第14話◆2人組の対立
杏華と祐馬はグッズを買いに商店街へ来て、ゲームセンターで楽しんでいたが、祐馬は和也の異変に気づき、和也のことを心配していた。
祐馬の考えを見抜いた杏華もまた、和也の異変に気づいていて⋯⋯
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"商店街 ゲームセンター内部"
ナコがギャル達に絡まれている頃、杏華と祐馬は商店街へ来ている。
この商店街には色々な店があり、時間を潰そうとゲームセンターで遊んでいた。
商店街へ来た理由は1つ────6時に限定のグッズが販売されるからである。
杏華と祐馬はそのグッズ目当てで商店街へと足を運んでいた。
「ねぇねぇ!あそこのプリクラ!一緒に取らない?」
ゲームセンターの端にあるプリクラの台を指差す。
別に杏華は祐馬に対して恋愛感情は無いのだが⋯⋯。
────祐馬くんとのツーショット写真⋯⋯和也に見せたらどうなるかなぁ⋯⋯ふふっ!
そう、杏華は祐馬とのツーショットを取り、和也の気を引こうとしていた。
杏華と和也は両片思いであり、和也が杏華の事を好き、杏華が和也の事を好きということはお互いわからずにいる。
────これも彼女なりの仕返しのひとつなのだろう。
「プリクラかぁ⋯⋯俺はそういう柄じゃないが杏華ちゃんが撮りたいなら断れねぇな」
少々、乗り気ではない祐馬ではあったが女の子を悲しませるような事は、和也と同様に気をつけている。
祐馬自身、恋愛などには興味がなく杏華と2人きりでも何も思ったりはしなかった。
「じゃあ決まりだね!早く行こう行こう!」
祐馬のことはお構い無しに、祐馬の腕を引っ張りながらプリクラの台に歩み出す。
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「はい!ポーズ取って!!」
「こ、こうか?」
杏華の言うポーズというものがわからなくて困惑してしまう祐馬────杏華はそれを見て祐馬の手と足を動かす。
〜
「これでよし!」
そのポーズは女の子がやるような、両手の人差し指をほっぺに当てるというものだった。
祐馬にとってそれは恥ずかしいもので、どうにも納得が行かなかった。
「⋯⋯はい、チーズ!」
祐馬はそのポーズをした自分の姿に対して、赤面になりながらもカメラからは目線をズラすことはなかった。
〜
ある程度プリクラを取り終わった後、裏側で写真を確認していた杏華達。
────その写真には祐馬の情けない姿が写っていた。
「ぷっ!祐馬くんかわいい〜!」
そう笑いながらも杏華は、祐馬の顔へたくさんの可愛いパーツをつけようとしていた。
また、祐馬はそれを焦るように止める。
「ちょっと待て!俺には何にもしなくていい!自分の顔を飾り付けろ!」
止めようにも杏華は、その言葉を無視してドンドンと飾り付けをしていた。
〜
「⋯⋯これでよし!」
祐馬の顔は見違えるほどになり、猫耳など数え切れないほどの加工が施されていた。
それに比べ、杏華の方は全くと言っていいほど加工がされていなかった。
まさに天と地ほどの差⋯⋯だろうか。
「まぁ杏華ちゃんがそれでいいなら⋯⋯俺は構わないよ」
祐馬は、その写真をあまんじて受け入れる。
しかしやはり恥ずかしいのか、印刷するのを少しだけ躊躇っていた。
「それでこそ祐馬くん!じゃあ印刷しよ〜!」
ウキウキで写真が出る場所に向かう杏華だったが、その後ろで祐馬は、ふと思った和也のことを思い出す。
「あいつ⋯⋯今頃なにやってるんだろうな〜」
────祐馬は和也に話しかける時に警戒をされていたことは未だ覚えていた。
和也の身に何かあったのかと考えており、本人のことを過度にも心配していた。
和也のやつ、何か変だったような気もするが⋯⋯
いつものあいつはあんな高圧的な態度はしないはず────何かあったのか?
