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10.1Day 〜スキルの使い方は人それぞれ色々です〜


…眩しいな。

光が目に当たり目が覚めた。


「…いっつっ⁉︎」

体を起こそうとして節々に痛みが走った。

この痛みは記憶にある。

元の世界では子供の頃はよくお世話になった。

それは筋肉痛だ。


武闘祭とか慣れない事したからなぁ。

とは言っても所詮筋肉痛、別に動けないわけではない。

それより今日は肝心のアリシアさんが目覚める予定の日だ。


「起きたか小僧」

「おはようございます……えっとスズはまだ?」

「ああ、まだ寝てるんじゃないか? と言ってももう昼前だが」

マジか? だいぶ寝てたな。


「アリシアさんは…」

「まだだ、かけた時間を考えれば目覚めるのは早くても昼過ぎ以降だろうな。

それより小僧、隣の部屋にいるのはいいが何をするかは教えて貰えるんだろうな?」

「もちろん教えますよ、急にやって驚かれても困るんで」

その為の事前準備と確認が必要だったから言えなかったってのもあるからな。


事前準備というのは名前の確認だ。

第一に俺の替え玉の人の名前、これは驚いた事に今まで医者だと思ってたギドの変装だった。

どうやら最初から解放軍のメンバーだったらしい、アリシアさんの状況も把握していたので診察する振りをしていたらしい。

一応本当の診察も可能らしいが。


そしてもう1人名前の確認をしなければいけない人がいる、それは女将さんだ。

カレンという偽名ではなくホントの名前を教えてもらわなければいけない。


「何言ってんだよ、アタシの名前はカレンだよ、村で聞いたんだろ?」

という感じで最初に聞いた時は惚けてたんだけど。


「女将さん残念ながら俺のスキルでそれがホントの名前じゃないのは分かってますよ」

「呆れた、アンタのユニーク職のスキルはそんな事まで分かんのかい?」

「結果として違うって事が分かるだけですけどね。

ただ今回はちょっとスキルを発動する為に女将さんの名前が必要なんですよね」

「ふ〜ん、またとんでもないスキルが飛び出すんじゃないだろうね?」


どっちかと言えば盗み聞きだからやましい事してるような感じだが…。

「……どうなんでしょう? 女将さんよりなスキルのような気もしますけど……」

「何だいそりゃ? まっ構わないよ、足がつかないようにする為だったけど、アンタにはもう隠す必要もないしね。

アタシの名前はアルマだよ」

ミクどう?

《リスト登録を確認しました》


「ありがとうございます」

「疑わないのかい?」

「ちゃんと確認しましたよ」

「へぇ、何かしたわけじゃ無さそうなのに分かるんだねぇ」

「そういうスキルなんで」

「なんか他にも色々ありそうだねぇ」

てな感じで名前をゲットした。


で、次に確認なんだが。

スキル『プランナー』を他の人にもオープンで使用出来るかどうかという事だ。(音声だけではあるが)

後から俺が説明してもいいんだけど体験してもらった方が話が早いからな。


それにどういうモノか分かってた方が旦那も安心出来るだろう。

今回の盗み聞きがメインじゃなくて出口の設置完了の合図に使うつもりだからな。


当初はアリシアさんに夢の中で教えてもらおうと思っていたんだが、重大な問題が発生した為夢での伝達を断念せざるをえなかったからだ。


俺としては全く自覚が無かっただけに血の涙を流しそうだったが。

いやもうホント何で気づかないかなぁ。

アリシアさんを抱きしめる機会なんて流石にもう無いだろうしなぁ。

あったら王様に殺されそうだし…その時はもう銀河の果てまで逃げるしかない。


と、話がだいぶ逸れたけど結論としてはオープンで使用可という事でちゃんと説明出来る準備が整った訳だ。


「じゃあ昼飯の後にスズも交えて説明しますよ。

ちょっと外でする内容でも無いので」

「まぁこちらの準備は出来てるし、決行までは時間があるからな」

「じゃあスズを起こして来ますね。

旦那は先に下に行ってて下さい」

「おいおい、ここで食うつもりか?

万が一アリシア王女が起きて鉢合わせしたらどうすんだ?」

「そうなりそうならすぐ言いますから大丈夫ですよ」

「あん? もしかしてまたスキルか?」

「そうです、だから安心して下さい」

「またエライ事を聞かされそうだな」

「自分ではそうでも無いと思ってはいるんですけどね、感想は後ほど」

「小僧の感覚は宛にならねぇからなぁ」

旦那の言葉を背に受けながらスズを起こしに向かった。


コンコンコン。

ノックをするが返事は無し。

旦那は寝てるんじゃないかと言ってたけど流石に昼だし起きてるとは思うんだが?

