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異世界実感しました


「ここが目的の村…」


これは確かに村だ。

間違っても街や町とは言い難い。

何故ならマップに街道村と表示されており、まだ入口だと言うのに踏破率35%……ちっさ!


「アンタら旅人かい?」

はい、俺は一字一句違わずその通りです。


「そうです。本日はこちらで宿をお借りしたいのですが」

「そうかい、だったらここを真っ直ぐ行けばあるよ」

「ありがとうございます。では行きましょうか」

「あ、はい」


アリシアさんがサラッと話を進めてしまった。

ここは街道村だよ。みたいなセリフが飛び出るかと思ったけど、そんな紹介は無いらしい。


そりゃそうか。

出会っていきなりそんなこと言ってもおかしいだけだしな。


入口に入っただけで三分の一を踏破しただけあって宿も近かった。

既に踏破率が90%になっている。

直進しただけなんだが…、どうやら俺のマップは隅々まで行く必要は無いらしい。


そう言えば最初を除いてマップをちゃんと埋めてるのはこれが初めてだから気にしてなかったな。


今のところマップが俺の全てなので後で100%にしに行こう。


そんなことを思いながら宿らしき建物の中に入ると…。

「なんて犯罪的な味だ!」

「至福!溶けそうだ!」

「うめぇ!うますぎる!」

「身体の隅々まで染み込んできやがる!」

「地上って素晴らしい!」


……何だろう?過酷な労働環境でもあるんだろうか?いや、過酷な世界ではあるのか?

最後の人なんてどっかの地下で強制労働でもされせられたりしてるんだろうか?


でもあなた達、格好を見る限り村人ですよね?

そんな危ないことしないよね?


確かに仕事終わりの一杯は美味しいと思うよ?

でもちょっと表現が大きい気がするんですが?

もしかしてそんなに美味いのか?

自分のお金が出来たら飲んでみよう。


そんなことを思っているとアリシアさんが厨房で忙しなく料理をしている女性に声をかけた。

「すみません、宿をお借りしたいのですが?」


女性は手を止めてアリシアさんを見た。

中々がたいが良いお方だ。

女戦士と言われても納得してしまうかもしれん。


「なんだい泊まりの客かい?珍しいね?ちょっとシャロ!そっちはいいから泊まりの客の相手しておくれ!」

「は〜い!、御待たせしました!何名様ですか?」


キタコレーっ!

奥から現れたまだ幼い少女を見て思わず心の中で叫んでしまった。


そうだよ!コレだよコレ!

異世界だったらコレが無いと異世界とは呼ばせない!

誤解しないで欲しいが別にロリ趣味では無い。


最初に出会ったのがあんまりだったんで記憶から削除していたが、コレが獣人のイメージだよ!


頭の上からピョコンと飛び出たような耳に少女の後ろで揺れているふさふさの尻尾。何だろう狐に近いかな?


耳も良いけど尻尾がとても魅力的だ!

物凄く触り心地が良さそうだ!

これは是非とも仲良くならなければ!


「二人です」

「…もしかして…もう一人はあちらの方ですか?」


早くも好機到来!


「そうですが、どうかしましたか?」

「いえ、今何か凄く身の危険を感じたような気がしたので…」

バカなっ⁉︎まだ何もしていないというのにっ⁉︎


ムジカの時も思ったがこの世界には読心術が存在しているのか⁉︎

いや、待て待て!確信を突かれた訳じゃない!

とするとこれはアレか?第六感と言うやつか⁉︎

流石異世界だ!こうも簡単に人の領域を超えてくるとは!


だかしかし!今は諦めたとしてもこの程度の障害はいつか乗り越えてみせる!

夢は見るものだ!


この世界でまた新たに目標が出来た。

絶対モフる!