そう和也のことを考えていたがその空気を壊すように、杏華は印刷したプリクラを持って祐馬のことを呼ぶ杏華の声が聞こえる。
「すまんすまん、少し考え事をしててな」
杏華はその言葉を聞いて、何かを察したのか祐馬に問いかける。
「もしかして⋯⋯和也の事でしょ」
考えを見抜かれたことに驚いたのか、目を皿のようにしていた。
「よくわかったね、その通りだ。」
「5限目が終わった時に俺は和也に話しかけようとしたんだが、あいつは声をかける前に俺に反応したんだ」
アイツがあそこまで俺に警戒心を向ける⋯⋯そんなことは今までで1度も起こらなかった事だ。
「俺はあいつがあんなに高圧的な態度を取ることなんて見た事がなくてな、それが少し気がかりなんだ」
杏華も思う縁があるのか────和也に関して思っていたことを祐馬に伝える。
「実はね⋯⋯私も和也に少しだけ違和感を感じるの」
「和也がね、授業中に何も居ない所に話しかけたり自分のリュックに話しかけたりしてた」
「────やっぱり祐馬くんも⋯⋯?」
お互いに和也の異変に気づいていた、
杏華と祐馬は和也の事に関して、探りを入れようと話そうとしていた。
その異変を解明しようと──2人は動き出す。
その一方、和也達は⋯⋯
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"商店街 入口前"
「お主〜、はよぅするのじゃ」
ギャル達から解放されて15分ほど経過して、ナコと俺は商店街前へ来ていた。
全く、食べ物の事になると足が早くなるのは⋯⋯あいつの力なのか?
「そんなに走らなくても何も逃げたりしねーよ」
ナコは商店街へ早く入りたいのか、俺を置いて先走る。
「香ばしい匂いが待っておる!お主は少し遅すぎやせぬか?」
商店街には数々の飲食店の名店が並んでいる。
その匂いはこの俺も釣られるほどに香ばしい。
「確かにこの商店街には色んな店があるが⋯⋯言っておくが先に行くのは服屋だからな?」
その発言を聞いて、しかめづらになり俺に反発するナコ。
どうやら先に腹ごしらえをしたいらしい。
「何を言うておるのじゃ!このような香ばしい香りを捨ておけと言うのか!?」
「そういう事じゃない────その服装で商店街を歩くのは目立ちすぎるんだ」
ナコは1度自分の服を確認して、納得はしていないが確かにという表情をする。
仕方なく俺の言うことを聞くようにしてくれたようだ。
「少々納得は行かぬが⋯⋯仕方ないのぅ、じゃが着物をこうたら、妾に店屋を周らせるのじゃぞ!わかったな!」
「一応考えとくよ⋯⋯ほら、急がないと置いてくぞ?」
ナコと話していると、いつの間にかナコと俺のの立ち位置は入れ替わるようになっていた。
ナコはその状態に気づき、急いで走ってくる。
「いつの間に!?油断も隙もあらんやつじゃ⋯⋯」
微笑ましい会話を続けながら、2人は商店街の中へと入っていった。
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"洋服店、店内"
俺達は洋服店に入り、ナコの普段着を探した後、夏祭り用の浴衣を選んでいた。
「お〜い、お前はどれがいい?」
ナコは慣れない雰囲気に困惑しているのか、和也の手を握りしめて離そうとしない。
「っていつまで俺の手を握ってるんだよ」
相変わらず子供っぽいなぁ、だけどこっちの方が何かと人目もあまり集めないしいいんだが⋯⋯店内でやることではねぇよなぁ。
「わ、わらわの事は気にするでない──お主は存分に楽しんでおれ」
「お前の浴衣選びだぞ?お前の好みに合わせたものを選ぶんだからお前も手伝ってくれよ」
「妾は着物なぞなんでもよい!はよぅ選び、このヘンテコな場所から妾を連れ出すのじゃ」
連れ出すって⋯⋯確かにこの店は他の店とは違って雰囲気がまるで違うけど、でも別に怪しいとかそういう訳ではない。
────こいつは何が怖いんだ?
