ヤバイとこでした
今日中にもう一つ行きます
『たびびと』って言ったかこの爺さん?
「聞いたことの無い職業ですね。流石ユニーク職ということでしょうか?」
聞いたこと無いんですね。奇遇ですね。
俺も職業としては聞いたこと無いですね。
アリシアさん冷静ですけど、それは無理があるんじゃないでしょうか?
爺さん震えてますよ?
そして俺も嫌な予感しかしませんよ?
「それで旅人とはどう言ったものなのでしょうか?そしてステータスはどうなっていますか?」
なんかすみません。
いや、俺が悪いわけじゃないんだけどそう思わずにはいられなかった。
アリシアさんの淡々とした言葉を受けて爺さんの震えが目に見えて大きくなってるんですけど?
「す、ステータスは…その…む、村人と同等です。旅人とは………」
例えるなら、最初に地球にやってきた戦闘民族が現地民のオッサンをゴミって言うぐらいのレベルかな?
うん、相当ヤバいな。
オッサンと言われれば否定できんが。
25って見る人が見ればオッサンだしな。
そして旅人の説明が物凄く言いづらそうなんだが?
なんだかもっとヤバいのが飛び出しそうだ。
「………さぁ、冒険の旅に出かけよう………」
静寂が広間を包む。
爺さんどうした?あんまりな内容で逃避に走りたくなったか?
俺もちょっと聞くのが怖いんだが?
「何を言っているのですか?旅人とはどういうものなのですか?」
アリシアさん怖い!
抑揚も変わらず淡々と喋るのは怖いです!
「………さぁ、冒険の旅に出かけよう………というのが、旅人の内容になり、ます…」
再び静寂が広間を包む。
コピペでもしたかのような内容に爺さんがボケたのかと思ったが、どうやらそれが説明だったみたいだ。
「それは戦闘職なのですか?」
今の説明聞いてブレないってアリシアさん、やべぇっス!
「ほ、他には、な、何も…書かれておりません。ステータスも村人と同等程度…とても戦闘職とは言えません…」
…ですよね〜。
「お父様このような事態を招き誠に申し訳ございません」
「ちっ、外れとは……。皆の者、よく聞け!一月後に行われる我が国初めての救世主召喚は必ず成功させるのだ!」
また舌打ちしたよね?しかも外れって。
小声だったら聴こえてないとでも思ってんのか?
一方的に呼んどいてこの態度…コレ典型的ヤバイとこに来ちゃってますよね?
いやでもせっかく無かったことにしてくれてるんだからこのままフェードアウトでお願いします!
「そこの外れよ。今日は城に逗留するがよい。部屋はこちらで用意しよう」
もうなんか清々しいぐらい隠さないね。
でも、バッドエンド直行じゃなかっただけマシか。
「ご厚意に感謝します」
機嫌を損ねるのはマズイ。
聞きたいことはあるが、大人しくしてよう。
ガチャン!
そうして案内されたのは牢屋だった。
あのブタ!マジふざけんな!
こういう扱いってどうなんの?まさか処刑か⁉︎
いやでも悪いことはしてないぞ?してないよね?むしろされた方だよね?
看守らしき人が出て行く前にダメ元で聞いてみるか?
「あの、すみません。この後どうなるんでしょうか?」
「………」
ガチャ、ギィィィ、バタン!
無視かよ!
話しすらしないってヤバくね?
牢屋ってどうやって逃げんの?
わかんねぇよ!
鍵とか壁に掛けてあったりは……しないな。
寝床の下に抜け道とかは……ないな。
チクショー!物語だけだよそんなご都合主義はっ!
詰んでる。
マジでどうしようもない。
残る手札はコレか。
結局聞けてないな、聞くまでも無いかもしれんが……。
俺の視界の隅に見えるコレ。
俗に言う『マップ』…だよな?
コレでどうしろと?