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ステータスは重要です


森の探索を終えた俺とアリシアさんは日が暮れる頃に街道村に辿り着いた。


この前のスライムの件があるのでミクへの質問は全て先送りにした。ちゃんと学習してるのだよ。

《それ、昨日の話ですよね?昨日の今日で忘れられると私も困ります》


………それにアリシアさんの目の前でミクと永遠と問答して変な人と思われるのもごめんだ。

黙考してる姿を見て知的な人と思われるなら歓迎だが。

《それは無いでしょうね》


…………マイスキルは中々辛口の様だ。


「お、戻ったかい。例の来てるよ」


宿へ戻ると昼間に話していた馬車が来たと女将さんに伝えらた。

俺達は一度部屋に荷物を置き、挨拶を兼ねて宿の食堂で馬車の御者兼商人の人と夕食をともにすることになった。


既に女将さんが話を通してくれたようで話はとてもスムーズだった。


「急なお願いを聞いて頂きありがとうございます」

「構わないよここの女将さんには世話になっているからね」


アリシアさんは身バレ防止の為、フードを目深に被っている。


「それに今回のように付いて来てくれるのはこちらから頼みたいぐらいだよ」


ん?何かおかしな事を言ってないかい?

付いて来てくれるって何の事?


首を捻って思考していると、テーブルにデザートらしきフルーツが盛られた皿が置かれた。

「アタシもちょうどマロメの村に用事があったとこだから宜しく頼むよ?」


女将さんでしたか。

それはまた随分と心強いですね。


「宜しくお願いします」

アリシアさんに異論は無いみたいだ。


「出発は明後日の朝になりますので、そのおつもりでお願いします」

「分かりました」


「では私は明日の準備がありますのでここらで失礼しますね」

「はい、明後日は宜しくお願いします」


挨拶を済ませ商人の人は部屋に向かって行った。

「では悠生様。私も部屋に戻りますね」

「あ、はいどうぞ」


で、残された俺はテーブルに置かれたフルーツらしきモノをガン見する。


三人しか座っていないテーブルに何故4切れ乗っているのだろうか?

譲り合いの精神を試されているのか、はたまた仁義なき戦いを見越してだろうか?


どちらにせよ杞憂に終わったが。


形と大きさは西瓜を8分の1にカットした感じだな?

違うのは皮と身、全てが真っ赤、最早真紅と言って過言ではない色をしている。


食後に出てきたということは限りなくデザートである可能性が高いと思われる。

しかし!この色はまさかの激辛なのでは?という疑惑も捨てきれない。


俺がそう思うのは商人の人もアリシアさんも手を付けていないからだ。

やはりそう言う類のモノなのだろうか?


しかし、出された以上食べないのはポリシーに反する!

それにまだ激辛と決まった訳ではない!


恐る恐る手に取る。

すると赤い汁が断面からポタリと滴り落ちた。

………………血塗れの凶器を拾ったみたいだな?


気分は猟奇的な殺人鬼のようだ。

いや人である分だけまだマシなのか?

殺人鬼は人を食べるわけじゃないしな。


ええい、ままよ!

勢いよく口に運んだ。


「甘っ⁉︎」

マジか⁉︎全然辛く無いじゃん!


食感は西瓜とソックリで噛んだら汁が溢れる感じまで一緒だ。

ただ色が真紅なので血を啜ってる感が否めないが。


それを差し置いても美味い!

元の世界で糖度15とか書かれてるやつ食べた事あるけどそれより断然甘い!

コレ凄くいい!疲れた時に癒されそう!


なんであの二人は手を付けなかったんだろうか?

腹一杯だったのか?


…まぁいっか、これなら一人で全部食べれるな。


それに確認することあるし。

さて、ミク。

ネタは上がってんだ洗いざらい白状してもらおうか!


《強気ですね?どこに何の証拠が?》


すみません。言ってみたかっただけです。

謝ったから優しく教えてミクちゃん。


《………しょうがないですね。何から行きますか?》


そう言われると何から聞けばいいんだろうか?

まずは基本からか?

となると…レベルは1からスタートでいいの?


《そうです》


いつの間に5に?

トレンダーってそんなに美味しいの?


《トレンダーの時は4から5になりました。4になったのはスライムの時です。石投げたでしょ?》


えっ?アレで?倒さなくていいの?


《倒しましたよ?止めは女将さんでしたが》


あ〜、倒した扱いになるのね。

スライム一匹でえらい上昇したな?

最初だからか?

でも俺の想像と違うやつだったからレアな奴と考える方が妥当か?


んじゃ次、レベルが上がるとどうなるの?

スキルはホントに無いの?


《スキルは諦めて無いんですね?》


そりゃそうでしょ?

メッチャ期待したもん。


《マスターの職業は何ですか?》

……旅人ですけど何か?


《旅人が戦闘スキルを覚えると思いますか?》

……思えません。


《そう言うことです》

……マジ?

真剣(マジ)です》


ノオォォーっ!