「う〜ん、じゃあお前は何色が好きなんだ?」
その問いに、ナコは周りに警戒をしながらも謙虚に答えてくれた。
「そうじゃな⋯⋯妾は純粋な神として称えられてきたゆえ、妾に相応しい純白がよいであろう」
「白か、お前の今来てる服と似た色でも良さそうだな」
白⋯⋯こいつのサイズで白い浴衣⋯⋯
こいつの身長は約俺の半分となると。
〜
「────これだ!」
俺はあらゆる浴衣の中から、白くてナコの巫女服に似た赤──全てがマッチしたものを見つける。
完璧な浴衣を見つけて、上機嫌になる俺だったがナコは相も変わらず、俺の手を握りしめていた。
「おい、こんなのでどうだ?」
────!!
この着物は⋯⋯!
俺はナコに着物を渡し、柄を見せさせる。
ナコは俺が選んだ着物に何かを感じたのか、心底着物に惹かれていた。
「お主、少々目が良いようじゃのう、妾ならばこの着物を満足に着こなせようぞ」
「気に入ってくれたようで何よりだ──どうだ、試着してくか?」
「大丈夫じゃ、大きさも妾と同じ、着心地はわからぬが⋯⋯満足いくものであろう」
ナコはこの浴衣は何か特別なものを感じているようだ。
そして浴衣を俺に渡して、再び手を握り出した。
自信を持って言うってことは、相当な代物だったようだな。
いっちょ神様の言葉ってのを信用してみるとするか。
「ん、それならよかったぜ──しかし普段着はどうする?このまま商店街に戻る訳には行かないんだが⋯⋯」
「案ずるでない、妾の術でなんとかしてやろう⋯⋯下手に着物を変えて嫌な思いをするよりはこちの方がずっとマシじゃ」
ナコは自分の服を決められずにいた、何度も俺に物を選ばせるが全ての答えはNO。
ラチがあかないと考えて浴衣を先に選んだのだが、普段着の方はほとんど諦めていた。
「それは助かるが、今日の授業中みたいにまた維持できなくなるとかにはならないのか?」
「着物を場に溶け込ませる程度の術ならば対して妖力も消耗せぬ、大丈夫じゃ」
「それならよかった、じゃあお待ちかねのお食事タイムと行きますか」
ナコは急に目を光らせて俺のことを急かすように歩みさせようとする。
「────!!そうじゃった!ほれお主、急ぐのじゃ!」
「そうはしゃぐな⋯⋯先に会計を済ませないとダメなんだよ」
「なんじゃ全く⋯⋯こちらの世界は不便じゃのう」
逆にあっちの世界はどんな商売やってんだ?そもそも金という概念がないのか?
まぁこいつが食べてるうちに聞き出すとするか⋯⋯機嫌が良くなるとなんでも喋ってくれるしな。
そう企んでいると俺はレジの目の前についていた。
持っていた浴衣をレジに置く。
────お会計26750円になります。
!?
子供の浴衣なのに大人用と値段が変わらないだと!?
値段を見ていなかった⋯⋯トホホ
提示された値段に驚くも、店員にその驚きがバレないようにすぐに冷静に戻り、お金を渡す。
「26750円、丁度お預かりします」
────そういい、浴衣を畳みながら店員は俺に話しかけてきた。
「お客さん、お目が高いですねぇ」
急に声をかけられて少々ビックリしたが、確かにお目が高いと言われればその通りではある。
子供用で2万もする浴衣を買えばそう言われても仕方が無いだろう。
「ははは、ありがとうございます」
「実はこの浴衣、最近仕入れてきたばっかなんですよ〜」
「お値段がここまで高いのは、何か裏の話があるとか⋯⋯私も詳しくは分かりませんが悪い品ではないのは確かです!」
「へぇ〜そうなんですね、この子がどうしてもこれがいいって言うものなんで仕方なく⋯⋯」
その言葉に反応して、ナコは俺の方へ向いた。
特に何も言わず、少し不機嫌そうな目で俺のことを見ているが⋯⋯。
俺の発言を聞いて、店員はナコへと視線を向ける。
「お嬢ちゃん、なかなかいい目してるね〜これは将来有望かな〜?」
ナコはその店員に見られていることに気づき、俺の後ろに隠れる。
後ろに隠れるとは可愛いな⋯⋯だけど人とはあまり接したくないのだろう。
この世界に少しでも慣れさせていかないとな。
「すみません⋯⋯この子少し怖がりなので⋯⋯」
「いえいえ〜、こちらこそ怖がらせて申し訳ないです────はい!こちら商品になります〜」
そういい、店員は浴衣を畳み入れた袋を俺に渡す。
それを片方の手で手に取り、もう片方の手はナコの手を握っていた。
「ありがとうございました〜」
店員の声を聞き、店を出た俺たち、それと同時にナコは急に和也に対して怒り出した。
「お主!妾が欲しいと言うたのではないぞ!妾はあくまでこれで良いと言っただけじゃ!」
「すまんすまん、わかってるよ」
「全く⋯⋯お主はすぐ虚言をつきおる────むっ⋯⋯」
なにかに目をつけたのか、それと同時に俺の手を離して、そのまま別の店へ走っていった。
「おい!走るな!危ないぞ?」
急いで追いかけておいつくも、ナコは目の前の食べ物に目がくらみ、俺の忠告は聞こえてないようだった。
「はぁ⋯⋯おばちゃん、このお寿司3つほど頼む!」
少々ナコに呆れてはいながらも、微笑みながら俺はお寿司のパックを買った。
「はいよ!ちょっと待ってね〜」
その様子を見ていたナコは少し頬を赤らめていた。
なんでこいつ赤くなってんだ?
