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いつしか

作者: タマネギ

一段と寒いらしい。

長袖が無いなぁと、

タンスの抽斗を開けて

覗き込んで、閉める。


衣替えなどしていない。

年中、半袖と長袖が

折り重なっている。

だけど、長袖が無い。


いつもあるのに、

肝心な時に無いことは

よくあるように思う。

気のせいだろうか。


部屋の中から、

雨上がりの外を眺める。

杏の枝の枯れ葉が

小刻みに揺れている。


急な冷たい風に、

草木はさぞかし驚いて、

そうだ、冬の用意だと、

慌てているようだ。


いや、そう感じるのは

人間のほうだけで、

目にするすべてのものは、

知っているんだろう。


もう決まっている未来と、

まだ変えられる未来と、

今、どう迎えるべきかを

知っているんだろう。


出かけられなくて、

ずっと会えなくて、

出かけられるけれど、

それでも会えなくて。


今と未来、過去と今、

長袖のことくらい、

できる人でなければ

いけなかったのかな。


肝心な時に無いことは、

これからもあるだろう。

このまま冬に向うなら、

そうはなりたくない。


何年か前に消滅した

ラプラスの悪魔を

いつしか呼んでいた。

心の中を歩みながらも。

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