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消える炎


新しく現れた2人の人間、その片方。

目の前にいる人間の男の態度……、何なんだコイツは?


先程まで絶望しなかったのはまだ手を隠していたからだと分かり納得した。

後はそれを折ってやれば懇願し命乞いをするだろう。

今更1人、2人人間が増えたところでそんな事は些細な問題だ。

そのはずだ。


さっきの手を隠していた人間の女のような魔力は感じない。

かと言って強者特有の力も感じない。

なのにこの余裕?

しかも俺に対して人間ごときが1人でどうにかなるとおもっているのか?

……気に入らないな……力の差を思い知らせてから始末してやろう。



▽▽▽▽▽



俺より旦那の方が信頼度高ぇなぁ。

まぁ当然か。


そんな事よりコイツをどうするか?

クラウドさんや旦那が手を焼いてる相手だ、3乗じゃ無理だろうな。


様子見で無駄に魔力を消費するわけにもいかないからさっさと片付けるに越した事はないか。


「っと」

ズンッ!


紫色のオークの踏みつけを3乗で躱す。

動きはそれほどでも無いな?

ジェネラルを一撃で倒してたから腕力極振りのタイプか?


チラリとスズ達の方を見る。

スズが上手くタゲをとってるところを見るとやはり動きはそこまでじゃないようだ。


4乗全開だと6秒程度しか持たないからここはスズに習ってカウンターで技を放つか。


踏みつけに続いて繰り出して来た拳を躱して4乗の『瞬閃』をお見舞いする。


ズバッ!

「ぐあっ⁉︎」


見事に手首を切断し、無くなった手首を押さえながらオークが一、二歩後退する。


「て、手がっ⁉︎ ば、バカな⁉︎」

なんか驚いてるけどそんなに予想外だったのか?


「キサマ何をしたっ⁉︎ こ、こんなバカな事があってたまるかっ!」

無事な方の手で地面スレスレを掬うように振り切って来た。


おわっ⁉︎ これは範囲が広い! 4乗!

《了》


今度は技だけじゃなく回避から技まで『夢現』を発動させた。

その為、制御出来てない魔力が周囲に溢れた。


「な、にっ⁉︎」

魔力に晒されて出来た一瞬の硬直を逃さず振り切った腕を駆けて根元から『瞬閃』で腕を切断した。


「があぁっ⁉︎」


くそっ! 魔力を使わされた………ミク後どれくらいある?

《4乗で約5秒といったところです》


これで前回アイツとやった時より残り少ない状況になったわけか。

今の所アイツの姿は見えないからもしかしたらどっか行った可能性もある。


コイツが素直に喋るとも思えないが聞くだけ聞いてみるか…。



▽▽▽▽▽



バカなバカなバカな⁉︎

何なんだコイツはっ⁉︎


手首を斬られその後、腕ごと斬られた。

苦痛こそあったもののそれを上回るほどの衝撃と動揺が全身を支配した。


間違いなくコイツはただの人間のはずだ!

なのにこれは一体何なんだっ⁉︎

ありえないっ⁉︎


「おい、キングはどこにいる?」


おまけに訳の分からない事を言い出した。

キングだと?

目の前にしておいてコイツは何を言っているんだ⁉︎


「いるだろ? お前みたいな体格じゃなくて細身の奴が」

「っ⁉︎」


その言葉で脳裏に浮かぶ存在があった。

ほんの数日前にその存在から無様に逃げ出したばかりなのだから。


何故コイツがアレの存在を知っている⁉︎


「黙りか……まぁ素直に喋るとは思ってなかったし、この辺にいないみたいだから別にいいけどさ」


強い者にしか興味の無いアレが人間なんていうひ弱な存在に興味を持つはずが無い!

だから人間共の前に姿なんて見せるはずがないんだ!

なのに何故コイツは見た事があるかのように言っている⁉︎


知っているわけが無い!

最近まで封印されてどこかで利用されていたはずだ。


それこそアレと互角に渡り合ったとか言う信じ難い存在ぐらいしか……っ⁉︎


そこで思考が一旦途切れ一つの可能性が脳裏をよぎった。


しかしすぐにそれを全力で否定する。

ありえないありえないありえないっ!


人間が優れているのは数だ。

1人1人はひ弱な存在だ。

そんなバカな事があってたまるかっ‼︎


そうだ! さっきまでは力の差を解らす為に手を抜いていたからだ! でなければおかしい!


そう思いなおした直後、唐突に地面が顔に迫って来た。


な⁉︎ なっ⁉︎ ぐっ⁉︎


防ぐ事も出来ずに正面からぶつかった。

顔に地面が当たりに来るという不可解な現象に混乱する。

な、何が起きた⁉︎


ドォン!


その後横で何かが倒れるような音が耳に届いた。

首を動かす事が出来ず視線だけを音の方に動かす。


そこには自らの身体が倒れていた。

俺、の、身体?


「知らないならいいけど、呼ばれたら厄介だからな。

出来れば二度とアイツと会いたくないし闘うなんてもってのほかだ」


その言葉を真に理解するのにいくらかの間があった。

そして先程の結論が正しい事を理解した。

アレと互角に渡り合った存在がまさか人間だったなんて。


そして自分の首が落とされた事を知覚した。

こ、こんな…とこ、ろ…で……。


それを最後に復讐の野望と共に意識も消えた。


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