朝です、情報収集です
あれ?どこだここ?
確か宿で寝てたはず………?
周りは濃い霧のようなモノで囲まれていて何も見えない。
まさか⁉︎またどっかに召喚でもされたのか⁉︎
……だとしたら今回は周りに誰もいないな?
とりあえずほっぺたをツネってみる。
痛!…くない?………夢だな。
周りは真っ白で何も見えないしどうすんのこれ?どうやったら目が覚めんの?
昔読んだ本には死んだら目が覚める、みたいなやつもあったけど……死ねる要素も無い、と言うより既に死にかけたことがあるから夢でもそんなことしたく無い。
となると俺が取るべき行動は……………寝よ。
寝てる状態でさらに寝る選択をした。
すること無いし、しょうがないよね?
そしてすぐに意識を手放した。
▽▽▽▽▽
《マスター、おはようございます》
んあ?
「おはようございます。朝ですよ」
そうか、やっぱりさっきのは夢か。
「おはよ〜ミク〜」
夢の中でくらい良い思いさせてくれても良くない?
異世界で初めて見た夢があれってどうなの?
何も無くて夢でも寝るって無くね?
《良い夢をご所望であれば私が愛の言葉を囁いてあげますが?》
ミクが?いや、まぁ声は女性だし可愛い感じだから嬉しくはあるけど…。
でもそれ違う意味の夢だよね?
《……あ、アンタが良い夢みたいって言うから仕方なく…、そう、仕方なくよっ!煽てても何も無いんだからね!》
まさかのツンデレ⁉︎それ愛の言葉だったの⁉︎
でも悪くない?むしろ凄くいい⁉︎
《さてマスター、今日は朝食が終わった後は村で情報収集を行います》
あれ?夢の時間終わり⁉︎凄く名残惜しいんだけど?
「今日は朝食が終わった後は村で情報収集を行います」
ん?リピート?
まだ続いてたのか?だとしたらこのパターンは何だ?………………わからん!
俺の知らない未知のパターンか?
だとすると流行らなさそうだなぁ、少なくとも俺には響かない。
こちらからリクエストするべきか?
となると何がいいかなぁ?う〜ん、悩む。
「どうかなさいましたか?」
《どうかなさいましたか?》
へっ?
何だ今の?幻聴か?
声がダブって聞こえたぞ?
目の前には不思議そうな顔をしたアリシアさんがいるのみ。
AMM!
《何をバカなことを言ってるんですか?》
そして頭から響くアリシアさんと全く同じ性質の声⁉︎
まさかっ⁉︎
《最初のアクティベートでマスターのリストから厳選しました》
やっぱりアリシアさんの声か⁉︎
『凄い聞き覚えある感じがする!』どころじゃねぇよ!身近過ぎんだろ!
それに厳選って何だよ!リストには三人しかいねーよ!
「あの、先程の『ミク』というのは?」
「あ!えと、その!…そう!元の世界の妹です!すみません!寝ぼけてました!さぁ行きましょう!」
先に教えろよ!架空の妹が出来たじゃねぇか!
というより変更出来るのか⁉︎
《アクティベート時のリストからなら変更可能です》
……何が悲しくてブタとムジカを選択せにゃならんのだ。
ぜひそのままでいて下さい!
《マスターならそうおっしゃると思ってました》
これいつか絶対放送事故が起こるよな?
…というより⁉︎あのツンデレセリフをアリシアさんが言ったってこと⁉︎
いかん!色々危険過ぎる!このままでは守護神とまで言われた俺の鉄壁ディフェンスが突破されてしまう!
《では変更しますか?》
マップにいつもの表示が出た。
イエス? ノー?
ここは心を鬼にして、いや鬼ごときでは足りない!これは鬼神と化さなければならない領域だ!
俺は今ブタとムジカの二択というかつて無い極限の選択を迫られている!
悩むな俺!自分を守る為の選択をするんだ!
そうだ考える必要は無い!感じろ!
真実はいつも一つだ!
ミク!…………ステイで。
《………………》
自殺点がナンボのもんじゃい!
漢なら傾き通せ!
アリシアさんの美声に酔いしれて逝くなら本望だ!
それにゲームならいいけど良いやつじゃないからやり直しってリセマラみたいで、実際にやるのは抵抗あるしね。
俺が名前を付けたのは最初のミクだ。
急に変わったらミクじゃない気がするし、ミクは今のままが一番だ。
《…………………》
そういえばミクが静かだな?まぁいいや。
さて本日の献立は何かな〜?
《……マスターはズルいと思います》
何の事?
そのことにミクからの返答は無かった。
ちなみに朝食はパン、サラダ、スープだった。
パンはフランスパンより少し硬かったので、この世界のパンにはあまり期待出来なさそうだ。
朝はパン派なので問題無いんだが、そろそろ米が恋しくなって来たな。
今日出て来なかったらちょっと聞いてみよう。
そして二手に分かれての聞き込みとなった。
結果はと言うと、街道に魔物は出る。
ただこれは今に始まったことでは無く、元々そんなもんってことで別段数が増えたりしてる訳でもないらしい。
で、俺的重要事項の魔族に関しては、そんなもん見た事無い。だそうだ。
いるのといないのでは危険度が大幅に違う。
命大事に。それ重要。
と言ってもそれだと成果が上げれないので、信用が得られず死亡ルートに乗っかることになる。それもまた困る。
何か変わったことはないか?と聞いたらこの先にある『マロメの村』の途中で国から出てる荷馬車が襲われることがあるらしい。
……びみょ〜。
魔物が出るなら襲われることもあるでしょうよ。
アリシアさんも襲われない方が珍しいって言ってたし。
むしろ国から馬車が出てる方が驚きなんだけど?脱出不可能な監獄だったのでは?
ということで、午前の聞き込みを終わって宿の食堂でアリシアさんに質問タ〜イム。
「それは食糧調達の馬車ですね。月に何度か日用品と交換で仕入れをしています。国の中で賄うのも限界がありますので」
そりゃごもっとも。
「……ですが、馬車が襲われるのは国の損失ですので問題ではありますね」
……周辺の魔物を根こそぎ狩れと?
それはちょっとヘビー過ぎませんか?
「何だい?アンタら国関係の人だったのかい?」
「まぁ、そんなとこです」
「ふ〜ん、まぁ気になるなら馬車に同行して行ったらどうだい?そろそろ来る頃だと思うよ」
女将さんが言うには毎回ここに寄って一、ニ泊するらしい。
そう言えば月に何度か来るっていうのに街道を歩いてた時に何も見てないな。
あれ?
「最初から乗っけて貰えばよかったんじゃ?」
「重量限界まで積み込むので難しいですね」
「……それだとここでも乗れないのでは?」
「その心配は無いよ。ここで日用品をいくらか捌いてから出発するから乗れると思うよ」
「そう言うことですか」
話が纏まったところで昼からは予定通り周辺の調査を行うことになった。
念の為だってさ。
昨晩みたいなことがあったら困るから俺も念の為女将さんから火炎瓶を借りた。
もちろん単品で、だって縄を扱う技術無いもん。
そのまま持ち歩くのは邪魔なのでアリシアさんのマジックバックに収納していたりする。
俺ホント役に立ってないね…。
そろそろお荷物脱却したいんですけど?




