冒険の準備をしよう 〜買い物編〜
予想より早くなりました。
次は短い予定なので今日明日までにはアップします。
…たぶん。
結局何も分からなかった。
地図を見て街の踏破率が100%になったのはいいが、肝心の何が出来るのかは不明。
ついでに何故街だけなのかも分からずじまい。
告知するなら説明もしてくれよな〜。
この世界ってぶん投げが流行ってんのか?
王様からしてそんなんだもんな〜、スキルもそうなのか?
100%になっても何も無いだけの可能性もあるけど…。
やっぱり旅人ってダメなのかな〜。
妙に変なスキルばっかりだし…。
パッシブスキルの名刺交換ってなんだよ?
なんで王様とアリシアさんだけなんだ?
前回の鑑定士のじいさんや今回の司書さんは登録されてない……王族限定?そんな中途半端ことあるか?謎過ぎる。
登録条件が分かれば良い機能なんだろうけど。
戦闘職じゃなきゃ有用なんだけどな〜、プランナーとか…盗み聞きみたいで。
それに加えてオート記録のマップだろ?
これもう旅人じゃなくて諜報員とかの間違いじゃねぇの?
そんなことを思いながら今は王都フリードの街を歩いている。
「悠生様。着きましたよ」
アリシアさんに呼ばれて我に返る。
そういやこの世界で初めて名前呼ばれたな。
名乗るような機会もなかったが。
匠悠生それが俺の名だ。
一応性は伏せてある。
変なところでテンプレなこの世界のことだ、性があるとどうのこうの勘ぐられるかもしれないと思ったからだ。
はい、ただのラノベ知識です。
性は貴族だけとかそんな設定を読んだことがあるからです。
それ以上に深い意味はありません。
慣れないから様付けを止めて欲しいと頼んだが、アリシアさんには受け入れられなかった。
真面目ですね。
「では、私は外で待っていますので」
そう言ってアリシアさんは入り口で待機している。
今のアリシアさんは頭からフード付きのローブを被っており顔を隠している。
まぁ、王女様だしね。街に現れたらびっくりすることでしょう。
そんな人を監視につけるとか何考えてんだあのブタ?
よっぽどアリシアさんが優秀なのか?
それとも他に信用出来る人がいないのか?
…この世界はよう分からん。
うおっと⁉︎
考え事をしていたら何かにぶつかってしまった。
「あん⁉︎」
二メートル以上はある体長に全身毛むくじゃら、両の手には鋭い爪を備えており、獅子の顔をした生物に見下ろされた。
どうしますか?
たたかう、ぼうぎょ、じゅもん、にげる。
にげるを選択。
「すみませんでした!」
しかし入り口ではアリシアさんがこちらを見ている。
男のプライドが悠生を踏み止まらせた。
「おう!にいちゃんどうした?」
つるりと光る頭に筋骨隆々の上半身裸のオヤジが現れた!
どうしますか?
たたかう、ぼうぎょ、じゅもん。
ぼうぎょを選択。
悠生は身構えている。
オヤジは不思議そうにこちらを見ている。
獅子は興味を失ったのか去って行った。
ふぅ、いきなりのエンカウトに思わず単純な行動しか考えられなかった。
なんだ今の?二足歩行のライオン?
「にいちゃん獣人族を見た事ねぇのか?」
去って行くライオンの後ろ姿をジロジロ見ていたらオヤジが声を掛けてきた。
「獣人族?」
「なんだ?知らねえのか?まぁ…この街じゃあまり見ないかもな、他だとそれなりにいるぜ?」
ふむ魔物とは違うのか?後でアリシアさんに聞いてみるか…。
「で?今日は何のようだ?」
でした。本題に入らないと。
「何か武器を探してるんですけど、初心者向けのモノってありますか?後、出来れば服装も変えたいんですが、予算は金貨10枚で」
街を歩いてる時にたまに見られるんだよね。
ちなみにお金は国から支給された。
通貨は全部で6種類。
下から順番に銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨となる。
銅貨は日本円で1円相当。
銅貨10枚で大銅貨1枚、大銅貨10枚で銀貨1枚と以下省略。
大金貨1枚は十万円相当と実に分かりやすかった。
オヤジが値踏みするように見てくる。
近い!近い!そして勝手に服の感触を確かめてくるな!
「珍しい服だな?」
まぁ、この世界の服装じゃないからね。
言わないけど。
そしてオヤジよ、変態オヤジと命名されたくなかったらそろそろ離れてくれません?
大人だからね、もちろん口には出さないよ?
心の中では別だけどね、それが大人だ。
「ふむ、武器だったな…初心者向けなら片手剣だろうな」
そう言いながら壁に立てかけてある剣を持ってテーブルに置いた。
「これ、持ってみても?」
「構わねえよ」
「じゃあちょっと失礼して」
いや〜、生で見ることになるとは世の中わからんもんだな。
元の世界なら持ってるだけで銃刀法違反だわ。
って⁉︎これ重っ⁉︎
えっ?何これ?片手剣って言ってたよね?
