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3.9Day 〜今日と言う日はまだ終わらないんですね〜


あ〜、そうだよ。こっちも解決してないんだよ。

《そうですよ》


周りは濃い霧のようなモノで囲まれた真っ白な空間。

これで四回目となるお馴染みの場所。

ただし、今回は最初からマップも表示されておりミクが反応してくれた。


……ふと思った。

ミク、()()って俺の夢の中なんだよね?

《そうです》


毎回何も無くて随分つまらないトコなんだけど?

《マスターの夢の領域というだけで、普段見る夢とは異なる空間になります》


…分かるような分からないような。


《物凄く簡単に言いますよ? 人の夢は二重丸で構成されていて、一つ目の内側の丸の中が普段見る夢で今はその一つ目の丸の外にいるようなイメージです》


よく分かりました。

でも何でそんなとこに?

《呼ばれてるからですね》


今ならアリシアさんの夢に行けるって事?

《費用はかかりますが可能です》


真実はいつも一つ!

《行くって事ですね、マスターその言い方は分かりづらいです》


そうかな? アリシアさんが助けを求めてるなら行かない理由は無いでしょ!

今度は状況も分かってるし居場所に目処が立ってるんだ。

前回より上手く出来る!


《では、『配達』発動しますよ?》

エコでお願いね。


《…………》

え? 返答無し?


《冗談です》

ここでそんなのいらないよね?


《マスターの世界では『お約束』というモノがありますよね?》

あるけど要らないからね?


《残念です。ではエコで発動します》

やる気だったのかよ!


多少の浮遊感を味わいながら再びアリシアさんの夢の中に到着した。

内心ドキドキしていたがちゃんとエコで運んでくれたみたいだった。


今度も再出発地点は王都フリードの街の入口らしい。

セーブ機能とかは無いようだ。


となるとまた城まで行かなきゃな。

今度は街の中でも見つからないように行った方がいいよな?

《兵士が集まると面倒ですからね》

じゃあ慎重に行くとしますか。


それから幾度か兵士の姿を見かけたが、その度に身を隠しながら城に向かって進んだ。


途中で感じたのだが今回は兵士の数が少ない。

前回は倒しながら進んでいたが、どうやらそのせいで余計に兵士が出現していたようだ。


でも問題は城に入ってからだよなぁ。

《見つからなければ意外と大丈夫じゃないですか?》


何で?

《前回は城の入り口でアリシアを叫んだでしょ?》


……あ、そう言えば叫んだ気がする。

《それで集まって来たんじゃないですか?》


まさかのイージーミスっ⁉︎

《そうとも言いますね》


その後……。

え〜⁉︎ マジかよ⁉︎ だいぶショック!


只今城の牢屋へ続く道を何事も無く進行中。

ミクの言った通り順調そのもの。

正真正銘前回は自爆だったようだ。


そりゃ〜さぁ、物語の主人公みたいなポジとは程遠い異世界ライフ送ってるけどさぁ…ちょっとぐらい主人公補正貰ってもよくない?

《世の中そんなに甘く無いって事ですよ》

甘く無さ過ぎじゃね?


「お願いします! 誰か助けて下さい!」

声は聞こえど姿は見えず。

牢屋に近づくにつれて段々とアリシアさんの思念が聞こえてきて今はご覧の通りハッキリと聞こえるようになった。

アリシアさんに近づいているのは間違いなさそうだ。

何で牢屋なのかは不明だが。


すぐに目的の場所に到達し、ついに踏破率が100%になった。

そして遠目にも分かる可憐なお姿を発見!

間違い無くアリシアさんだ!


「アリシアさん!」

一応兵士が集まって来るのを警戒してボリュームはやや抑えて呼び掛けた。

流石がにココで叫んだらアホでしょ?

《マスター『お約そk》

いらんわ!


「っ⁉︎ 悠生、様⁉︎ どうしてここに⁉︎」

あれ? 呼んでた割にはなんか驚いてるな?

ミクと漫才してる場合じゃないな。

《それはそうでしょう。夢で会いに来るなんて非常識ですよ。それにマスターを指名した訳では無いですから》

え⁉︎ ミクがそれ言うの⁉︎

いやそりゃ夢で会いに来るなんてアプローチがちょっと特殊なのは俺も思ってるよ?

まぁ『異世界だから』で納得してる部分あるけど。

でもアリシアさんの驚き方を見るとこの世界でも少々どころでは無いんだろうな。


「助けを求める声が聞こえました」

「…………」

あれ? 反応無し?

もしかして俺じゃダメだったとか⁉︎

自爆したけど頑張ったよね?

