表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/172

異世界でも世の中は狭いみたいです


ドナドナど〜な〜ど〜な〜荷馬車が揺〜れ〜る〜。


途中でシャロ特製弁当を堪能しつつ、女将さんの言葉通り道中は順調そのもの。


ヒマ過ぎて謎の歌詞が頭の中をリピートしているぐらいだ。

《マスター、とんでもなく悲しくなるので止めて下さい》


あ〜うん、そだね〜、テンション急降下だね。

……やべ〜、テンション下げ過ぎた。

今襲われたら終わる〜。


どうしよ?

何かテンションを上げる方法は?

……そうだ!アリシアさんを見ればいいじゃん!


あ、フード目深に被ってて俯いてるから顔見えない。

やべ〜、余計にテンション下がった。


《今のマスターとんでもなく面倒くさいですよ》

あ〜、自分でもそう思う。


じっとしてるだけってのは大分キツいな。

それに荷馬車の中が木だから座ってて痛いし。

元の世界がどれだけ快適だったかが比べて初めて分かる。


その点この世界の人はすげぇよな〜。

アリシアさんはよくわかんないけど、文句一つ言わないもんなぁ。

それに女将さんは慣れてる感がすげぇ。

元冒険者は違うなぁ。


あ、目が合った、ちょっと見過ぎたかも。

「アンタだいぶ不慣れみたいだね?」

「分かるんですか?」

「そこら辺の子供と同じ動きをしてるからね」


あらやだ⁉︎俺ってそんな風に見えてんの?

思わず道端の主婦みたいな感想が出てしまった。


いい大人がこれではいかん!

これではアリシアさんの俺への好感度が下がってしまう!


《下がる程あるんでしょうか?》

なんて事言うの⁉︎

あるよ⁉︎あるはずだよ?むしろあって!


「その感じが子供みたいなんだけどねぇ……」


女将さんが何か言ったような気がするけど、小さ過ぎて聞こえなかったな。

言い直さないし独り言かな?


「…やっと森が見えて来たね。村まではもう暫くってとこだね」

「森?」


女将さんの視線の先、街道からそれなりに離れた場所に樹々が見える。

「『迷いの森』って呼ばれてるよ」

とんでもなくゲームっぽい名称が出て来た。


「入ったら帰ってこれないとかそういうノリですか?」

「まっ、そんなとこだね。興味本位で入って行方不明ってことも珍しくないよ」

突然そんな樹海が現れるとは流石異世界だな。

そして凄く嫌な予感しかしない。


まだ誰も何も言ってないけど、コレ絶対いつか行く事になるよね?

そんな確信に近い予感を胸に馬車は往く。


気分は正にドナドナだ。

もしかしてコレがフラグだったのか?

だとしたら回収速過ぎるだろ⁉︎


日が暮れ始めた頃、ようやく目的地のマロメの村に辿り着いた。


流石にダイレクトで森に突っ込むような事は無かったか。

でもあれからずっと森が続いてるんだよね〜。

行くことになったらえらい範囲を捜索することになりそうだ。


「このまま宿に向かいますね」

商人さんがそう言って馬車を進める。

俺は馬車の中から村の様子を伺う。


すっごい子供達から見られてる。

しかも何人か付いて来てるし…。

月に何回か来てるって話だし、珍しいわけじゃないよな?


「何故か子供達がついて来てるんですが?」

「ああ、すぐに分かるよ」

「?」


そして疑問が解消されぬまま宿に到着した。

女将さんはすぐに分かるって言ってたけど?


馬車から降りて周りを見ると子供達がこちらに近づいて来ている。


何だろう?どこか獲物を狙うような目をしている気がする………はっ⁉︎

女将さんは盗賊⁉︎まさかこのチルドレン達は女将さんが手塩にかけた手下⁉︎


油断させて逃げ場の無い場所へ誘導した所を一気に剥ぎ取る気か⁉︎

なんて狡猾なんだ⁉︎………ってそんな訳無いか。


「お前達待たせたね?遠慮無くとっていきな」

女将さん⁉︎まさか本当にっ⁉︎

背後から聞こえた女将さんの言葉に耳を疑った。


そしてその言葉と同時に子供達がこちらに殺到してくる!