こんな重いの⁉︎マジ?こんなの片手で振れねーよ!
「あの…これより軽いやつってあります?」
「いや、それが一番軽いやつだな」
ナンデストっ⁉︎
職業だけでも死ぬほど苦労してんのにここに来てまだこんなトラップがあったとは⁉︎
この世界旅人に優しくなさすぎじゃない?
もうこれユニークじゃなくて普通の職業の方がよくね?
「にいちゃん持てねぇのか?」
「持てなくはないんですが、片手で振るのはちょっと…」
「それ以外だと小剣とかダガーになっちまうんだが、それだと素人が扱うもんじゃねぇな〜」
「ですね〜」
まさかの素手っスか?無理っス。
何か、何か無いのか⁉︎
部屋を見回すとファンタジー色いっぱいの武器が飾られている。
両手剣、斧、槍、弓矢、杖、ナックル、クロー、手袋?等、何故素手を強要するかのように並んでいるんだろうか?最後なんて武器じゃないよね?異世界だから物凄い効果があったりするんだろうか?
一応見てみる。
「それ、ただの手袋だぞ?」
なら何故武器と一緒に飾っている!
ん?
部屋の隅に傘立てのような物に色々突っ込まれている物を見つけた。
可哀想に他の武器はちゃんと飾られているというのに(例外あり)。
「あれは?」
「あ〜、あれな。見てもいいが期待すんなよ?」
「じゃあちょっとだけ…」
まず最初に目に入ったモノを手に取る。
おっ、軽いじゃん。
そして引き抜いてみたモノは……。
「これって?」
「木の棒だな」
「ですよね〜」
おい!オヤジ!なんでそんなもん入れてんだよ!
武器屋にあるんだから期待しただろうが!
コレとお鍋のフタが通用すんのは国民的ゲームだけだよ‼︎
気を取り直して……おっ、これは軽い上にギザギザの刃がついてる。あれ?これって元の世界でも見覚えあるような?
「これは確か…」
「ノコギリだな」
……武器…と、言えなくも無いのか?
でも大工道具でしょ?
まだ木の棒の方が武器としてカテゴライズされてる気がする。
次だ次!……軽い上に細い?
無言でオヤジを見る。
「釣り竿だな」
武器ですらねぇのか!クソオヤジ!そんなモン混ぜるな!
ヘンタイ通り越してクソオヤジになっちまったじゃねぇか!ったく!
えっと後は…、糸鋸、木の棒(また?)、木剣、竹槍、丸められた絨毯?、釣り竿DX…。
いや俺が命名したんじゃないよ?
竿にDXって書いてたのそのまま読んだだけだからね?そもそもデラックスって読んだけど、合ってるかどうかも分からん。
……マジで碌なモノが無い。
期待するな、の意味がよく分かる。
というより武器ですら無いのが混じってるし、木の棒何本入ってんだよ⁉︎
そんなに需要あんのか?
それに絨毯ってなんだ?殺傷力ゼロだよな?
おろ?絨毯の中にもなんかあるな?
少しずしっとくる程度の重さ…これって。
「なんだ?そいつに興味があるのか?」
「オヤジこれって」
「誰がオヤジだ!俺はまだ25の独身だ!…そいつは東方から仕入れた刀ってやつだ。切れ味は良いんだが使い手がいなくてな」
やっぱり刀か……というよりまさかの同い年⁉︎
信じられん。そして何故独身を言ってきた?
まさか⁉︎そういう趣味なのか?そう言えばさっき異様に近かったな……忘れよう、そういう趣向がいるのは否定しないが俺は女の子がいい!
この件には触れてはいけない。
「おい、にいちゃん。なんか今とんでもなく失礼なこと考えなかったか?」
何故バレた⁉︎読心術か⁉︎
「いえ何も……」
顔を背けて刀に視線を戻す。
これなら振ることは出来そうだ。
「オッサン、これを売ってくれ!」
俺と同い年ならそう呼ばれることもあるだろう。名前知らないしね。
「今度はオッサンかよ、俺の名はムジカだ!覚えとけ!……それでいいのか?」
お名前頂戴しました。
う〜ん、もうオッサン呼ばわりはダメかな?
やめとこうキレられそうだ。
「もちろん!」
「買い手がなかったもんだからな……そうだな服込みで金貨8枚でいいぜ」
金貨8枚か。
日本円換算で8万で刀が買えるなら安いんだが、この世界ではどうなんだろう?
飾られてるのがだいたい金貨5〜10枚だからそんなもんなのかな?
まぁ、切れ味は良いって言ってるし必要経費ってことでいっか。
獣人族みたいなのがいるんだ、魔物はさらに恐ろしい存在なんだろう。
そんなのに素手で挑むなんざ自殺行為だ。
だけど出来れば定番の魔物とか出てくれないかな〜。スライムとかスライムとかスライムとか。
……フラグ立ててるかなコレって?
作中では省略しましたが、通貨は並べるとこんな感じのイメージです。
銅貨…1円
大銅貨…10円
銀貨…100円
大銀貨…千円
金貨…1万円
大金貨…10万円