「あ、すみません!御二人一泊で大銀貨6枚になります」

「…では、三日分お願いします」


「はい、大銀貨18枚確かにお預かりしました。お部屋は2階奥の突き当たりになります。朝と夜の二食は料金に含まれてますので、必要な場合はお申し付け下さい」


「では、今日明日はよろしくお願いします。それ以降はまた言いに来ます」

「はい!承りました!女将さんテーブル席2名様ご案内で〜す!」

「あいよ!」

受付をしてくれたシャロが厨房にいる女性に声かけると、先ほどの女性が軽快に答えた。


「では、こちらの席でお待ち下さい」

シャロにテーブルまで案内してもらって、少しした後に料理が運ばれて来た。

サラダにスープそして何かの揚げ物が出て来た。


まずはスープを頂く。

コーンスープに近い味だ。ちゃんと味があるって素晴らしい。


決してアリシアさんの料理がダメだと言う訳では無い。

このスープとアリシアさんが作ってくれたもの、どちらかを選べと言われれば俺はアリシアさんを選ぶ。

アリシアさんの料理は金では買えないのだ。

いつでも食べれるものを選ぶ理由が無い。


俺が拒否するのは殺人的な料理だけだ。


次に揚げ物に視線を移す。

「これって何の揚げ物ですか?」

「鳥の唐揚げですよ」

普通の回答が返って来た。


皿に盛られている形や大きさがバラバラだったから聞いてしまったが、ただ単に大雑把なだけだったか。


異世界だから元の世界では味わえない物かとちょっと期待したんだが、食べる物はそこまで変わらないのかもしれない。

そうなると美味しい物を食べるっていう目標が無くなるな〜…。

とか思いつつ唐揚げを口にする。


「…うまっ⁉︎」

思わず口から感想が出た。


鳥の唐揚げってこんなんだったか⁉︎

いや、もしかしたら元の世界にもあるのか?

少なくとも俺はこんな唐揚げは食ったことが無い、何だ料理の腕なのか⁉︎


外側は唐揚げらしくパリっとしているのに中の肉は噛むと溶けるような柔らかさ。

なのにしっかりと肉の味を感じる。

不思議だ…こんな肉ならいくらでも食べれそうだ。


すぐに無くなってしまったのでもう一つ口にする。


っ⁉︎

「なん、だと⁉︎」


これも上手い!だが食感が違う⁉︎

さっきの溶けるのとは違い、コリコリとした食感⁉︎それに噛むとさっきと違い、程よい塩味が染み出してくる⁉︎


なんだコレ⁉︎こんな唐揚げあんの⁉︎

鳥の部位で違うのは知ってるけど、こんなの知らないよ⁉︎俺が知らないだけなの⁉︎


驚きに包まれていた俺にかけてくる声があった。

「『ラビットバード』って美味しいし食べてて楽しいですよね」


美味しいのは認めるけど……、何かおかしい名称が聞こえたんですが?

「『ラビットバード』って……何?」


「知らないんですか?結構一般的だと思うんですけど?」


アリシアさんを見る。

「魔物の一種ですね」

えっ⁉︎魔物なの⁉︎


「そうです。普通の鳥と違いウサギのように飛び跳ねて移動をするので、その分肉が引き締まってて、その上全ての部位が食材になるという無駄の無い鳥なんです。別名『飛べない鳥』とも言われてて捕獲もしやすいんですよ」


豚じゃなくて?

飛べない鳥って、それもう鳥じゃ無くないですか?


上手いから別にいいけど。

ちなみに唐揚げは鳥一匹丸々使っているらしく、いろんな食感と味が堪能出来た。


とてもビールに合いそうな感じだ。

この世界にビールがあるのかどうかは不明だが、もしかしたらさっきの村人達が飲んでたモノがビール的な位置に属するのかもしれない。


いつか飲んでみるのと美味しいものツアーは必ず行こうと心に誓った。


夕食を終えて部屋に入り荷物を置く。

ぶっちゃけ俺は刀しか持ってないんだが…。


そういうアリシアさんもマジックバック一つしか持っていない。

なんて軽装な旅だ。

元の世界で一週間も旅したら荷物で一杯だろうに、異世界アイテム恐るべし。


…………ん?

何だ?何かが引っ掛かる?


アリシアさんが今までずっと頭から被っていたローブを外している。

俺もムジカから買ったローブを外す。

俺は身分を隠す必要は無いので頭から被ったりはしていない。


あっ、着替えが無い!

そう言えば予備とか買って無いな。

う〜ん、そうなると俺もマジックバックが欲しいな〜。

相場が分からん。それ以前に金が無い。


「悠生様、明日の朝は村で情報収集をしましょう。昼過ぎには終わると思いますので、その後は村の周辺の確認をしておきましょう」

「わかりました」

「では私は少し席を外しますね」

「あ、はい。どうぞ」


そう言って鍵の無い扉から出て行った。

この世界…いや、この村の宿が、かな?


鍵が付いて無いんだよね〜。

セキュリティガバガバだよ!プライバシーなんて無いよ!流石異世界。


さて、俺はどうしようか?

このまま外に出てマップを埋めるか?

あ〜でも、アリシアさんに言ってから出た方が良かったか?

監視だしな〜、急に居なくなるのはまずいか?

しょうがない戻って来るまで待つか。


……また、引っ掛かりを覚えた。

何だ?何かとても重要な事を見逃している気がする。


考え続けるが、原因は分からなかった。


食レポには向いて無いですね。



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