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5Day 〜作戦会議です〜


森の奥に進んで数分ほど。

拠点と呼ばれている場所に到着した。


簡素な木造りの建物や藁で作られた家?みたいなモノの集合地帯。

村………と呼べなくも無い。

現代知識のイメージに当てはめると弥生時代前後ってとこか?

まぁ、森の中だし贅沢言えないからそんなもんだろうが、マップには『解放軍拠点』で登録されていて、村に入った瞬間踏破率100%になった。


ちなみに俺はまだ旦那に担がれたまんまだ。

拠点の入り口に立っていると人が数人集まって来た。

「団長おかえりなさい、その肩の人物は確か……」

「おう、例の小僧だよ。今は魔力切れらしい」

「魔力切れ?」

「らしい。

目的が一致したんで今後はコイツにも協力してもらう事になる。

その辺りを話し合いたいんだがベニーを天幕に呼んで来てくれるか?

他の奴らにはこの事を伝えといてくれ」

「分かりました」

そう言い残すと集まって来た人達が散って行った。

それを見届けると旦那は一つの天幕に俺を担ぎながら入って行った。


暫くすると一人の爺さんが入って来た。

「ザック殿どうしましたか?」

「おう、来たか。コイツが例の小僧だよ」

「あの怪しげなスキルを使っていた者ですな」

そう言いながら俺を観察している。

この爺さんがさっき言ってたベニーって人か。

白髪でローブに杖と、いかにも魔術師って感じだな。


「小僧、コイツはベニー。

フリード王国に大臣として仕えていた魔法使いで催眠や幻術を得意としている」

「催眠と幻術?」

随分珍しいタイプだな? それに王国大臣とは。


「ああ、そのおかげでフリードが占領された時、得意の幻術で俺らの脱出を手伝ってくれたんだ」

「へぇ」

「それと王女に催眠をかけたのはコイツだ」

「⁉︎ じゃああの時の青鬼⁉︎」

「そうです。だから王女は心配しなくても大丈夫ですよ」

「それを聞いて安心しましたよ」

思わぬ所からアリシアさんの安全が確認出来た。


「まぁ、私としては幻術がかかっていたにも関わらず迷わず森を突破した事の方が気になりますがね」

「幻術? じゃあ入り口が消えてたり、同じ風景が違う場所にあったのは⁉︎」

「もちろん私の幻術です。普通の人なら抜け出す事は困難なはずですので」

《私の前では幻術など通じません》

ミクがドヤっている。


「それは俺のスキルのおかげですね。それのおかげで俺は一度行った場所で迷う事は無いんで」

「なんとっ⁉︎ そんなスキルは聞いた事が無いですな?」

「コイツはユニーク職だよ」

「っ⁉︎ という事は救世主召喚の儀ですか⁉︎ なるほど………ザック殿これは僥倖です!」

爺さん興奮し過ぎると身体に悪いぞ?


「ベニーちょっと落ち着け、どう言う事だ?」

そうそう。

「何を落ち着いているのですか⁉︎ ユニーク職は間違い無く最上級職を凌駕するんですよ⁉︎ 今この時にこんな幸運が舞い降りるなんて奇跡ですぞっ⁉︎」

そこ? う〜ん、爺さんには悪いんだけど期待には応えられなさそうなんだけどなぁ。


「ベニー……興奮しているとこ悪いが、実力は確かではあるがコイツの職業は『旅人』だぞ?』

「『旅人』? ですか?」

爺さんが確認するようにこっちを見る。

「そうです」

「……………」

爺さんが黙ってしまった。

まぁそうだろうな。

完全に希望を打ち砕いた気分だ。

でも一言言わせてもらえば俺のせいでは無い!


「ふむ。生粋の戦闘職というわけでは無いのですね」

あれ? 爺さん冷静だな?

もっと絶望するかと思ったんだが?

