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邂逅 スズ①

時系列的には6Day〜8Dayになります。


ここがバルトかぁ。


多種多様な人種が集まる都市バルト。

人が集まる所には色んな品も多く集まる。

スズはお目当てのモノを探して街をぶらぶら徘徊していた。


暫くするとベンチに座っている二人組に目が止まった。

正確には手に持っているモノに、だが。


「ねぇねぇ、それって何処で売ってるのぉ?」

「え?」

「……ああ、コレですか? 珍しいですよね、あそこのお店で出してますよ」

「ありがとぉ」

2人にお礼を言い、聞いた店に入って行く。


扉を開けて中を見回してから一直線に奥のカウンター席を目指して歩いて行く。

「おじさん、お団子くださいなぁ」

「おう、ちょっと待ってな」


待つ事暫し。

「お待ち」

「わあっ!」

差し出された団子を見て感嘆の声を上げた。

早速手に取って口に運ぶ。


「はむっ、んー、ふぉれふぉれ(これこれ)

「随分と美味そうに食うな? 嬢ちゃんここらじゃ見ねぇ格好してるが…もしかして東方の出身か?」

「んぐんぐ、そだよぉ」

「ほぅ…で、どうだ? 本場と遜色ねぇだろ?」

「はむ、ふぁっちり(バッチリ)

団子を頬張りながら片手で丸のサインを送った。


「そりゃ何よりだ」

「んぐぐ、おじさんお茶もあったりする?」

「ああ、あるぜ」

「じゃあお願い、それとお団子追加で」

「おう、まいど」


今度はお茶と団子がセットで出された。

追加の団子を頬張りお茶を飲む。


「しふくぅ〜」

「本当に美味そうに食うな」

「いやぁ、こっち側には東方の食べ物って殆ど無いんだよねぇ」

「確かに他では見た事ねぇかもなぁ……ここ(バルト)だからあるってのは間違いないかもな」

「でしょ?」


「でも嬢ちゃん大丈夫かい?」

「んん?」

「甘味なんて貴族階級の奴が食べてるもんだぜ? まして東方からの素材だからこっち側だと値も結構なもんだぞ?」

「そうだよねぇ〜、いくら?」

「今ので大銀貨5枚だな」

「うへぇ、高いなぁ」

「だろ? 他の東方の食べ物だとあんみつとかあるがコレだと金貨1枚だからな」

「あんみつあるのっ⁉︎ でもぉ、ん〜金貨1枚かぁ」


払えるか払えないで言えば払える。

だが定職についているわけではないので仕事を探さなければならなくなる。

運良く見つかればいいが、あいにくこっち側では伝が無い。

今後が厳しくなるのは目に見えてる。

しかし目の前の欲はかなりの強敵である。


暫く唸っていたスズにおじさんが光明を口にした。

「ここで手っ取り早く稼ぐ方法と言えば武闘祭だろうけど……流石に嬢ちゃんには難しいしな」

「ぶとうさいって?」

「嬢ちゃん知らないのか? ここで一番有名のはずなんだが、ほぼ毎日やってる賞金が出る大会だよ」

「賞金っ⁉︎」

「あ、ああ」

スズの身の乗り出しに若干押されながらも説明を続けるおじさん。


「毎日違う種目が開催されててな、賞金はだいたい大金貨5枚が相場だな」

「あんみつが50杯食べれる!」

「どんだけ食べるんだよ……でも優勝しなきゃならないからな嬢ちゃんにはちょっとな…」

「おじさんそれってどういう種目があるの?」

「聞いちゃいねぇな……剣、魔法、格闘とかが主かな?」

「剣があるの⁉︎」

「お、おう? 何だ嬢ちゃんもしかして剣士なのか?」

「ん〜、こっちではそう言う呼び方になるかなぁ」

「へぇ、見えねぇなぁ」

「どこで申し込めばいいの?」

「街の中心にデッカい建造物があるからすぐ分かると思うぜ。

そこで受付やってるよ」

「ありがと、じゃあ食べたら行ってみようかな」

「う〜ん、言い出しっぺの俺が言うのもなんだが、辞めといた方がいいんじゃねぇか?

俺が言ったせいで嬢ちゃんが怪我するのも寝覚が悪いしなぁ」

「大丈夫、大丈夫ぅ」

「そう言われてもなぁ……」

ガシャァンッ!


