表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

前日譚

仕事と家庭。


社会人既婚者ならだれしもが両立しなければならない二大巨頭。


家庭を理由にして仕事に滞りが出ることなど許されない。だが仕事に打ち込みすぎて家庭をないがしろにすれば、家は休息のオアシスではなくなる。


故に、いかに家庭を円満に保ちつつ、仕事に昇華できるかが重要になってくる。


時にはるか昔。住んでいた世界なんかも変わってしまうほどの昔。


彼はしがないサラリーマンだった。結婚するような相手はいなけりゃ、彼女でさえもいない。仕事一辺倒の男だったかもしれない。


まだ20代後半くらいのアラサーだったが、さすがに彼女でさえもいないのは今後まずいと思いつつも、まだ焦るような時期でもないか、とお気楽に考えていた。


自分の享年がすぐそこに迫っていることも知らずに。


もちろん結婚願望がないわけじゃなかった。子供だって欲しいなと思っていた。だからこそ死ぬ間際に、生まれ変わったら次こそはちゃんと結婚したいなぁ…とか、親に孫の顔を見せてあげれなかったな…とか後悔したらしい。


後悔が人生の幕を引き、そして第二生が訪れる。


その世界は、元々彼がいた世界とは一切異なるファンタジーの世界だ。


彼はいわばオタクの人間だったからね。夢の世界に来たみたいだったと言っていたよ。そしてその興味や関心をすべて力に変えて、彼は頑張った。


人間本気で頑張ってる人ほど自分の努力など省みず、頑張ったことにさえ気付かないもんだが、彼もそうだった。


時にふと自分の人生を振り返って、今思えば頑張ったなぁ…って考えたりはしてたかもだけど。


まぁ紆余曲折を経て、「騎士」というそれなりの立場と自慢の嫁と子供たちに恵まれた。


え? 紆余曲折で済ますなって? いいよ別に。他人のサクセスストーリーなんか聞いたって大して面白くないだろう?


過去は過去でいい。だから今の彼の話を聞いてあげてくれないか。


結局、彼は前世での後悔をすべて晴らす形で幸せを掴んだ。でもね、最初の話に戻るけど、夢と魔法の世界だって、仕事はあるし、家庭を持てば円満に保たなければならない。そんなリアルなところは変わらないんだよ。


もちろんその世界での既婚者が彼だけなわけがない。すべての母親、父親にとってそれは平等に降りかかる。


騎士だって家に帰れば親の顔をしなきゃいけない。それは彼だけが背負ったものなんかじゃないさ。


騎士である前に親であれ。


騎士である前に親ならば、国民よりも前に家族を守れ。


そんな言葉が飛び交っていたね。


社会人として仕事と戦い、騎士として正義を守るために悪と戦い、そして親として家庭の崩壊させないために時間や自分の体力と戦う。


戦ってばかりだね彼らは。


彼、そして彼らの前には幾重もの敵が立ちはだかるだろう。日々襲い来る敵と彼らは戦い続ける。


これは騎士であり、親である。そんな者たちの話だ。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