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砂漠の神殿

一行は次の街に行く為の装備を整えることにした。

「これから先は砂漠の旅だ。しっかり支度を整えないと皆干からびてミイラになっちまうからな。少々高くついても若くて元気なラクダを買うとしよう」

ロイはそう言うと、まずは今まで乗ってきた馬を売ってラクダ商人のもとをたずねた。


「おや?久しぶりですねぇロイの旦那!」

商人は揉み手しながらこちらに近づいてきた。

「また世話になるよ。あんたのところのラクダなら間違いないからな」

「ええ、うちのラクダはみんな元気で若いやつばかりです。よく見てお気に入りを選んでください」

ロイは自分のラクダを選ぶようリン達に言った。

テレサはウキウキしながらラクダの真っ黒い瞳をのぞきこみ、クリーム色の可愛らしいラクダを選んだ。

「この子にするわ!とってもかわいい顔してる。リンは決まった?」

リンはラクダの群れから離れ、一頭だけで静かに佇んでいるラクダの前に立っていた。

そのラクダは片目に大きく刀傷があり、一つの目だけでじっとリンを見ている。

「僕、コイツにするよ」


「リン、その子はやめたほうがいいわ」


「どうして?」


「だってその子…ちょっとケガしてるもの」

「ケガ?どこをケガしてるのみせてごらん」

リンがそういうと、そのラクダはリンが伸ばした手に顔を近づけた。


リンはラクダの大きな顔をなでまわし、目の大きな傷を見つけた。

「そうか…おまえ僕と同じだな。どこでケガしたの?」

ラクダはじっとリンに頭を預けたままだ。

「リン、そのラクダなんて言ってるの?」


「…早く旅立たないと暫くこの街から出られなくなるって言ってる」


「それはどうして?」


「…砂嵐が来るって!ロイに教えた方がいいな。テレサ、セオドアにも早くラクダを決めるよう言ってきて!僕はコイツに決めたから」


「わかったわ!ロイにも言ってくる」

テレサは一目散に走りだした。

リンはこのラクダにダンと名付け、その背中に乗った。


「ダン、これからは僕の相棒だ。よろしく頼むよ」

セオドアが大きなラクダに乗ってリンの方に向かってきた。

「リン 、砂嵐が来るっていうのは本当か!」


リンはうなずき、ダンの首をポンポン叩いた。

「本当です。ダンがそう言ってます!」


セオドアはニヤリと笑い

「そうか…やはりお前は只者ではないな」とつぶやいた。

ロイは早速支払いを済ませ、オアシスラグマダーンに向かい出発した。

「みんなしっかり俺の後について来いよ。セオドア、一番後ろで子供達を見ててくれ!」セオドアは了解の合図に剣をブンブン振り上げた。

砂漠の日差しは容赦なくリンの小さな体に降り注ぐ。

髪はターバンで覆っているがすでにジャリジャリになってしまった。

テレサは余りの暑さに耐えきれず、何度も水の入った革袋に口を当てゴクゴクと喉を鳴らして飲んでいた。


「テレサ、まだまだ先は長い、水は大切にしろよ」

セオドアがそう注意したがテレサはプリプリ怒って

「そんなこと言ったって、飲まなきゃ死んじゃうわよ!ああもう、早くオアシスに着かないかしら〜」

とぼやいている。

その時、どこまでも続く砂漠の向こうに、何か岩場のようなものが見えてきた。

「リン!あれはなに?」


リンは意識を集中させ、気配を読み取った。

「どうやら昔の神殿の跡らしいね。ここら辺は何百年も前は街があったみたいだ」

ロイは大きな声で叫んだ。

「ヨーシ!今日はここで夜明かしだ」

一行はラクダから降りてキャンプを張る準備を整えた。砂漠の夜は、昼間の暑さが嘘のように冷え込む。リン達は毛布を羽織り近くに燃やせるものが落ちていないか探す為、神殿の中を探索した。

神殿の外側は傷みが激しく、がらんどうだが地下に続く通路はしっかりと残っており、宗教的な装飾があちこちに施してあった。

「燃やせるものなんてな〜んにもないわねぇ?あら、ここに小さな扉があるわよ。何かしら?」

テレサはその小さな扉を開けて、中をのぞきこんだ。

扉の向こうは子供が一人腹ばいでやっと通れるくらいの穴がずっと奥まで伸びていた。

テレサはヨイショッと穴に体を入れて、中の様子を探っていた。


1メートルほど進んだところでテレサはドスン!と溝に落ちてしまった。

「キャア!リン!リン!助けて〜」

リンは驚いて声のする方に近づいて行った。

「テレサ…一体どうしたの!?」


「イタタタ…。リン、ロイかセオドアを呼んで来て!私、細い穴に落ちちゃったみたい」

「ええ!?またなんでそんなところに潜りこんだんだい?仕方ないなぁ。ちょっと待ってて!」

リンは通路の壁をつたいながらセオドアとロイを大きな声で呼んだ。

「ロイさ〜ん!セオドアさ〜ん!テレサが穴に落ちたんだ。助けに来て!」

その時、神殿の奥深くから

「オオーン!オオーン!」と、何か生き物の鳴き声が響いてきた。

「な、なんだ!?何かいるのか?」

リンは周りの気配を全身で感じ取ろうと、息をこらした。

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