かと言って今の状況で無断でどこかに出掛けるとも思えない。


コンコンコン。

もう一度ノックしてみるがやはり反応は無い。

扉を開けようと試みたが開かない。

となればいるのは間違い無い、まだ寝てんのかよ?

う〜ん、どうしよう。


……ミクちょっと質問なんだけど?

《何でしょう?》

『夢旅行』で相手を起こしたり出来る?

《……目覚まし代わりですか? そんな使い方されるのはとても不本意ですが出来ますよ》

出来るんだ…でもなぁ説明は必要だし、しょうがないから目を瞑って欲しいんだけど?


《命が危険に晒されない限りマスターの言う事に拒否はしませんよ……とてつもなく不本意ですが》

……表現がパワーアップしてる気がするんですが?

《この上ない不本意なだけですよ》

それもう拒否ってるのと変わんなくない?


《冗談です、ただ前回の英雄的な使い方から一変して庶民的な使い方になったと思っただけです》

そうは言うけどそんなつもりはさらさら無いしなぁ。

それに異世界の英雄なんて厄介事しか無いイメージだし。


そんな事より一旦部屋に戻ってスズを起こしに行こう。

旦那を待たせ過ぎるのも悪いしな、ミクお願い。

俺は早速部屋で寝転び頼んだ。

《『夢旅行』発動します》

ミクの言葉の後に意識がどこかに吸い込まれるような感覚を覚えた。


「あれ?」

次に気づいた時、俺は景色に変化が無い事に疑問の声を上げた。

全く同じ部屋?

《いえ、ここはスズの夢の中で間違いありません》


アリシアさんの時は王都だったのにスズの場合が宿な理由は?

《そもそも夢には段階があります。

基本他人の夢にはセキュリティが働いていると考えて下さい。

アリシアの場合は自分から招いていますので特殊なパターンです。

今回のスズのような表層からスタートするのが一般的です》

それって大丈夫なの?

今回はスズを起こしに来てるんだけど?

《寝てるのを起こす分には問題無いでしょう》

そんなもんなんだ。


じゃあ早いとこ起こしに行こうか。

宿って事は隣の部屋って事でいいのかな?

《そうでしょうね》


コンコンコン。

隣の部屋の前でノックをしてみるが、現実同様返答が無い。

そして鍵も閉まってると、……夢なんでぶっ壊しますか。


バキャ!

扉を蹴破った。

部屋に入るとベッドで横になっているスズがいた。

夢でも寝てんのかよ。

「お〜いスズぅ、起きてくれ」

とりあえず揺すって起こそうと試みるが起きる気配が無い。


…叩き起こすしかないか?

夢の中とはいえ女の子に手荒な事はしたくないんだが…。

《マスター、ここはスズの夢なのでスズ自身には肉体的な痛みが存在しません。

従ってその案はボツになります》

何でダメな企画を出した社員みたいになってんだよ?


どうやって起こせばいいんだ?

《『夢現』で4乗を発動すれば起きると思いますよ》

4乗? …ああ、スズがやってた『剣気』とかと似てるんだっけ?

《そうです。スズなら寝てても気付くでしょう》


ふぅん…じゃあ4乗発動してみるか。

《発動します》


バサッ!

発動と同時に布団が吹っ飛ぶ音がした。

夢の中なので一瞬の事でも認識出来た。

さっきまで全く起きる気配の無かったスズが飛び起きて刀の柄に手を添えていつでも抜刀出来る体制をとっている。


ん〜、こういうのを見るとスズって凄い奴なんだよなぁ。

「起きた?」

「あれ? 今の…にぃさん?」

「おう」

「…心臓に悪いからいきなりさっきのは辞めて欲しいなぁ」

「すまん、中々起きなかったんでな。

というより現実でも早く起きてくれ」

「んん? どゆこと?」

「いや、ここ夢だからさ。頬っぺたツネってみ」

疑問符をいっぱい浮かべて動こうとしないスズ。


それに痺れを切らして代わりにスズの頬っぺたをツネる。

「いひゃ……く無い?」

「言ったろ、夢だって」

「……にぃさん…ちょっと意味が分からないんだけど?」

「ここはスズの夢の中、俺は現実で全く起きてこないスズを夢の中に起こしに来たの」

「………聞いても意味分かんない」

「分かんなくていいから取り敢えず起きてくれ、もう昼過ぎだからな頼むよ」

それだけ言うと俺はスズの夢から退散した。


「もう何がなんだか…」

スズの疑問に応える声は無かった。


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