2Day 〜迷いの森行き直通です〜
ミク〜、まだ拗ねてんの?
《……………》
機嫌なおして『配達』スキルの事教えてよ。
宿に向かいながら新スキルの事をミクに聞こうと思ったのだが、思いの他ご機嫌斜めだった。
前回の様な愚を犯さない為に聞いておきたかったんだけどなぁ。
でも今回のヤツは試した所で事故ったりする事は無さそう……、ならコレは後回しにしてミクに機嫌をなおしてもらう方を優先しよう。
しかし、どうすればいいんだろうか?
そもそも拗ねるスキルって何?
「あいたっ!」
「あっ!」
考え事をして歩いていたせいで角を曲がって来たお婆さんにぶつかってしまった。
「すみません! 大丈夫ですか⁉︎」
「私のメガネがぁ〜!」
やっちまったか⁉︎ 何処だ⁉︎ 周りには落ちて無いが割れたりして無いよな⁉︎
もしかして踏んだか⁉︎
……見当たらないないな? だとしたら何処いった⁉︎
「あ、私ゃメガネをしとらんかったわ」
「いえ、何も壊れて無くて良かったです」
歳のせいか?
「あぁ! 私の大事な婚約指輪が無い⁉︎」
ナンデストっ⁉︎
なんて大事なモノを紛失しているんですか⁉︎
急いで周りを探すもそれらしいモノは見当たらない。
なんでこんな何も無いトコで見つからないんだ⁉︎
やばい! 弁償することも出来ん! どうする⁉︎
「あ、私ゃ結婚して無いから指輪なんぞしとらんかったわ」
「………いえ、何も失くしてなくて良かったです」
代わりに俺からの信用を失くしましたが。
「あいたたた」
「あ、大丈夫ですか⁉︎」
「すまないねぇ。少し休めば大丈夫だよ」
「ぶつかった俺が悪いから家まで送りますよ」
「ぽっ」
いや『ぽっ』って何だよ。
「いやだねぇ最近の若い子は、私には夫がいるってのに、こんな堂々と誘って来るなんて」
「ばあちゃん……言ってる事と手の動きが違いますからね?」
ばあちゃんは両手をわきわきしながら今か今かと待ち構えている。
「それに結婚して無いって言ってたでしょ」
「はて? そうじゃったかな? 最近物忘れが激しくての、そういえば私の黄金の杖を知らんかね?」
「……持って無かったと思いますが?」
「おお〜、そうじゃったな!」
………コレは確信犯だな。
何だ黄金の杖って? 実は当たり屋か?
「ばあちゃんネタはいいから家何処ですか?」
「何じゃもう付き合ってくれんのか?」
「嘘やネタじゃなくて普通の話だったら付き合いますよ」
「ほ?」
何だそのリアクション? 俺なんか変な事言ったか? まぁいいや。
「ほら、ばあちゃん負ぶさってよ」
「…それじゃあ、お願いしようかね」
「よし、家はどっちに行けば?」
「私の家はあっちじゃ」
宿の方角か、ならちょうどいいな。
こう言う時マップって迷う事無いし助かるよなぁ。
「じゃあしっかり掴まってて下さいね?」
「すまんかったね」
「別にいいですよ……あ、そうだばあちゃん。そう思うなら『迷いの森』の事何か知ってたら教えてくれませんか?」
「…あんな所に興味があるのかい?」
「興味は無いんだけど、知っとかないと後悔する気がするんですよねぇ」
「何じゃそりゃ? まぁ、私の知ってる事でいいなら教えてあげるよ」
「ありがと」
そうして迷いの森の事を聞きながらばあちゃんを無事家に送った時には日が沈みかけていた。
やっべぇ! アリシアさんとの合流予定過ぎてる! 急いで戻らなきゃ!
ミクの機嫌もなおってないし二重でヤバイ!
そして夕食の席でのアリシアさんの発言。
「では明日は森に行ってみましょう」
そうですよね。そんな気はしてましたよ。
一応言っておくが遅刻した俺への嫌がらせでは無い。
遅れた事に対してはアリシアさんは文句一つ言う事は無かった。
それはそれで全く気にされてないみたいで悲しいんだが。
俺もアリシアさんも特に有益な情報は無かったので、そうなれば森に手を出すのは自然だった。
「アンタ本気かい? お連れは複雑そうな顔してるけど」
女将さんそういう事言わないで、ほらアリシアさんがこっち見て来たよ。
孤児院に泊まり込みで相手をしているはずの女将さんは昼間のお礼返しと言って俺達に一杯ご馳走しに来てくれていた。
盗賊が言うと報復に聞こえるのは俺だけだろうか?
ちなみに一杯と言うのはお酒では無く果実ジュースだ。
「もちろんお供しますよ」
俺がアリシアさんを一人行かせるわけないじゃ無いですか。
ナノ単位ぐらいには行かないって選択してくれないかなぁ〜とか思ったりもしてるけど。
「やれやれ、止めても聞かなさそうだしアタシから言う事は無いよ。ま、気をつけて行くんだね」
女将さん、もっと粘ってくれていいんですよ?
もしかしたらアリシアさんが思い止まってくれるかもしれないので。
「では、明日に備えて今日は休みますね」
はい、迷いの森行き列車に搭乗確定しました。
気分はドナドナです。
「じゃあ、アタシは孤児院に戻るよ」
「女将さん、忠告ありがとうございます。俺も休みます」
出来れば永遠に休みたい気分ですが。
部屋に戻って一つ気合いを入れる。
さて、本日のラストミッションと行きますか。
ミクさん! すんませんでした!
どうか! お怒りをお納め下さいませ‼︎
ベッドの上で渾身のDO・GE・ZAをしつつ謝罪した。
側から見ると完全に変な奴だ。
しかし俺の持てる最上級スキルはコレを置いて他には無い!
《変なスキルを追加しないで下さい。それにそんな奇行をされると流石に恥ずかしいので止めて下さい》
奇行って言うなよ。
歴とした謝罪の王様だぞ?
《しょうがない人ですね》
ゆ、許された?
《許すも何も最初から怒ってませんよ?》
嘘だっ!
《嘘ではありませんよ。そう言えばスキルの説明でしたね。『配達』は言葉通りのスキルです》
ほら! 怒ってるじゃん!
物凄く説明が素っ気ないじゃん!
《わがままですね。スキルが怒ったり、拗ねたりするわけないじゃないですか》
しかも別のトコにも根に持ってる⁉︎
俺が悪かったよ! ごめんって!
その後もひたすら謝り続けた。




