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召喚されました

なんだコレ?どこだここ?


石作りの円形の部屋。灯りは部屋を囲むように壁際に設置されている松明のみ。

周りは見た事が無い。というよりは今時そんなとこあんのか?という印象。


遠巻きに見るようにローブを頭から被った怪しいやつらが数人と美少女が一人。


現実だけど現実じゃないようなこの展開…。


「おお!成功したぞ!」

数人のローブを着た人物達がこっちの心情を無視して騒いでいる。


「ようこそおいで下さいました。救世主様。どうか私達にお力をお貸しください」


金髪碧眼の美少女がテンプレなセリフを口にしてきた。


現実に起こるとは信じられないんだが?


「あなたは?それに救世主って?」


こちとら社会人の一人暮らし、時間と金は自由に使えるのでそういうのも守備範囲。

漫画やラノベでそういう系はたくさん読んでいる、好きか嫌いかで言えば大好きだ!


「申し遅れました。私はアリシアと申します。安心して下さい、私達は敵ではありません」


これまたテンプレなセリフ。

好きではあるけども信用云々とはまた別の話だ。


知らない場所に知らない人達、言葉だけですぐに信用するのは難しい。

ん?言葉?そう言えば普通に受け答え出来るな?


ただ場所も分からず、この人数を相手に逃げるのは流石に無理だ。

敵ではないと心の底から願いたい。


「いきなりのことで困惑されているご様子。詳しいお話をさせていただきますので、こちらにおいでくださいませ」


俺の沈黙の思考を困惑と受け取ったらしい。

アリシアと名乗った美少女がローブを纏った人達を連れて奥に見える階段へと進み出した。


どうやらどこかに案内してくれるみたいだ。


いきなりバッドエンドだけは無いと願いたい。

あわよくば…いや、やめとこう都合のいい話は物語の中だけだ。


今は状況把握に全力を尽くすしかないな。


そうして案内された場所は、王様の御膳でした。

んで、凄く嫌な予感しかしない。


ぷっくりとした肥満ボディに宝石の散りばめられた装飾品の類をこれでもかと言わんばかりに身につけて贅沢の限りを尽くしている。

豚に真珠とはよく言ったもんだ。


「よくぞ来てくれた!救世主よ!私がこの国の王ジーク・フリードである。どうかその力でこの国、いや世界を救ってくれ」


ブタ…じゃなかった、王様がアリシアさんと似たようなセリフを言ってきた。

力を貸す規模が世界だった、ってだけで何もわからんね。

というよりその見た目でジーク・フリードって似合わなさ過ぎる。


「申し訳ありません。突然のことで状況がよくわからないのですが、世界を救うとはどういうことでしょうか?」


社会人ですからね。本音は言わないよ。


「ちっ、それもそうだな。我が娘アリシアに説明させよう」


おい!今舌打ちしたろ!隠す気ゼロかよ!娘ってマジか⁉︎似てなさすぎんだろ!一ミリも遺伝子受け継いでねーよ!説明ぶん投げってどういうことだよ!てか、その短いセリフにどんだけ突っ込ませるんだ!


「それではご説明させて頂きます」


そんな王様の態度などまるで気にしていないかのようにアリシアさんが語り出した。

アンタちょっとは娘さん見習った方がいいよ。


話してくれた内容はありきたりだった。

簡単に言うと…。


この世界には昔から魔王という存在がいる。

魔王は魔物を召喚することができ、人々を襲っている。

過去には滅ぼされた国もあるという。

これまで各国が討伐を試みているがことごとく返り討ち、マジで人類滅亡五秒前!

そこで召喚士であるアリシアさんが救世主召喚を行った。

と、言うことらしいのだが、迷惑この上ない話だった。


ちなみに言葉と文字は召喚時に補正がかかるらしい。

この年で言葉と文字を覚え直すとかマジ勘弁だからそこはまぁ助かったと言えるが、それとこれとは話が別だ。

なんとか穏便に回避出来ないものだろうか?


「失礼ですが、とても私にどうにか出来る力があるとは思えないのですが」


普通無理でしょ?


「その点はご心配いりません。この世界には職業というものが存在します。救世主召喚された者は例外なく職業が与えられます、それも同じ時代に一人しか存在しないユニーク職が」


まさかの不可避設定⁉︎

俺にもその職業とやらがあるってことか?

そういうとこはテンプレなんですね。


「その職業というのはどうすれば分かるんですか?」

「はい、それはこちらの鑑定士がお調べします」


そう言って横からローブを纏った男性?が進み出てきた。


「では、こちらの水晶に触れて下さい」


声からすると男性、それもしわがれているからそこそこの年齢。の言う通り水晶に触れる。


なんだか怪しい占いをしてる気分だ。

すると水晶から光が溢れ出した。

「っ⁉︎」

思わず手を離したが、問題無かったらしい。


溢れた光は爺さんが取り出した紙に吸い込まれていった。


おおすげー!ファンタジーっぽい!


紙に吸い込まれた光は徐々に弱まって行き、完全に光を失ったのを確認して爺さんが紙を見た。


そして驚いた表情を見せた。

「こ、これはっ⁉︎」


えっ、それどういう反応?

まさかの無双パターン?


「どうしました?職業は何と出ましたか?」


アリシアが爺さんに声をかけた。


「それが……し、職業は 旅人(たびびと) です」

部屋を沈黙が支配した。


あ、コレって逆のパターンじゃね?


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