「期待させたみたいで悪いな。だが戦力にはなるぜ」

「ザック殿、私はガッカリはしてませんよ?」

「そうなのか?」

確かに爺さんに絶望感は無い。


「ユニーク職はどんな職業であろうとやり方次第で最上級職を凌駕します。

それは戦闘に限った事ではありません」

「へぇ〜、アンタにそんな可能性がねぇ」

女将さんが改めて値踏みするように俺を見る。


「まずは何が出来るかを聞いてもよろしいかな?」

「目的は一緒なんで協力しますよ。正直俺一人だとあてが無かったんで」

「んじゃ、その辺りも含めて今後の打合せをするか」

「時間制限付きではありますが悩みの種の一つが解消されていますからな」

「そうなんだが肝心の潜入問題が片付かない事にはなぁ」

「……解消された悩みの種って何ですか?」

「アリシア王女だよ」

アリシアさん? 何で?


「ビャッコだよ。

アイツが敵に回っちまうとそれだけで厄介なんだよ。

それに王女を人質に取ることも可能となっちゃそれだけで打つ手無しだ」

……確かにビャッコだけで全滅させられても不思議じゃない上に人質が攻撃してくるなんて反則だな。


「少数精鋭で行きたいとこだけど、操られてんのが王女だけじゃないってのも問題なんだよ。

あっちは命令一つでこっちの手を封じる事が出来るんだ。

それ以外を先に無力化しない事にはどうにもならないんだよ。

潜入するだけならアタシで大丈夫なんだけど、魔族が相手となるとねぇ」

女将さんがやれやれと言った様子で手を挙げた。


「城の奴らを無力化する為の人員を気付かれず送り込む方法が今の所無いんだよ」

「この世界には一瞬でどこかに行ける転移みたいなモノは無いんですか?」

「聞いた事は無いですね。ダンジョントラップでそう言う類のモノはあるそうですが」

ダンジョンがあるんだ。

それもまた異世界定番ですね。


「人員と武具は集まったが時間をかけて王国に送り込むしか方法が無いんだが、途中でバレる危険の方が高いというのが問題と言った所だな」

う〜ん、あの偽王なら気付かなさそうだが……あ、ダメか、アリシアさんに気付かれるな。

その点を言えばアリシアさんが眠ってる今が好機ってのは間違って無いな。

でも時間がかかるのが問題だなぁ……。


「ん? でも今はアリシアさんがこっち側にいるんだから眠ったままになってもらってればいいんじゃないですか?」

「それがそう言う訳にもいかないんだよ」

俺の提案を否定してきたのは何故か女将さんだった。


「どうしてです?」

「アンタ気付いて無かったのかい? あの子早朝に伝書鳩を飛ばして城に連絡してるよ?」

……はぁっ⁉︎ 何その事実⁉︎

じゃあ今までの事はあの豚に筒抜けって事⁉︎

いつも俺より先に起きてて部屋にいなかったのはそう言う事だったのか⁉︎

誰だよ! 年頃だから恥ずかしいとか言ってた奴は!

《マスターですよ》

はいすみません、その通りです。


「制限時間付きってのはそう言う事だよ」

よぉく分かりました。


って事は時間かけちゃダメじゃん!

何その八方塞がったようなミッション⁉︎

無理ゲー過ぎんだろ!

どうやって気付かれずに大軍を送り込むんだよ! 出来るかそんな事!


《出来るけど出来ない、みたいな感じですね》

何その言い方? 無理でしょ?

《今は出来ませんね》

ほらね。


…………ん? 今は?

《今は、です》

え? 出来んの?

《マスターには『配達』がありますので》

『配達』って人数制限無しなんだ。

《その分費用がかかりますが、それに今回はもう一つ問題があります》

費用以上の問題があるとは思えないが、それは?

《宛先指定です。この感じだと城内を指定する必要があると思われます》

………難易度高くね?

費用もちょっと現実的じゃなさそうだし。

……一応話すだけ話してみるかぁ。


「あのぉ〜、余り現実的じゃない方法ならあるんですが…」

「可能性があるなら言ってくれ、現状行き詰まってるからな」

「俺のスキルに条件を満たせば任意の場所に人を送れるモノがあるんですけど」

「何ですとっ⁉︎」

おおう、爺さんの驚き方が半端ねぇ。


「小僧⁉︎ ホントか⁉︎ サラッととんでもない事言ってるぞ?」

「え? そうですか?」

「自覚無しか…それとも条件とやらが厳しいのか……でその条件とやらは何だ?」

「お金とマーキングです」

「「「……………」」」

物凄い間が流れた。


「ちょっと待て小僧、そんな事が条件か? それ以外は無いのか?」

「一応条件はそれだけですね。送る人数によって費用がかさみますが」

「流石ユニーク職ですな」

「呆れたねぇ。そんな事が可能なんてねぇ」

え? なんか反応が違うんですけど?