おじさんがなおも食い下がろうとした時、後ろから何かが割れる音が響き続いて怒号が聞こえた。

「ふざけんなよっ! 何で俺がこんなとこで負けんだよ!」


声の方を振り返る。

ローブを纏った20代ぐらいの男が苛立っていた。

「お、お客様、て、店内ではお静かに…」

そこへ店の店員が恐る恐る注意をしている。


「あ? うるせぇよっ⁉︎  文句あんのかっ⁉︎」

「で、ですから、その店内では…」

「あるってことでいいみたいだなっ⁉︎」

「い、いえ! その…」

騒がしいなぁ、食事時は静かにするものなのに。


「ちょっと今日はマズイかもな」

「どしたの?」

「あれはおそらく武闘祭の参加者だ。

しかも今日の種目は確か魔法だったはずだ」

「ふぅん、はむ」

「おい! 誰か憲兵に連絡しに行ってくれ」

「……ねぇねぇ、おじさん。

アレなんとかしたらお団子おまけしてくれる?」

「うん? 被害が出る前になんとか出来るに越した事はねぇが……嬢ちゃんまさか止めるつもりか⁉︎ やめとけ!」

「まぁまぁ、大丈夫だから、それよりお団子約束ね」

そう言ってスズは叫んでいる男に座ったまま体ごと振り向いた。


「ちょっ…」

「うるさいよ〜、飲食店ではお静かにぃ」

あれ? 今他にも止めようとした人がいたような?

……あのにぃさんかな?……ありゃ?

刀を持ってる? もしかして同郷の人?

でもこっちはお団子がかかってるからねぇ、この場はワタシがもらうよぉ。


「何だぁ⁉︎ 俺に向かって何か言った奴はどいつだっ⁉︎」

男が声の発生源を求めて振り返り、止めに入ろうとしたにぃさんもこちらに視線を向けて来た。

その間もお団子を食べる事を欠かさない。


「今のはテメェかっ⁉︎」

ふふふぁいなぁ〜(うるさいなぁ〜)

「テメェいい度胸してんじゃねぇかっ!」

「んぐん」

「て、てめぇ! 完全に舐めてやがるな! 消し炭にしてやるっ! 炎よっ!」


ボウッ!

男の手から火が出た。

「きゃあっ⁉︎」

「うわあっ⁉︎」

周りにいた客達から驚きと悲鳴が上がる。


「あ〜、やっぱり今日はそういう奴だったか」

にぃさんの隣にいる女の人がやっぱりと言った様子で零した。


「女将さん! そういうってどういう事ですか⁉︎」

「今日はほら武闘祭の種目が魔法だろ。

十中八九やけ酒してる奴なんて負けた奴だろ」

おじさんと同意見か、にぃさんは分かってなかったみたいだねぇ。


う〜ん、あの女の人はともかく…にぃさんの方は危なそうだなぁ。

あ、にぃさんが動きそう……ん〜でも動きがなぁ。


「ズズゥ〜」

お茶を啜る音が響き全ての動きが止まり一瞬の静寂が訪れた。


「よぉし! よく分かった! 二度と目が覚めないようにしてやるよっ!!」

男が手に纏った火を放とうとした直後。


「っ⁉︎」

「ここは店内、火遊びなら外でやりなよ」

「ーっ⁉︎」

男も周りも身動きどころか声一つ発する事が出来ないでいた。


先程咥えていた串を男の眼球間近で止めた状態だったからだ。


男が一言も発せず冷や汗を滝のように流している。

赤かった顔も今や真っ青だ。

「場所が分からないならこの目はいらないかなぁ?」

串を手前に引くと男が首を左右に大きく振った。


「じゃあ割ったモノは弁償して静かにねぇ」

男はコクコクと首を振ってその場に膝から崩れ落ちた。


それを見届けてカウンター席に戻って行きおじさんに声をかける。

「ねぇ〜、これでいい?」

「あ、ああ」

「やたっ!」

おじさんが一度引っ込むと約束の物を差し出して来た。

紙の中身はもちろんお団子。


「おじさんありがとね」

「いや、お礼を言うのはこっちの方だよ。

ありがとよ」

紙の中から団子を一つを取り出した。


「えへへ〜んじゃね〜、んぐ」

お礼を言ってお団子を頬張りながら店を後にしようとした所で、止めに入ろうとしたにぃさんとすれ違った。


お礼は言っとこうかなぁ。

「にぃさん、止めようとしてくれてありがとね」

「っ⁉︎」

「にぃさんも私と同じ出身かな?

でもその感じだと危ない事は止した方がいいかもぉ、んぐ」

話ながら団子をもうひと齧り。


「……同じ、出身?」

ふぁれ(あれ)? んぐぐ、違った? それ刀でしょ?」

目線でにぃさんの刀を指したらにぃさんも自分の腰に目線を写した。

それを受けてにぃさんも察しがついたみたいだ。


「ああ、そうだけど? そっちも?」

「そうだよぉ〜、こっちでコレを使ってる人は見た事無いからてっきりそうだと思ったけど、あむ」

言い終わってまた団子を頬張る。


「あ〜、出身はこっち側かな?」

ふぉふぁの(そうなの)? んぐんぐ、まぁいいや。じゃねぇ〜」


今度こそ去ろうと思ったけど…。

「あ、そうだ」

釘を刺しておくのを忘れてた。

そう思い踵を返してまだ膝立ちになっている男の元へしゃがみ込んで新たな串を顔に向けた。


「ひっ⁉︎」

ありゃ? ビックリさせ過ぎたかな?