後ろには女将さん!逃げ場は無い!


そして状況が分かっていないアリシアさんが馬車から降りてくる。


マズイ⁉︎アリシアさんが身包み剥がされてしまう!

出来ればその役目は俺に譲って欲しs…ごほん!じゃなくて守らなくては!


そう思ってアリシアさんを庇うように子供達の前に立ち塞がる。

そしてそんな俺に目もくれずに子供達が通り過ぎて行く。


あれ?……スルーって何?

と思い後ろを振り返る。


不思議そうな顔のアリシアさん、今日もお美しい。

観ていたいものではあるけど、見ようとした者ではない。


とても名残り惜しいが身を切る思いで後方を見る。


女将さんの目の前に円形の筒みたいなモノが置かれていて手を突っ込んでいる。

その筒から取り出したモノとは……。


……すげぇ見覚えある。


子供達が手に取っているのは木の棒だった。

一応木剣も混じっているみたいだが。


その様子を眺めていると商人さんが追加の筒を女将さんの元へ持って来た。


「女将さんいつもすみません。後は宜しくお願いします。私は馬車を泊めて明日からの交渉の準備に入ります。帰りは四日後になると思いますので一緒に戻る時はお声掛け下さい」

「あいよ、その時は声をかけさせてもらうよ」

こちらにも挨拶して商人さんは本業に戻っていった。


「女将さん!時間ある?私縄の使い方教えて欲しい!」

「あっ!ずるいぞ!俺は罠の作り方が知りたい!」

「女将さん!俺には武器の扱いの続きを!」


…流石盗賊だ、慕われてるっぽいが内容が普通と違う。

そのくせ呼び名が女将さんって違和感ハンパねぇ。


「あ〜、分かったよ!時間が出来たら寄るから今日の所はコレで勘弁しとくれよ」

「は〜い!じゃあ女将さん約束ね!」

「ああ、約束だ」


子供達が思い思いに物色し去って行った後、女将さんに聞いてみた。


「ここでも『女将さん』なんですね?」

「そうだね。名前なんて久しく呼ばれてない気がするねぇ」

「教えてくれればお呼びしますよ?」

「……遠慮しとくよ。アタシの口から名乗るつもりは無いよ。どうしても知りたきゃ村の連中から聞きな」


一瞬間があったけど何だろ?

加えて自分で名乗らない理由が全く不明だ。


まぁいっか、村の人に聞けば分かるみたいだし。

マップを埋めるついでに聞いてみよう。


「さっきの子供達は?いつもこんな感じ何ですか?」

「さっきのはここの孤児院の子達だよ。アタシが一緒の時はいつもこんな感じだねぇ」

「木の棒なんて何に使ってるんです?」


「ああ、今は騎士団ごっこが流行ってるみたいだよ?先月は冒険者ごっこだったかな?ちなみに木の棒がその他の騎士で木剣が騎士団長らしいよ?それにダメになって使い終わったやつはそのまま薪として使ってるよ」


まさか木の棒がこんな所で需要があったなんて、しかも再利用(リユース)


「でも何で木の棒をわざわざ王都から?その辺のやつでもいいじゃないですか?」

「一応加工されてるんだよ。握り部分とか怪我しない様に削ったりね。国にいる武器屋の人が無償でやって提供してくれてるんだよ」


まさかの寄付⁉︎

恵まれない子供達になんとやらだ。

王都にそんな聖人が潜んでいたとは。

ちなみにアリシアさんは俺の中の女神なので別枠です。


「知らないだろうけど、ムジカって名前のやつがやってる武器屋だよ」

「っ⁉︎」

「なんだい?知ってんのかい?」

「ええ、まぁ」


まさかここでムジカの名を聞く事になるなんて!

あの見た目でこんな事してんのかよ。

そりゃ見覚えあるはずだよ。


ムジカ、変態とかクソオヤジとか散々心の中で言ってすまんかった。

思えば別に変な事されて無かったな。

アンタ立派だよ。


異世界でも世の中って狭いんだな。



大変申し訳ありませんが、仕事の都合で投稿ペースがダウンする事が予想されます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