「小僧、お前そのスキルの重要性が分かってねぇな?」

え? え?

「金さえあれば指定の場所に無尽蔵に兵を送れるなんて国からしたらとんでもないスキルだよ?」

「こっちは準備万端で大量の兵を突然送れるのですから、他国からしたら脅威以外の何者でも無いですな」

あ〜、そういう発想になるわけね。

スキル名が配達だから元の世界で荷物を送る感覚だったけど人が送れるならそうだな。


「でも今回は城内にマーキングする必要がありますよ? しかも俺が直接行く事になりますし」

「そうだな、そこは難しい条件だな」

「お金は何とかなりそうな言い方ですね?」

「少し心当たりがあるからな」

へぇ?


「あっ、もしかしてアンタそれでアタシにお金の稼ぎ方を聞きに来たのかい?」

流石女将さん鋭いな。


「そうです」

「なるほどね、何も無ければ返すってのはそういう事かい。

となるとあの子に使ったから宿の床で倒れてたって訳か。

旦那、間違い無く気付かれずに送れるみたいだよ」

「そうか、検証する必要は無さそうだな。ちなみにどれぐらい掛かるんだ?」

「何人ぐらい送るんですか?」

「なるべく怪我はさせたくないからな。数が多い方がいい……150人、と言った所か」

150……、ミク単純計算でいいの?


《量と距離を考えると通常よりだいぶ割増ですね。大金貨10枚、と言った所でしょうか》

え? 大金貨?

それって最高通貨じゃなかったっけ?

でもそっか一人三千円だったとしても150人だとそれだけで既に45万か、これもう配達ってレベルじゃない金額だな…何だよ百万円の配達費用って。


「大金貨10枚あれば行けると思います」

「利便性を考えると破格の金額だな、後はどうやってマーキングするか、だな」

あれ? なんかこの方向性で話進んでませんか?


「成功の可能性を上げるならやはり城内ですな」

「そうだな。だが王国内に侵入するだけでも不可能に近かった事を考えればそれだけでも大前進なんだが」

「王国内ならなんとかなるけど城内となると難しいねぇ。

アンタが行かなきゃならないんだろ?」

「マーキングする必要があるんで」

「ふむ。仮に城内が無理だったとして複数の場所に送る事は可能ですか?」

ミクどうなの?

《一箇所だけです。それも一方通行です》


「えっと一箇所だけで、行った後は戻れないですね」

「となるとチャンスは一度きりか。潜伏にするか一斉にするかってとこか」

「…………アンタそのマーキングってのは場所じゃないとダメなのかい?」

女将さんの言ってる意味がよく分からなかった。


「どういうことですか?」

「目印みたいなもんだろ? ならモノにマーキングしてそこが出口に出来たりしないのかい?」

ミクそんなの出来るの?

《出来ますよ》

出来るのかよっ⁉︎


「………可能ですね」

「……呆れた。試しに聞いてみただけなのに出来るもんなんだね」

「流石ユニーク職ですな」

「これで決まりだな。後は資金を集めるだけとなったわけだが、それは小僧お前次第だ」

「へっ? 俺?」


「俺を退けた実力がありゃ問題無いはずだ。

小僧にはマロメの村から馬車で2日行った所にある都市バルトに行って出稼ぎしてもらう。

上手く行けば大金貨5枚は手に入るはずだ。

残りの不足分はこっちで用意する、頼んだぞ」

「バルトねぇ、アタシもそっち側って事かね」

「ああ、付き添い頼む」

「あいよ」

えっと、だいぶ置いていかれてる間に決まってしまったんですけど?

一体何させられんのっ⁉︎


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