひぃぃ‼︎」

偽王が情けない声を上げて怯え上がっている。


魔族にしては呆気ない……というかよくある小悪党の最後のシーンみたいだな?

魔族でもピンキリって事なのか?


ザクッ!

「ぴぎゃっ‼︎」

そんな事を思っていると旦那の剣が偽王を斬った。


最後に断末魔?の声を上げて偽王は地面に倒れ動かなくなった。

まだ何か起こる可能性を考慮して周囲を警戒する。


「うう……」

「「「っ⁉︎」」」

声の発生源は先程スズが倒した兵士達からだった。


俺達は少し距離を取りその後の動向を見張る。

「こ、ここは?」

「私は、…何を?」


「お前達! 正気に戻ったのか⁉︎」

「え? あ! 団長⁉︎」

「これは一体?」

「どこか具合の悪いところは無いか?」

「いえ、特には」

「私も何も」

さっきの操り人形だった状態から一変。

どうやら正気に戻ったという事で間違い無さそうだ。


「そうか、魔族による国の乗っ取りがあった。

今は解放の為、皆で奪還しに来た所だ」

「そ、そんな事が⁉︎」

「私達が知らない所で……申し訳ありません団長!

そのような事態に何も出来ず!」

「気に病むな、外に他の者達がいる作戦は無事成功したと伝えに行ってくれ」

「分かりました」

そう言い残し2人はそれぞれ部屋を出て行った。


「なんか思ってたのと随分違うな…魔族って結構厄介な相手だと思ってたんだけど?」

「それについては同感かなぁ、でもにぃさんのスキルが反則過ぎるのは間違いないよ?」

「そうだな、ここまで相手に何もさせないなんて事普通は無理だからな」


《私のスキルが優秀なのは疑いようがありませんが、呆気ないというマスターの感想には同意です》

ミクどうした? 急に自慢?

優秀なのは認めるけど?


《自慢というわけではありません。

マスターが言った通り優秀な私のスキルで不可解な点が残っているのでこれで終わりとは思えなかっただけです》

不可解な点?


《ええ、コレです》

ミクがそう言うと名刺交換のリストが表示された。


アリシア・フリード

ジーク・フリード

ムジカ

シャルロッテ

ビャッコ

ギド

ザック

ベニー

ギャッツ

ハロルド

アルマ


全部で11人。

いつの間にか増えたもんだな。

てかスズの名前が無いな。

………え? 不可解な点ってもしかしてスズ⁉︎


俺は勢いよくスズの方を振り返った。

「ん? どしたのにぃさん?」

相変わらずの緩い感じだった。


《そっちは私が言ってる不可解な点とは違います》

あ、そうなの? ビックリさせないでよ。


《スズの場合はマスターの世界で言う日本に似てるのでおそらく苗字があるるのではないかと予測されます。

そちらではなく……》


ドクンッ!

「「「「「っ⁉︎」」」」」


一際大きい脈動が謁見の間に響いた。

全員が音の方向を振り返る。

音の発生源は偽王だ。


「まだくたばってなかったかっ⁉︎」

言いながら止めをさそうと偽王に斬りかかった。


バリバリバリッ!

「がっっ⁉︎」

旦那が偽王に斬りかかる直前で電撃のような壁が遮った。


「旦那っ⁉︎」

「ぐっ⁉︎ だ、大丈、夫だ」

旦那は剣を地面に刺し肩肘をついた姿勢で体から煙を上げている。

全然大丈夫そうには見えん!


とりあえず俺は旦那を偽王から引き離した。

その間に偽王からは黒い煙のようなモノが吹き出し包み込んでいく。


「ヤな予感」

「奇遇だな、俺もだよ」

スズの言葉に同意を示している間に黒い煙がどんどんと膨れ上がっていき、人型の形を形成していく。


揺らいでいた煙は徐々にしっかりとした輪郭を作っていき、色付いていく。

「やっと解放されたか…アヤツめ、ふざけたマネをしてくれたモノだ。

そこの人間、我を解放した事は褒めてやろう」


偉そうな物言いで姿を現したのは3メートル以上はありそうな体長に紫の体躯。

そして特徴的な豚の顔。

オーク……だよな?


疑問系な理由はアレだ、オークってなんかでっぷりした体型してるじゃん?

俺の勝手なイメージだけど。

だけど目の前にいるのってだいぶスリムなんだよね〜、しかも喋ってるし。


ゴルル〜ッ!

「む? 腹が減ったな」


……え〜? もしかして空腹でスリムになってんの?


《……そう言う事でしたか》

ミクどうした?


