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2.7Day 〜まだ夜は明けないみたいです〜


時間は夜、場所は外。

樹々に囲まれた場所で二人の男が座っていた。

灯りは二人の間で燃えている焚火だけ。


目を開けているのかどうか分からないような細眼の男が紐で括られた巻物を差し出した。

「コレを預かって来ました」


反対側に座っていた山賊のような格好をした男は黙って受け取った。

紐を解いて巻物を見るが、そこには何も書かれていなかった。

山賊の男が焚火に近づけると文字が浮かび上がってきた。


「どうだったんだ?」

「演技だとするなら相当なものですね」

「ほぉ? お前にそこまで言わせるのか?」

「はい、ですが国の者では無いと思います。見た事がありませんので」

「なるほど……おい、おめえら! 準備をしろ!」

「はい!」

周りにいた数十人の男達が立ち上がる。

その男達も同じ山賊のような格好をしていた。


「あいつらが終わったら俺も頼む」

「分かりました」

山賊の男の言葉に若い男が応えると数十人と一緒に森の中に消えて行った。


「これはどう見るべきかな」

山賊の男がもう一度巻物に目を通す。

巻物にはこう書かれていた。


男女の二人組が森に入る

国からの調査の模様

身分が高い可能性あり


再度目を通した後、山賊の男は目の前で燃える火の中に巻物を投げ入れた。


巻物が塵と化した後に一人呟いた。

「やる事は変わらんか」



▽▽▽▽▽



仏の顔も三度まで、という言葉を知っているか?

流石にいい加減にしろよ?


俺は濃い霧のようなモノで囲まれた真っ白な空間に一人立っていた。


「ふざけんなぁぁぁーっ!」

とりあえずこの世界に文句を言ってみた。


一回ぐらい叫ばないとやってられんよ?

何で毎回コレなの?

寝るしかする事無いんだから普通に寝させてよ。まったく。


「……………………ま……」

ん? 今何か聞こえたような?

初の進展か?


「誰かいるんですかぁ〜?」

方角なんて分からないから適当に呼びかけて耳を澄ませる。


「……………………………」

何も聞こえないし、俺の声が反響する事も無い。

気のせい……だったのか?

やっぱり寝るしか無いのか。


《…ス……、マ……ー………ま…か?》

また⁉︎ 今度は気のせいじゃない⁉︎

どこだ⁉︎ 今のは近い感じだったぞ⁉︎


周りを見渡すが辺りは真っ白で見通しも良くない。

「うおっ⁉︎」

と思っていたら急にマップが表示された。


え⁉︎ 何で急にマップがっ⁉︎

コレ夢じゃないのか⁉︎

頬っぺたをツネってみる………痛…く無い。


何だこの状況?

現実と夢、どっちかと言われれば夢寄りな気はするけど、これはアレか異世界モノと違ってゲームで言う狭間的なヤツか?


その可能性はあるな、異世界行ってる時点で既におかしいもんな。そのぐらいあっても然りだ、我ながら柔軟な発想だな名探偵も真っ青だ。


《いえ、ここはマスターの夢の中です》

おぅ、一瞬にして迷探偵に格下げになってしまった………ってミクっ⁉︎ なんで⁉︎


《やっと繋がりましたね》

全っ然分からんのだが、何この状況?


ミク、一から説明してもらってもいい?

というより俺の知ってるミクなの?


《マスターのナビゲーションの『ミクたん』で間違いありません。そして先ほども言った通りここはマスターの夢の中です》


さりげなく愛称を主張したのは何故?

疑問に答えてもらったけど疑問の数が変わってないのは気のせいだろうか?

それに本物だとしても夢で活動なんて出来るものなの?


《細かい事を気にしていてはモテませんよ? 夢の中での活動は『出来るようになった』が正確ですね》

この物言い、確かに本物のミクだね。モテないのは余計だよ。

『出来るようになった』というのは?


《マロメの村を踏破したからですね。私の能力が上がったと認識して頂ければいいかと思います》

もう職業レベルじゃなくて、ミクのレベルみたいな感じだな。


《自己申告をするのも変でしょう?》

まぁ確かに。自分のレベルが上がりましたってあんまり聞かないな。


《現在の状況ですが、外部から干渉を受けています》

へっ?


《マスターの世界の言葉で表現するならスキル『プランナー』を逆探知していると言った所でしょうか?》

え? え?


