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ツンロリお狐様の恋煩い~人類に復讐を密かに望むロリ狐神様と平凡高校生の恋の長旅〜  作者: 狐っ子舞々
第7章ーディアロン帝国ーレベリオ伯領の首都編ー
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襲撃の痕跡

 

 村里の入口にあった馬場末に馬車と馬を止め、今は集落内へと、無断ではあるが入れさせてもらっている。


「本当に村はあったけど⋯⋯。それにしてもひでぇ光景だな⋯⋯。」


 ゴブリンの大群から逃れてほんの数分が経過した⋯⋯ナコは無言で集落の方向を指差し、わかりづらかったが、最低限の案内はしてくれた。


 しかし今に至ってはそっぽを向いて、口ひとつ聞いてくれない⋯⋯気難しいのは既知、俺が心無い発言をしたのは覚悟の上。


 この一件を境に、ナコが自分の行き過ぎた考えや言動を悔いて、改めてくれればいいのだが⋯⋯やっばまり望みは薄いか。



 ────ナコはさておき、俺の目に飛び込んでくるのは⋯⋯作物を無惨に狩り尽くされた農村


 都市から離れたこの辺鄙な丘陵の麓に立つ、小さな家々⋯⋯魔物が数多く巣食うこの土地で、村を築くとは正気とは思えない。


 現に作物を魔物に漁られた痕跡もある、村人の姿は見えないが、奥には一際大きい村家があるな。


 恐く、あの家で集会の場でも開いているのだろう。微かにだが、あの家からは人の気配を感じられる。


「本当に酷い、余さず持っていかれていますね⋯⋯。先程のゴブリン達の仕業でしょうか?」


 エミリオは村人を心から不憫に思い、余すことなく狩り尽くされた畑を凝視。


 やはり俺達を襲ったゴブリンの可能性が高いか、村人の努力の結晶を奪い去った魔物⋯⋯戻って討伐と行きたいけど⋯⋯。


 ⋯⋯危険を承知で戦場に戻るという無謀なことは出来ない。


 今回はこの気持ちを心の片隅に置いておくことにしよう、時には気持ちを押し殺すことも大切となる。


 一方ナコはなにをしようとしているのか。荒らされた畑に歩み寄って屈み、畑の畝に触れた後に⋯⋯何かを見つけたようだ。


「⋯⋯主、これを見てみぃ。」


 小声、かつ普段より少しばかりドスの効いた声で俺を呼び、何かを見せたそうにしていた。


 ⋯⋯またもや俺の呼び方が変化した。

 お主やら主様やら、コイツの呼び方の基準がよくわからん。


 深い意味は無いと思うが、今度は"主"のみ。


 喧嘩したとはいえ、まだ俺を主と認めてくれてはいるようだ、敬称はつけていないことから、依然として許す気配はないみたいだがな⋯⋯。


 まぁ、許すか許さないかなんて⋯⋯俺にとってはもうどっちでもいい。


「なんだ、これは?」


「わからぬのか?これは先の魔物の血痕じゃ。見た所⋯⋯奴らは幾千と数を増やしておるようじゃ。」


 ────ナコの口から出たのは、信じ難い魔物の数⋯⋯とんでもないを通り越して、数は常軌を逸しすぎている。


 ナコも俺も残された力は極僅か、未だ戦える力を残したエミリオだって、弓矢を無限に射れるわけじゃない。


 荷台に詰められた弓矢も数に限りがある、普通の矢は大量にあっても⋯⋯エミリオが主につがえる矢ではない。


 本領発揮せずにゴブリンの大群を殲滅できるかどうか⋯⋯考えなくとも、至難の業であると言うのはわかる事だ。


「村人達は勇敢にも魔物に抗い、最終的に住む場所は守れたようですが⋯⋯作物だけは奪われてしまったみたいです。」


 ゴブリンの血のみならず、魔の存在である魔物の種は、人間の赤とは対を成すように青い血が流れている。


 別名、"()()()()"とも呼ばれる血が大量に畑に飛び散り⋯⋯畑は見るに堪えない有様だ。

 ⋯⋯この状態、村人は精一杯の戦力で迎え撃ったみたいだな。


「こんな所で立ち往生してるのも何だ、とりあえずは村人に事情を聞きに行こうぜ。」


「はい、それがよさそうですね。」


「⋯⋯うむ。」


 作物を奪われた村の奥に立つ⋯⋯村の中でも特に大きい住家、そこに村人が集まっていると推測を立て、俺達は進む。


 ⋯⋯青い血痕が大量に飛び散った畑を余所に⋯⋯。



 〜



「なんという事だ──旅人様の来訪だ〜!村の皆、歓迎会の準備に取り掛かれ〜!」


 ────俺達が目的の家に到着しようと言う頃、突然な事に⋯⋯俺たちの後ろからは、若い男の村人の姿があり、彼の声が村中に広がった。


 どうやら、この村では俺達のような旅人は珍客のようであり⋯⋯嬉しいことに、手厚い歓迎ムードが流れている。


 ⋯⋯当然と言えば当然か、ここは人気のない辺鄙な土地。加えて、この村が位置するのは街道から遠く外れた場所。


 それも相まって旅人が訪れる事なんて滅多にない⋯⋯。

ここら辺の道も聞ければいいのだが、何がいい道は無いものか。


 ────彼の一声で、静まり返った村は賑やかな状態に打って変わることとなった。


 先程は風になびく葉の音だけが、俺達の耳には入ってきていたけど、今は⋯⋯。


 本当に、物凄い変わりようだな。


「ここの人達は私達を歓迎してくれるみたいですね。魔物に襲われたばかりだと言うのに⋯⋯なにか申し訳ない気分です。」


「村にとっては俺達も大切な来客なんだろうな。遠慮せずに持て成しを受け入れる方が嬉しがられると思うぜ。」

 

 確かにエミリオの言う通り⋯⋯作物を略奪された直後に歓待を受けるというのは、俺も気が引けてくる。


 しかし、そうとは言っても村人の驚き具合や態度を見てしまうと、断りづらいと言うかなんと言うか⋯⋯。


 まぁとにかくだ、断るよりは素直に現状を受け入れて、村人のやりたい通りにさせてあげるのがよさそうだな。


「そういうものなのですかね⋯⋯。」


 やはりどこか負い目を感じるのか、俺の予想通りエミリオは最後まで納得せず、気が乗らない様子。


 魔物の襲撃とは別の話と割り切って、何気ない顔で歓迎されるようにするのが1番だ。


 あわよくば村人との会話の途中⋯⋯それとなく襲撃の方に話を持っていければ、事の全容を把握できるようになる。


 そうなると、あまり気を重くせず⋯⋯普通に歓迎される方がいいのかもしれんな。


「よし2人とも、くれぐれも村の人達には粗相のないように頼むぞ。俺達は単なる旅人⋯⋯出過ぎたマネはするなよ。」


 そうこうしていると、俺達は知らず知らずのうちに、目的の家の扉の前へと辿り着いていた。


 この地域に詳しいと思われる村の人々とご対面するんだ。


 その対面で第一印象が最悪にならないよう、慎重に行動しなければならない、下手をすれば協力を拒まれるかも⋯⋯。

 無論、それはかなり困っちまう。


「もちろんです。」

「知れたことを。言われずともわかっておる⋯⋯。」


 俺自身にも含めて、しっかりと皆に釘を刺した。


 2人の返事を確認するや否や、奥には大勢の村人が居るであろう扉をゆっくりと開き始めた⋯⋯。



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