《おそらくですが目の前のオーク、第三者による洗脳もしくは封印による別人格を形成していたと思われます》

どう言う事?


《今マスターのリストからジーク・フリードの名前が消えました。

名刺交換の前提としては本人が自分の名前を自覚している事が必須です。

ですので偽名を名乗ってもリストには登録されません》

女将さんみたいにって事?


《そうです、ですが偽物であるはずなのにリストに登録されていました。

同姓同名の可能性も否定出来ませんでしたが、今のリスト状況、先程のオークの言葉と合わせると自分がジーク・フリードであると自覚させられていたと考えるのが妥当です》

マジか⁉︎ 裏で暗躍してる奴がまだいるって事かよ⁉︎

道理で…呆気なさ過ぎると思ったけどそう甘くは無いって事か。


解決するにはまずは目の前のコイツを倒してから……まぁ魔族と言ってもオーク、しかも腹ペコ状態。

色は違えど似た様なサイズは夢で撃破済みだ。

スズもいるし問題無いだろう。


「小僧……、隙があれば全員連れて撤退しろ」

旦那がこそっと俺に伝えて来た。

「え?」

俺は意味が分からず聞き返した。


「アレはマズイ、オークキングだ!」

キング? 王様?

……確か夢で出会ったのはジェネラルって言ってたっけ?

ってことは……将軍の上って事か⁉︎


「聞いた事しかねぇが紫の体躯で言語を理解し会話が出来るなんざそれしかねぇ、アレは一国家の全勢力で対処出来るかどうかの天災級だ!」

げっ⁉︎ ここに来て超大物出現っ⁉︎


期待を込めてスズを見る、が。

首を左右にブンブン振りながら両手でばつ印をしている。

…………マジ?


「さて、お前達には褒美をやろう」

オークキングがそう言い終わるとその場から消えた。


「消えt」

「死と言う名の褒美をな」

ゴッ! ガァンッ!

言葉を言い切る前に間近から声が聞こえた。

そして襲い来る衝撃と破壊音。


「にぃさんっ⁉︎」

「小僧っ⁉︎」

「人の心配とは余裕だな?」

「っ⁉︎」

スズが間近から聞こえた方に向かって反射で居合を放つ。


「げっ⁉︎」

しかしその刃はオークキングに指で挟まれていた。


「ぐっ、おおっ! スキル『バーサーク』っ‼︎」

旦那が叫ぶと体が赤みを帯びていく。

防御を捨てて3倍の攻撃力を付与するスキル。


痺れる体を無理やり動かし大剣を担いで斬りかかる。

が、旦那渾身の一撃もオークキングには届かず片手で受け止められた。

「微風よ」

「ぐっ!」


オークキングが受け止めた2人の得物ごと左右に投げ飛ばした。

「きゃっ!」

「ぐおっ!」

ドゴォ!


「…う」

「ぐ…」

壁に激突した2人が呻き声を上げる。


「む?」

オークキングが投げ飛ばした2人を見て怪訝な声を上げた。


「まだ息があるのか? 存外にしぶといな?」

オークキングが旦那の方に歩みよろうとした時に足に違和感を覚えた。


「この斬り傷は…? 小娘…お前か?」

スズの方に向き直り尋ねる。

「き…ず…?」

スズに覚えは無い。


「ふむ……まぁよい」

オークキングは何事も無かったように標的をスズに変えて歩み寄る。


「獲物を痛ぶる趣味は我には無い、すぐに楽にしてやろう」

オークキングがスズに止めの一撃を振り下ろそうとした。


ガラガラ。

「いってぇ〜! マジ死んだかと思った! 吹っ飛ばされて壁が破壊されるとか漫画かよ!」

「ほぉ、生きていたか…という事はこの傷は貴様か」

オークキングが納得したように声を発した。


危ねぇなコイツ、素のままだったら間違いなく死んでたぞ!

声が聞こえると同時に4乗を発動、声の聞こえた方に向けて抜刀のイメージだけしたけど、防御までは出来なかった。


「にぃ…さん、無事…だったんだ」

「……というよりそっちの方が死にそうなんだけど」

「そん…な、元気そうな…にぃさんの方が…おか…しい…って」

まだ短い付き合いではあるが、旦那とスズの状態を見て怒りが湧き上がって来た。


知り合いがここまでボロボロにされると気分悪いな。

勝てる勝てないは別としてコイツは許せん!


「ほう、やる気か」

「知り合いをやられて黙ってられるほど利口じゃないみたいなんでな」

「よかろう、来るがいい」


やってやるよ!

ミク! 複合スキル『計画地図(プランマップ)』!

《了解です、マスター御武運を》


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