《干渉者はアリシアです》

ええぇぇぇーーーっ⁉︎


そ、そそそれって! どどどどう言う事⁉︎

もしかして盗み聞きがバレたって事⁉︎

やべぇよ! 危機だよ! どうすんの⁉︎


《マスター落ち着いて下さい。動揺し過ぎです》

落ち着いてられるかよ!

アリシアさん監視なんだぞ!

あのブタに報告された日には何されるか分かんねぇんだぞ!


《マスターよく考えて下さい。『プランナー』がバレていたとして何故今なんです?》

へっ?…………どういう事?


《ちょっとは考えて下さい。最初に使ったのは王城ですよ? それから何日あったと思ってるんですか?》

それはあれじゃ無いの? ほら、干渉するのに時間が掛かったとか?


《仮にそうだとしても既に特定されてますよね? この現象は今回で三回目ですよ?》

ごめん、分かんない。


《一回目は王都を出て八日目、二回目は十日目、三回目が十一日目の今です。

何で間が空いてるんです? 九日目なんてマスターが部屋から出ない事が確実なのに何故何も無かったのでしょうか? 絶好の機会だったはずです。

二回目と三回目が続けて出来ているのに間が空く理由がありません》

九日目のトレンカマークの事は忘れさせて!


《一番おかしいのは二人共寝ている時に限られている事です。

本来干渉しようとするなら起きている時のはずです。

寝ている事が条件だったとしても九日目の説明がつきませんし》

スルーされたのは悲しい……いや、むしろ掘り返されなくて良かったのか?

それよりミクが名探偵みたいに思えて来たぞ⁉︎


《…その事からこの現象は犯人捜索の為にしているものでは無いと推測します》

じゃあ、危険は無いって事?


《そうだと思うのですが……》

あれ? 名探偵ミクの歯切れが悪くなった?

どうした?


《意図が不明なのです》

…確かに、何だろ?

逆探知出来てるのに何のアクションも無い、犯人探しで無いなら何故そんな事を?


……はっ! もしやアリシアさんのパラメータが上がって俺の事を知りたいとか⁉︎

何だそれならそうと早く言ってくれればいいのに!


《……間違いなく違う事は確かですね》

ちょっとは夢見させてよ!


《今がその夢です》

いや、そうだけどそうじゃないんだよ!


《マスターの戯言は置いておくとして》

ミクがちょっと冷たい。


《考えても分からないので行ってみましょう》

……スルー……だいぶ冷たい。

ん? 行くってどこに?


《アリシアの夢の中ですよ?》

へっ?


《向こうから干渉して来てるので今ならスキルで行く事が出来ます。直接聞きましょう》

ええぇーーっ⁉︎

何ソレ⁉︎ どう言う事⁉︎ 大丈夫なの⁉︎


《マスター、夢の中に行って聞くだけなのに質問が多いですよ?》

……だけって言われても……いや、この際ある程度は無理矢理納得するとして、直接聞くのはいかんでしょ?

アリシアさん監視よ? ドゥーユー(アナタ)アンダスタン(分かってますか)


《大丈夫です。あちらからすれば文字通り夢の中の出来事ですから》

ナンデストっ⁉︎

それはつまりアリシアさんに色々とあんな事やこんな事をしても許されるという事ですかっ⁉︎

やべぇ! 夢最高!


《何を想像したかは知りませんが、印象は底辺を限界突破するので止めた方がいいですよ?》

………夏草や 兵どもが 夢の跡。


《さぁ行きますよ。スキル『配達』を発動します》

待った無し⁉︎ いやホントに待って⁉︎

俺の意思を無視してスキル使ってない⁉︎

それに『配達』ってそんなスキルだったの⁉︎


《今日は本当に質問が多いですね? そんな些細な事で?》

全然細かく無いと思うんだけど?

勝手にスキルが発動するって暴走以外で聞いた事無いんですけど?


《些細な事のついでではありますが、『配達』のスキル使用に伴いマスターの所持金が減少します》

へっ⁉︎


《今回の費用は大銀貨2枚です》

え?


《これにてマスターへの制裁は終了とします》

ええぇっ⁉︎


《では、発動します》

ちょ⁉︎


最後まで言い切る事は出来無かった。

色々分からん事が多いが一つだけ分かった事がある。

それは……

「ミクーっ! ごめぇーーーん‼︎ まだ怒ってたのねぇぇーーっ!」


思念する事も忘れて生声で絶叫した。


そしてミクは怒らせてはいけないと心から思った。


『夏草や』

抜いても抜いても生えてくる雑草のような


『兵どもが』

妄想の数々


『夢の跡』

文字通り夢となり今はもう何もない様子。


みたいな感じです。

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