《さてレベルが上がることによる恩恵ですが》


いやサラっと進まないでよ。

ショックでかいんだから。


《ステータスが上がり身体能力が向上します。今で初期の倍ぐらいにはなってますよ?既に実感出来ているはずですが?》


華麗にスルーっ⁉︎

実感?………はて?そんな記憶は無いが?


《トレンダーを一振りで斬ったじゃないですか》


いやだってアレ『木』でしょ?

ここに来るまでに薪狩りで毎日練習したもん。


《マスター、元の世界の基準で考えて下さい。レベル1がその基準になります》


元の世界がレベ1ね。オッケー。


《余り意味の無い略し方ですね?まぁいいですが、両手を伸ばした状態で30キロの重さを支え続けれますか?》


突っ込まないで!

えっと、手を伸ばした状態で?


………………(只今想像中)……………。

両手を前に伸ばして10キロのお米を乗せてみましょう。

1、2、3……。


うん。無理。

曲げればいけるけど伸ばしては無理。


《そう言う事です》

…何言ってんの?


《……夢叶ったでしょ?》

…夢?


《お姫様をお姫様抱っk》

ああぁぁーーっ⁉︎アレか‼︎

なんて事だ!あの一時を忘れていたとは!

しかも意味不明な状況過ぎて全く堪能していない!


《……理解は出来たみたいですね?》


もちろんステータスは理解したさ!

なんて重要なファクターなんだ!

準備は出来ていたのに俺の思考が追い付いていなかったとはなんたる不覚!


…………あれ?……ねぇ、ミクさんや。


《……何でしょう?》


俺も最初言われた時に気づかなかったんだけど、アリシアさんってそんなに軽いの?


《忠告しておきます。女性に年齢と体重は聞いてはいけませんよ》


ミクじゃなくてアリシアさn

《いけませんよ》


いや、だからミクじゃn

《いけませんよ》


あの

《いけませんよ》


はい。

ミクの事じゃないのに…。

それに最後まだ何も言って無いのn

《何か言いましたか?》

いえ!何でもありません!


声がアリシアさんなだけに直接責められてるみたいだ!

逆らえる気がしない!

なんて恐ろしいスキルだ!


「悠生様、まだこちらにいらしたんですか?」


あれ?後ろからアリシアさんの声が聞こえる?

声の方を振り返る。


「あ」

「え?」


アリシアさんが何かを見たような声を上げた。


「いえ、何でもありません。私は部屋に戻りますね」

「はい?」


何だったんだろう?

何か言おうとしたみたいだけど…。


それよりまた髪が濡れてたな。

俺はまたもやイベントに気づかなかったようだ。

俺も大人しく汗を流しに行こう。


「女将さ〜ん、今湯浴みって大丈夫ですか?」

「大丈bっ⁉︎、ククク…あっはっはっ‼︎」

女将さんが振り返って俺を見るなり爆笑した。


何で?


意味が分かっていない俺を見て女将さんが声を掛けて来た。


「あっはっは!悪いねぇ、不意打ちでそれは堪えきれなかったよ。アンタ『トレン果』を食べた事無かったのかい?」


聞き覚えがあるような無いような単語が聞こえた。


「あの…『トレン果』って何ですか?」

「さっきアンタのとこに持って行った果物だよ」

あの赤いやつか。聞いた事無いはずなのに物凄い聞き覚えがあるな?


「あれ何です?」

「あれは『トレンニー』の実だよ」


まさかの昼間に出会った魔物!通りで聞き覚えがある訳だ。

でも、何で爆笑されたんだ?


「ほら、コレで自分の顔見てみな」

そう言って手鏡を渡して来た。


見てみると元の世界で見た事ある顔が映っていた。


そうだなテーマパークとかによくいるかな?

イメージとしてはよくジャグリングしてるな。


鏡に映っているのは口の周りを真っ赤に染めたピエロの出来損ないの様な顔が映っていた。


アリシアさんが何か言おうとしてたのはコレか。女将さんには爆笑されたけど、アリシアさんよく耐えたな?


直ぐに洗いに行こう。

そう思い湯浴みに向かおうとする俺に女将さんが人生の終止符(死の宣告)を放った。


「知らないみたいだから言っとくけど、それ洗ってもとれないからね」


なん、だとっ⁉︎


あの二人が食べなかったのはそれが理由かっ⁉︎

どうする俺ぇ⁉︎このままでは旅人からピエロに成り下がってしまう⁉︎

いやこの場合は遊び人か⁉︎

それならまだ悟りを開ける可能性があるのか⁉︎


《そんなことはあり得ません》


うお⁉︎今度は別方向から失業確定宣言(死の宣告)が⁉︎

どうすればいいんだぁ〜‼︎


「トレンニーは嫉妬深いって言うからね〜。まぁ一日経てば勝手に消えるからそれまでは我慢するんだね」


え?消えるの?マジで⁉︎

…良かった……本当に良かった。


この世界に来て心底良かったと思った瞬間だった。

思わず目から光るモノが流れ落ちた気がした。


翌日俺が部屋から出なかったのは言うまでもない。



30キロの重さの想像は朝のラジオ体操のノリです。


いくら爽やかにしても持てませんでした。

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