よく分からんやつだな。
〜
「はいお寿司3パック、そこの娘ちゃん可愛いから少しサービスしといたよ」
そう言われ袋の中を見ると、1パックほど寿司が増えていた。
「おばちゃん、わざわざサンキューな!」
俺は寿司屋のおばちゃんに感謝をして、袋から1つ取り出し、ナコに渡す。
「高橋くんがこんな可愛い子連れてきちゃうなんて思いもしなくてね〜気にしなくていいわよ!」
⋯⋯妖術のおかげだろうか、おばちゃんはナコのことを何も違和感を感じないかのように見ているようだ。
「────じゃあ俺たちはこれで!また来るよ」
そういい、おばちゃんに背中を向けながら手を振り、商店街のベンチに向かった。
「待ってるよ〜」
〜
全く⋯⋯こいつは座るまで食べることを我慢できないのか?
歩きながら食べるなんて行儀が悪い。
「おいおい、座る場所はすぐそこだからそう焦って食うなよ」
「やかましいわ、妾の食欲は誰にも負けぬ故じゃ。こんな美味なものを目の前に我慢ができるわけがないじゃろ」
そう話しながらも、ベンチに着き座る2人。
ナコは相変わらず寿司にがっついていた。
そこで俺は少し口を挟む。
「ふっ、案外楽しいもんだな」
その言葉に反応して、食べるのを中断してぼんやりな表情をして返事をした。
「何が言いたいのじゃ?」
「いやな、お前と出会ってから結構経つがここまで楽しいものとは思ってもいなかったんだよ」
「なるほどのぅ、妾も同じじゃ、今こうしてお主と話せている時間も妾にとっては幸せなものじゃろうて」
ナコのらしくない返事に対して、俺は少しだけ笑ってしまった。
「ふふ、お前らしくもねぇな」
ナコは自分が言った言葉の意味を、遅くも理解する。
それと同時に顔を赤らめて俺に詰め寄る。
「今のはなしじゃ!忘れるのじゃあ!」
「ぷっ!絶対やだね!」
俺はからかうように笑い、ナコは赤く恥ずかしがっていた。
俺らは心底この時間を楽しんでいたが、その2人を見つける人物も、そこにはいた。
────あれ、もしかして和也じゃない?
そう、杏華と祐馬だった。
2人は先程、和也の異変について話をしていた。
⋯⋯杏華と祐馬は和也のことを見つけたはいいが、隣の女の子のことは知らない。
2人はその女の子をかなり怪しむのだった────
第14話、お読みいただき誠にありがとうございます!
商店街はかなり広く、色んなところにベンチが置いてある感じです!
杏華と祐馬は心底仲の良い友達⋯⋯です。
祐馬と杏華はふたりとも、共に恋愛感情を抱いてはいない。そんな状況です。
そこで2人は和也と一緒の謎の女の子を見つける。
修羅場になりそうですね。
次回はこの4人がどう動いていくか、そこが描かれます!




