5.4Day 〜字が違うじゃん!〜
クリアした訳でも無いのにスタートからハードモードって何よ?
初回で撤退した時より数が多いんだけど?
《頑張って下さい》
応援されたからといってなんとかなると思えないんですけど…。
《今ならイメージ通りの動きが出来ますよ。
『リモート』では無いのでマスターがちゃんと動く必要がありますが》
へ? イメージ通り?
それって旦那と戦った時みたいな?
《そうです。百聞は一見にしかずと言いますし、騙されたと思って》
ここで騙されたら大変な事になるんだけど?
あの時のイメージ通りなら…。
ボボボボボン!
瞬間周りから突如爆散する音が連続で響いた。
わおっ⁉︎
一瞬にして先頭集団に接敵し刀を一閃。
刀の射程にいた兵士達はほぼ同時に霧と化していた。
こりゃ凄い! これならいける!
思った場所へ瞬時に移動、抜き身の刀を水平に斬る。
それだけで刀の間合にいる兵士達が爆散する。
射程外にいた兵士達が剣を振り下ろしてくるが、その頃にはもうその場におらず刀を一閃、一振りで複数人の兵士達が爆散する。
そんな調子で兵士達は何もする事が出来ずにどんどん数を減らしていく。
スピードも威力も桁違いだ!
そして…。
「これで、ラストっ!」
声を上げて目の前の兵士を袈裟斬りにする。
ボンッ!
最後の兵士が爆散し辺りには霧状になった兵士達の残骸がまだ漂っている。
この間僅か1分足らず、インスタント業界の革新だ!
《例えが微妙ですけどお疲れ様でした》
自分で言っといてあれだけど確かに……それより前と全然違うじゃん! 何この差⁉︎
《それが最大の相違点です。
というより本来は『配達』で夢には行けません》
え? そうなの?
《アリシアが指定して来たから行けただけです。
行けない場所は宛先指定出来ませんので、ましてや今回の作戦みたいに宛先指定したモノを送り込む事も出来ません。夢の中ですし》
そりゃそうだ、しかも他人の夢だし。
《スキル『夢旅行』は、その名の通り夢の世界への旅行を可能にします》
場所を除けば旅人っぽいスキルなんだが。
《そして私の(旅人)レベル数字の半分の累乗分レベル強化が可能です。
現時点で私のレベルは7ですので3乗。
マスターのレベルが5なので実質レベル125相当の力を発揮出来ます》
ひゃくにじゅ…って、ヘタなRPGだったらレベル上限突破してんじゃん⁉︎
《そこはゲームとは違いますので》
確かに…俺が勝手に思い込んでただけだからな。
しかもミクのアシスト無しで動けてた!
《それが『夢旅行』です。
ですが現実ではマスターの五感が追いついていないのでしばらくは『リモート』が必要だと思います》
そっか単純に言っても25倍速って事だもんな。
急にそんな動きを自覚するのも無理があるか。
その為の『リモート』って事ね。
俺はビデオの早送りをイメージしてみたが、…………自覚出来る日が来んのか? そのスピード……?
《さぁ? それこそマスター次第じゃないですか?》
今は想像つかないな…。
もう一つのやつは? 確か『夢現』とか言ってなかった?
《平たく言ってしまえば、『夢旅行』のステータスを現実で再現する事です》
え⁉︎ すげえじゃん⁉︎
累乗強化なんて戦闘職も真っ青じゃん⁉︎
《ただ、現実はマスターの魔力を使用しますので有限です》
あ、そう言えば時間制限付きだ。
魔力切れで立てなくなったんだった。
ん? ちょっと待ってっ⁉︎
今も魔力切れになったら素のステータスに戻るって事⁉︎
《そこは大丈夫です。夢の中で制限はありません》
ほっ、良かった。
制限時間付きだったらどうしようかと思った。
現実で時間制限付きなのは残念だなぁ。
《順序が違いますからね》
なんの?
《本来『夢現』とは『夢旅行』を習得後、夢と現実の踏破率を一つ以上100%にした場合に発現可能になるスキルです》
『夢旅行』習得前に『配達』で行けちゃったね。
《アリシアからの干渉によって夢の踏破が先に完了した為、制限付きで発現可能になりました》
ん? 制限?
《はい、本来とは違う為消費魔力量が上がり、持続時間が正規の1/10での発現になりました。
簡潔に言うととてつもなく燃費が悪いって事ですね》
身の丈に合わない力ってやつか。
《本来はこの時点で使えるスキルではありません。
参考までに言っておきますと
2乗で約5分。(レベル25)
3乗で約1分。(レベル125)
4乗で約12秒。(レベル625)
でマスターの魔力が尽きると思って頂いた方がよろしいかと。
ちなみに元騎士団長を圧倒したのは3乗です》
4乗で約12秒、3乗でも約1分って厳しいな……いや、そうでもないか?
この世界の平均レベル的なモノは分からんが、制限付きとはいえ桁が違うもんな。
3乗で元騎士団長の旦那を降した事を考えれば十分過ぎるとも言えるな。
《マスター、おかわりが来ましたよ》
食べ放題の追加注文みたいなノリで言わないで。
しかし!
さっきまでの俺では無い!
夢限定とはいえ今の俺は夢に描いた無双状態!
兵士の千や二千程度で臆すことはない!
突撃じゃーっ‼︎
《人って急に強くなると気が大きくなって何故か失敗しますよね?》
……あ、うん、ちょっと調子に乗ったかも。
ほどほどに突撃します。
それからは次から次へと湧き出て来る兵士を苦もなく蹴散らしながらついに城に到着した。
今の俺の行方を遮るモノは何も無い!
その後追加注文をなんなく消化。
それにしても前回までとは天と地ほどの差があるな。
《良かったですね。念願の夢が叶って》
夢?
《異世界でのチート無双》
無双か、確かに…………って字が違うじゃん!
どっちかと言えば夢双じゃん!
まてよ? 『リモート』があるし、『夢現』に正規の使い方が出来る日がきたら無敵じゃん! ゆくゆくは現実でも無双出来るって事か!
これは夢が現実になる日も遠くないな!
《それはマスター次第ですね。さっきの自覚出来ない問題もありますし》
何言ってんの!
そこから俺の歴史が始まるって事でしょ!
《……ココが甘く無いのは身に染みてると思いますので、始まる前に歴史の幕が降りない事を祈ります》
なんて不吉な事言うの⁉︎
《過度な期待ほど裏切られた時のショックが大きいと思ったので》
……ここに来た当初は色々期待しては裏切られてたなぁ。
《夢は夢のままがいいですよ》
いい感じに言ってるけどそれダメだからね?
夢は見るもの叶えるものだよ?
《では兵士も打ち止めになったようなので夢の約束を叶えに行きましょう》
あれ? なんかミクが良い感じに締め括ってない?
そのセリフって俺が言うとこじゃないの?
《気のせいじゃないですか? 早く行きましょう》
アリシアさんを早く解放したいから行くけどさぁ。
それ気のせいじゃないからね?
その後も心中でブツブツ言いながら城門を潜って城内に突入して行った。