《自爆しなければカッコ良かったかもしれませんね》

そこっ⁉︎ そりゃないよ⁉︎


ミクとそんなやりとりをしているとアリシアさんの瞳から聖水()が溢れて地面に落ちた。

「わあっ⁉︎ すみません! 俺なんかが来てしまって!」

「やっと……、やっと…届いた……」


……えっと、俺のせいで泣いてしまったのは間違い無いけど、悪い事をしたわけでは無さそうだね?

とりあえずアリシアさんを牢屋から出してあげた方がいいよな?

素手だけどステータスが倍になってるなら牢屋ぐらい何とか出来るかな?


そう思い格子に手を伸ばす。

「っ! 触れてはいけません!」

「へ?」


バチィッ!

「いっってぇっ⁉︎」

せっかくアリシアさんが止めてくれたのに僅かに遅かった。


ってぇ! 何だ今のっ⁉︎

現実だったら黒焦げになってそうな電撃だったぞ⁉︎

格子に触れた瞬間味わった事の無い衝撃を受けた。


「だ、大丈夫ですかっ⁉︎」

アリシアさんに心配かけちゃいかん!

「な、なんとか大丈夫です」

強がりですが。

それより今ので兵士が集まってこないよな? よね?


「申し訳ありません! 先に言っておくべきでした! 先ほどの通り私はここから出られないのです」

ここって言ってもアリシアさんの夢だよね?


「あの、どうしてこんな事に? それに助けて欲しいというのは?」

「悠生様お願いします! 私はどうなっても構いません! ですが! どうかお父様達を救って頂けないでしょうか⁉︎」

「へっ⁉︎」

アリシアさん何言ってんの?