まぁいいや。

「ちゃんと弁償しなよぉ」

「は、はひぃっ!!」

「ん、よろしぃ〜」

「んんっ‼︎⁉︎」

男の口にさっきまで食べていた団子の串を差し込んだ。

そして今度こそ店を後にした。



街の中心って言ってたよねぇ。

店のおじさんから聞いた武闘祭の受付場を目指していたのだが…。


その途中にある誘惑の多い事、多い事。

屋台がいっぱいあるねぇ、お団子がなければ寄ってたなぁ。

あ、飴が売ってる。

これぐらいなら買ってもいいかな?


「おばちゃん飴ちょうだい」

「はいよ、どれにする?」

「むぅ〜、コレとコレ、後ぉ〜ここからここまで」

「全部で大銀貨1枚ね」

んん?

ふと違和感を覚えた。


「はい」

「ありがとね」

とりあえずお金を払い屋台を後にする。


……つけられてる……。

ちょいちょい見られているのは知っているが、それとは違いこっちの歩幅に合わせて一定の距離を保ちつつの視線を感じる。

どこからかは分からないが中々の手練れ。


ま、いっか。

敵意は感じ無いし。

それ以上視線を気にするのを止めて街の中心に向かった。


アレかなぁ。

それなりに歩くと一際大きい建造物が目に入った。

そして入り口と思われるところの周辺にはこれでもかというほど屋台が軒を並べており人が群がっていた。


そんな人混みをスルーして建造物の中に入って行く。

するとすぐに案内所があった。

参加申込みを伝えると目的の場所へ案内された。


早速お目当ての剣の種目に参加……と思ったが。

「おねぇさん、この『剣、異種族』っていうやつの異種族って何?」

剣の他にも書いてあるモノがあった。


「ああ、それは優勝者が調教師の魔物と対戦するエキシビジョンです。

勝っても負けても賞金は支払われますので心配しないで下さい」

「ふぅん、じゃあこれに参加で」

「はい、ではこちらに必要事項の記入をお願いします」


受け取って必要事項を記入して受付嬢に渡す。

「はい確かに、では出場料で金貨1枚になります」

うわぁ、あんみつ分だ。

でもしょうがないかぁ、勝てばいいんだし。


「んじゃこれで」

「はい確認しました、大会は明後日になります。

当日は頑張って下さい」

明後日かぁ、どこかで宿を探さないといけないなぁ。

まずは目の前の宿で聞いてみようかな。


目に入った宿に入って聞いてみたが…。

「ごめんよ、あいにく全部埋まってるんだよ」

「そうなんだ」

「こう言っちゃなんだけどコロシアム周辺は大会参加者で大抵は埋まってると思うよ」

「えぇ? そうなの?」

う〜ん、じゃあ遠いとこを探すしかないのかぁ。

若干肩を落として外に出たところで変化に気づいた。


んん? 視線が消えてる? なんだったんだろ?

……それより宿宿ぉ。

元々そこまで気にしていなかった為、すぐに切り替えて宿を探し始める。


会場から徐々に離れながら宿に突入するも空きは無し。

困ったなぁ、ホントに空いてないや。


「ねぇさん!」


もう会場からは結構離れてるよねぇ。


「ちょっと! ねぇさん! 無視しないで下さいよ!」


ん? もしかしてワタシ?

声のする方に振り返ってみる。

ん〜? 知らない人だ、やっぱり人違い。

そう思いまた宿を求めて歩こうとした。


「ちょっ⁉︎ ねぇさん⁉︎ 待って下さいよっ!」

「ワタシ?」

「そうです!」

誰だろう? 見た事無い……ようなあるような。


「そりゃあ、ねぇさんからしたら眼中に無いだろうけどちょっとショックだな」

「んん?」

「ほらコレでどうです⁉︎」

男は一本の串を見せて来た。


「串?」

「これでもダメか……、さっき店で暴れようとしてねぇさんに何も出来ずに黙らされた奴、って言えば分かってくれますか?」

「……ああ、お団子のとこの人。

どしたの? 報復か何か?」

「とっ! とんでもないっ! ちゃんと店に弁償して宿に帰る所ですよ! そしたらねぇさんが宿から宿へ入って行くのが見えたんで声をかけさせてもらいました」

「話が見えないなぁ?」

「ねぇさん宿を探してるんだろ? 俺は今日で引き払うんで俺の宿を使ってもらおうと思いまして」

「いいの? 助かるぅ」

「迷惑かけたお詫びです。

ねぇさんのお陰で目が覚めましたから、俺なんかまだまだだってね、じゃあ宿に案内しますよ」

「よろしくぅ〜」


そして少しばかり会場に戻った場所で宿を確保する事が出来た。

「それじゃあ、ねぇさん俺はこれで! 今度会う事があれば簡単にあしらわれないようにします!」

「じゃあねぇ」

「失礼します!」

そう言って男は去って行った。


思わぬところから宿が確保出来た。

後は明後日まではダラダラして過ごそうかな。


そうして有言実行でダラダラと過ごしたのだった。


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