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剣士セオドア

競りは中々決着がつかず、金額はどんどん上がっていった。

「1600バレン!」

「1800!」

会場の人々からオオッと感嘆の声があがった。

「ねぇリン、ロイったらこのままじゃ全財産使っちゃいそうよ!心配だわ…声かけてきましょうよ」

テレサはそう言うと、リンの手を引っ張り人混みをかきわけロイのそばに行った。

「ロイさん、ロイさんたら!」

テレサはロイの服を引っ張った。

「アッ!お前達、あれほど部屋にいろと言ったのにダメじゃないか。この辺は物騒だっていうのにまったくもぅ…仕方ない、今はそれどころじゃないからな。絶対アイツを競り落としてやる。見てろよ!」

ロイは引き下がる気は全くないようだ。

テレサはロイに忠告した。

「ロイさんたら!相手を見たの?あの錫杖…かなり身分の高い貴族よ。きっと凄い値段になるわ…大丈夫なの?」

ロイは舞台にいるスラリと背の高い、巨大な剣を背負っている男を指差した。

「あの剣を見ろ!あの剣はジャガル族が作ったものだ。あの剣はただの剣じゃないぞ!ジャガル族が最高の剣士と認めた者にしか渡さない幻の剣なんだ。あの男ならバラカン公爵はいくらでも金を出す!絶対に損はないさ」

リンとテレサは舞台にいる男を改めて見た。銀の髪をたなびかせ、緑色の瞳で今の状況をまるで楽しんでいるかのように微笑んでいた。

またむこうの貴族が手を挙げて

「2000バレン!」と声をあげた。

ロイはニヤリと笑い

「フフッやるじゃないか!だが、このロイ様もまだまだいけますよ」

「2200バレン!」

その時、舞台の男が口を開いた。

「そこまでにしておけ!俺は貴族は好かん。よってその商人の世話になろう」

その言葉に会場は騒然とした。

ロイは飛び上がらんばかりの喜びようだ。

リンとテレサはエエッ!?と声をあげた。

「ちょっと〜。まずいんじゃないの?貴族がキライッて言ったって、ロイが売ろうと思ってる相手だって貴族じゃないさ!」

ロイはテレサにシィッと口止めすると

「大丈夫だ、貴族には売らん!王族に売ることにするよ」

と囁いた。

「そんなのあり〜?」

テレサは思わず叫んだ。

男は舞台から降りてロイの前に立った。

「いやぁ。近くでみると、また一段と大きく見えるなぁ。うん!立派な体格だ。俺は奴隷商人のロイだ。あんた名は?」

「俺はセオドアだ。見ての通り剣術使いでね。あんたはマッドコロシアムに出場させる為に俺を買ったんだろう?フフッ正直に話していいんだぜ。おれは元々そのつもりでいるんだからな」


ロイはニヤリと笑い

「それなら話しは早い!もちろんマッドコロシアムに出る戦士を探していたよ。だが俺はあくまでも商人だ。だからあんたをだれか立派な人に買い取ってもらうことにするよ。貴族が嫌ならどこにする?希望はあるかい?」とたずねた。

男はコクリとうなずき

「サルサラーン国のユーリのところに世話してくれ」

ロイは目を見開き

「ユーリ女王のところとな?あんたあの方の知り合いなのかい?」

とたずねた。

「まあな…古い知り合いだ」

ロイは顎髭を撫でながらしばらく考えこんだ。

「フム、まあいいだろう。あの国は小さな国だが中々豊かだ。あんたと知り合いならば尚更、金に糸目はつけまいよ」

セオドアはロイの後ろに隠れるようにしている二人の子供に目をやった。

「この子供たちは戦災孤児でな。どこかしっかりしたとこに縁付けてやるつもりなんだ。こっちはテレサ、そしてリンだ。よろしく頼む」

セオドアはしゃがみこむと二人の頭をクシャクシャと撫でた。

「よろしくな。しばらく世話になるぜ!ん?坊主は目が見えんのか?」

テレサはうなずいた。

「戦争でやられちゃったのよ。ね?リン」


セオドアは深くため息をつくと

「全く子供になんてことしやがる!こんな世の中間違ってるぜ。痛みはないのか?」

リンはうなずいた。

「もう大丈夫です」

セオドアは目を細め不思議そうにリンを見た。

「坊主は不思議な雰囲気を持ってるな…なんていうか…そう!周りから色んな気配がしてくるぜ。俺の戦士としての本能なのか、そういうものに敏感でな」リンはセオドアの言葉に身を硬くした。


リンの態度を見てセオドアは何か感じたらしく優しく声をかけた。

「いいか坊主、お前はどうやらその力を邪魔なものと感じてるようだ。それは何故かわかるか?」

リンは首を横に振った。

「それはな、まだお前がその力をどう使ったらいいか解らないからだ。とにかくその力はお前にとって強みだぞ!せっかく授かった力だ。きちんと操れるようになって自分の武器にしろ」

リンはハッとした。

そうだ…僕はずっとこの力を嫌がってた。

強み…自分の武器にする!できるだろうか僕に…。

いや、やってみよう!怖がってばかりもいられない。

「ありがとうセオドアさん。僕やってみます!」

リンの顔は明るく輝いていた。

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