「えっと、あの、どう言う事ですか? 俺には助けが必要なのはアリシアさんにしか見えないんですが?」

「あっ! すみません! 事情をお話ししていませんでした!」

「あ、いえ大丈夫です。それでお話というのは?」

「はい、今王都は魔族に乗っ取られています。数年前にお父様が病に伏せってしまった事があるのですが、その時に王が入れ替わってしまったのです」


…………なるほど、アリシアさんが何故こうなったのかは分かった。


事の始まりは城に行商人が城に訪れた事から始まった。

珍しいモノ(宝石の類だったみたいだが)が手に入ったので是非買ってもらいたいという話だった。

せっかくの申し出ではあったが、アリシアさんのお父様は民の血税によって成り立っているのに自身の為に使う事を良しとしなかったらしい。お父様は素晴らしい方のようだ。

《何で急に『お父様』って呼び出したんです?》

ミク、今話を整理してるトコだから変な事言わないで。


で、お父様は出来た人というだけでなくお人好しでもあったみたいだ。

せっかく持って来てくれたので行商人に自分のポケットマネーでアリシアさんへの贈り物を購入しようとしたらしい。

アリシアさんはやんわり断ってしまったみたいだが。

その時のお父様の残念そうな顔が目に浮かぶ。

どこの世界でも父親は娘に甘い傾向があるようだ。


そんなやり取りの後、行商人はすぐに諦めたらしいのだが代わりに何かの種を差し出して来たそうだ。

その時に行商人が言った言葉がお父様を動かす事になったみたいだ。

内容は実にシンプル。

王様自ら育てた花を王女様に贈ってはいかがかですかと。


その時のお父様はとても嬉しそうで、自分で育てるから他の者は世話をするのを遠慮してほしいと言っていたらしい。


二週間ほどで芽を出したその種はその後も順調に育っていったのだが、その頃からお父様が体調を崩し始めたそうだ。

日が経つに連れて具合が悪くなり、とうとう寝たきりになってしまったそうだ。


医者に診てもらっても、ただ衰弱が激しいという事しか分からず打つ手がないまま時が経った。

そして謎の症状は次第に他の人達にも広がっていった。


そんな中アリシアさんは何故か無事だった為、他の人達のお見舞いをしていたそうなのだが…………俺もアリシアさんにお見舞いしてもらいたい。


《マスター、整理中に要望挟まないで下さい》

さっきの手前何も言い返せない。


そんな時アリシアさんは症状が出ている人達に偏りがある事に気づいた。

最初に倒れてしまったお父様を除けば一般の人達や兵士が主で、逆に魔法使いような魔法に適正のある者は症状が軽かったのだ。


とても偶然発生したとは思えず、そうなると

少し前に来た行商人と種が非常に怪しい。

アリシアさんは真っ先に行商人が持って来た花の元へ向かったそうなのだが、この格子と同じように触れる事が出来なかったらしい。


となれば城から出るしか無いと思い脱出を試みたが、外に出る入口全てが同じように封鎖されていたとか。

途方に暮れそうになっていたところに、原因と思われる行商人が現れたそうだ。


確定だね。

当時の会話を再現してみました。


「アリシア王女、どうかなさいましたか?」

「貴方はこの間のっ⁉︎」

「その後、種の様子はいかがですかな? お気に召しましたか?」

「これは貴方の仕業ですかっ⁉︎」

「おや? お気に召しませんでしたか?」

「当たり前です! 一体何が目的なのですかっ⁉︎」

一拍おいて行商人がアリシアさんを指差す。


「私の目的はアリシア王女、アナタですよ」

「っ私⁉︎」

「大人しく言う事を聞いて頂けますか?」

「素直に言う事を聞くとでも?」

「おやおや? それでは倒れた者達がどうなってもよろしいという事ですね? 放っておけば遠からずお亡くなりになりますなぁ。そう言えば一番最初は国王様でしたかな?」

「っ⁉︎ お父様⁉︎ 卑劣な!」

「褒め言葉として受け取っておきましょう。さて、どうなさいますか?」

「………どうすればいいのですか?」

「何も難しい事はありません。これをつけて頂けくだけで結構です」


という事で渡されたのがつい最近見かけたイヤーカフだったらしい。

それをつけた途端に意識を封じられたと。


話の途中でアリシアさんが目的とか、なんていやらしい奴なんだと思ったが……………まぁ、分からなくは無いよ。

アリシアさんに心奪われるのはしょうがない。

ただやり方がスマートじゃないな。


《マスター、違いますからね?》

分かってるよ。


まぁそんなこんなでアリシアさんは意識を封じられて行商人の操り人形になってしまったのだが、見聞きしている事は把握出来ているらしく分かっている事もあった。

お父様達はそのまま幽閉され偽物とすり替わり、その際行商人の正体が魔族が化けていたものと判明。

体調を崩していた城の者達もアリシアさん同様操り人形になっているそうだ。

だから誰も王様が入れ替わっているなんて思っていないし、王様も城から出ていないから街の人達も知らない。


アリシアさんが意識を封じられた後、無事だった者達は異変を察知して城を抜け出す事が出来たらしい。

まぁ、目的がアリシアさんだったし城の大半は操り人形状態だしいつまでも城を封鎖する必要も無いか。

偽王が当初追手を出したらしいが迷いの森に逃げ込んでしまい捜索が困難になって打ち切ったと。

ただ城はマジで人類滅亡5秒前どころか既に魔族の巣窟と化してるな。


肝心の偽王の目的はユニーク職の配下を増やすつもりなんだとか。

過去の召喚者は例外無く一騎当千の猛者ばかり。

……俺を基準に考えると微妙だが、普通はそうらしい、そんな猛者をピンポイントで手に入れられるなら利用しない手は無い。


なんだか複雑だな。

チートだったら訳も分からずアリシアさんと同様に操り人形になっていた可能性があったとか。

アリシアさんと一緒にいられるのは嬉しいが意識が封じられてるんじゃ意味が無い。


《マスター、ズレて来てますよ》

失礼。

という訳で意識を封じられながらも健気に助けを求め続けた結果この状況に至る。

とまぁ、こんな感じかな。


《マスターにしては良く出来ましたという所でしょうか》

何気に上からな気がするのは気のせいだろうか?


《気のせいでは無いですか? これからどうしますか?》

ねぇ…そう言う言い方する時って大抵誤魔化してるよね?


《私としては現時点でここで出来る事は無いと思いますが》

またもやスルー………っていうよりアリシアさんを目の前にして出来る事無いのっ⁉︎


《格子を破壊するなんて出来無いでしょう?》

触れる事も出来無いからその通りなんだが、来ただけで帰るって情けなさ過ぎるな。

ホントもうちょっと融通が効く所があってもいいんじゃないの?


「悠生様! 私はどうなっても構いません! ですが! お父様達を、皆を助けて下さい! お願いします!」

俺にこの願いを断るなんて出来る訳が無い。

主人公補正がなんぼのもんじゃい! そんなもんなくてもやってやるよ!


「どこまで出来るか分かりませんがやれるだけやってみます」

「ありがとうございます! どうか、どうかお願いします!」


ミク、途轍もなく残念だが戻るぞ。

《分かりました》

「アリシアさん…自分が助かる事も諦めないで下さいね」

「っ⁉︎ はい!」

アリシアさんの瞳からまた聖水が…、また泣かしちゃったな。

でもこれは大丈夫なやつだからいいよね?

《失敗しなければですよ?》

当たり前だろ? 失敗前提でやるわけないでしょ。


んじゃミク頼む。

《はい。残額不足の為、全額消費して『緊急配達』を発動します。エコにはなりませんのでご了承下さいませ》

えっ⁉︎ マジ⁉︎


《真剣です。今回は宿に直行しますのでご安心下さいませ》

何を安心すんだよぉぉーーっ!


叫び声と同時にシェイクが始まった。


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