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ツンロリお狐様の恋煩い~人類に復讐を密かに望むロリ狐神様と平凡高校生の恋の長旅〜  作者: 狐っ子舞々
第7章ーディアロン帝国ーレベリオ伯領の首都編ー
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集った2つの復讐心

 

「ナコ様に手駒として使われるのは、貴方様にも好ましくない物とお見受けします。悪い話ではないと思いますが⋯⋯。」


「どういう風の吹き回しだ?お前と俺は敵対関係にある。わざわざ刺客まで送り込んできたのに⋯⋯今度は勧誘に作戦変更か?」


 悠然と俺の前に立てるその面⋯⋯かち割ってやりたい所だが、彼女の真意をまだ知れていない。


 ナコを裏切る事を抜いて考えても、スアビスと再び仲間同士になる事は俺の大望のひとつ⋯⋯飲んでもいいのだが、条件があまりにも酷い。


 魔物をけしかけてきたスアビスだが⋯⋯やはりあの時の"()"は本物だったのか、微塵の殺意も感じ取れなかった⋯⋯。


「無駄口は結構です。何も私は貴方様に強要はしておりません、あくまでこれは"交渉"に過ぎないのですから。」


 スアビスの目的は俺だ。

 どういう経緯で命を奪うのではなく、自分のグループに勧誘する意向に変わったのか、よくわからんが⋯⋯。


 それに洞窟の外にも人の気配を感じる、どうやらスアビスは俺達をずっと遠くから監視していたらしい。


 見事に敵の術中にハマってしまった、ここまでの事を想定して事を進めていたとなるならば、方法はひとつ⋯⋯。


「────すまねぇがお断りだ、手駒に過ぎないとしても、俺達は互いに命を救い合ってる間柄。そう簡単に関係は断ち切れん。」


 相手の想定外な行動を取る他ないだろう。


 ゴブリン戦で負傷し、満足に身を守る事も出来ないこの絶望的な状況⋯⋯そこで助かる道を自ら断つなんてこと、普通は考えられない。


 ⋯⋯現にスアビスは予想外の答えに目を見開き、驚きを露わにしている。


 命の危険性はあるが、ナコと手を切るなんてこと⋯⋯俺には出来ねぇ、アイツは俺がいないと⋯⋯生きていけないのだから。


「本当に愚かなお人。この状況に陥ってもなお、ナコ様に忠誠心が絶えないとは⋯⋯涙ぐましい絆です。」


 勧誘の交渉は決裂、俺とスアビスは仲間に戻ることはなく⋯⋯関係は更に悪化するだけだった。


 そして彼女は台詞の終わりに、あの頃よりも一際鋭いナイフを構え、俺の命を狙う殺人鬼と化す⋯⋯。


「忠誠心⋯⋯ちげぇな。俺はただ単に⋯⋯少しばかりアイツの隣が気に入ってるだけだ!」


 脚と脇腹の傷から来る強烈な痛みを堪えて、俺は力を振り絞り⋯⋯《光煌なる聖剣(グラディウス)》をスアビスに向けた。


 白光の衝撃波も出せる魔力も残っちゃいない。

 勝てる見込みは無いに等しいが、抵抗せずやられるよりマシだ⋯⋯。


 それに俺は──ここで野垂れ死ぬつもりは毛頭ない!


「貴方様をそこまで支える物が何なのかはわかりかねますが⋯⋯。貴方には死んででも私とついてきてもらいますっ!」


 向かい合い、やがて俺とスアビスは同時に攻撃を仕掛けた。


 ────かつての敵との再戦、互いが見違えるほどの力をつけたことで、あの頃よりも凄まじい決死の攻防が、小刀と片手剣の剣戟を広げる⋯⋯。



 〜



 主の救援に急ぎ、遂に洞窟の入口前へ到着したナコとエミリオ。


 地震の発震原と魔力の反応を辿ることで、主の居所を掴めたナコは、死にものぐるいで洞窟へ向かってきた。


 エミリオもそれに連れ立って走り、ピッタリと彼女の背中にくっついて行くことで、思いがけない再会を果たすことに。


「おっとぉ、ここを通す訳には行かねぇよ?あの頃の借りを返させてもらうぜぇ?」


「べルーク⋯⋯!?貴方がどうしてここにいるのよ!」


 エミリオが元々所属していたパーティーのリーダー、べルークが2人に立ちはだかる。


 彼は巧みな戦闘技術をスアビスに買われ、高額な報酬を出す代わりに、2人の足止めを頼まれた⋯⋯雇われの冒険者。


「人の子よ、直ちにそこを立ち退け!妾は急いでおるのじゃ!」


 べルークの元に所属していたパーティーメンバーが、今やスアビス率いるグループの下っ端として働いている⋯⋯。


 彼らは雇われ冒険者のべルークを指揮官に、ナコ達を始末しようと、続々と洞窟の暗闇から姿を現した。


 人数の差は歴然、力も対して残されていないナコと疲労で身体が重いエミリオには⋯⋯多すぎる相手。


 薄暗く明かりのない()()の下で、彼らはスアビスの部下と一戦交えることになった⋯⋯。


「エミリオ!お前に味わわされたこの拭い切れない屈辱!今、ここで晴らしてやる!覚悟しやがれ!!」


 ナコを目にも留めず、べルークが付け狙うのはエミリオのみ⋯⋯。

 ナコは下っ端達に任せ、自分はエミリオに報復しようと、彼女に勢いよく切りかかる。


「うるさい!元はと言えば貴方が悪いんでしょ!馬鹿な事言ってないで、もっと強くなる方法を考えたらどう!?」


 べルークの斬撃も、いとも軽く躱され⋯⋯苦言を呈される。


 巧みな戦闘技術を持つ冒険者のべルークではあるが⋯⋯過信、軽率。

 その2つの欠点が邪魔をして、べルークは秘められた才能を引き出すことはできない。


 その苦言の言葉は彼の怒りの火に油を注ぐようなもの⋯⋯煮えたぎったべルークの心は、屈辱によって遂に爆発した。


「黙りやがれ!!俺を裏切った奴は死を持って償わせてやる!」


 エミリオは僅かに生じた隙に空高く飛び上がり、燎弓に矢をつがえる瞬間⋯⋯。



 ────大地よ、敵を突き上げろ!



 べルークが使用する魔法、それは大地の魔法。


 数少ない使用者の中でも、べルークは上級の魔法を使える人物────敵の足場を崩し、その隙を突くのが彼の戦法。


 エミリオは空高く舞い上がり、上から一方的に射撃するのが主な攻撃方法だが、大地の魔法は空の敵をも巻き込むことが出来るのだ。


 魔力によって迫り出した地面は、彼女のお得意の弓矢による攻撃を妨害し、べルークの報復の道を築く⋯⋯。


「⋯⋯きゃっ!」


 射線に立ち塞がる大地が自分の腕にかすり、弓を落としてしまったエミリオ⋯⋯。


 ────べルークは、その勝利への糸口を見逃さなかった。


「油断しやがったな!今日がお前の命日!俺に恥をかかせた事を地獄で後悔してろ!!」


 大地魔法が発する衝撃の影響で武器を地面に落とし、無防備になったエミリオは咄嗟に護身術に切り替えるも⋯⋯。


 相手はこれでも冒険者⋯⋯エミリオの武術の構えが整う前に、攻撃は成される。


 ⋯⋯はずだった。



「────俺の魔法が封じられただと!?」



 エミリオを間一髪の所で守ったのは、ナコが召喚した狐──炎に燃えた尻尾は、エミリオの勝利に対する情熱を触発させる。



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