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星の船Ⅳ

アンジェラは幕からのぞく小さな手を目ざとく見つけて声をかけた。


「あら、いらっしゃいお嬢ちゃん。怖がらないでこっちにいらっしゃいな」


小さな手はビクッと一瞬動きを止め、慌てたように引っ込んでしまった。


アンジェラは苦笑しながら幕をめくりあげ、アニータ一行を大歓迎で華舟に招き入れた。

レオは女達の焚き染めた香にむせながらもその柔らかい真っ白い肌に目をチカチカさせている。

アビゲイルはそんな女達にも怯む様子はなく、慣れた様子で女達がなすがままに酒を注がれてご満悦の様子だ。

アニータはアンジェラの横で女達が舞う様子を食い入るように見つめていた。


「お嬢ちゃん、あんたも踊ってみるかい?」

「えっ!?いいんですか?」


「ああ、いいとも!最初あんたを見た時から気になってたんだよ。あんた…月の城に行く気だね?」


「ど、どうして分かったんですか?」


「私だって元は月の城の舞姫だもの…それぐらいは分かるわよ。でもね、あそこはアンタが思ってるほど甘い所じゃないわよ。よほど見込みがなけりゃあ城に入ることもできないさ。だから私が見てやるよアンタの適性をね!どうだい、やってみるかい?」


アンジェラの目が細く光った。


「…やります!やらせてください!」


アンジェラはパンパンと手を叩き、踊り子を呼んだ。


「ルビー!ちょっと来てちょうだい。この子が踊るから衣装を着せてやって」


ルビーは優しくアニータの手をとると、ニッコリ笑って「おいで!可愛くしてあげる」と嬉しそうに奥の部屋に連れていった。


レオはブドウ酒ですっかり酔ってしまい、へべれけになりながらアビゲイルのところに這っていった。


「ウイッ!ヒック…ア…アビゲイル…テレサは?テレサはどこ行った?」


アビゲイルはニヤニヤしながらレオの頭をポカリと叩いた。


「お前はそんなこと気にしなくていいんだよ!いいから大人しくおねんねしてな」


「あ…あんだとぅ!ウイッ…ズゴッ…スピー…スピー…」


「アラアラ、カワイ〜イ!」


女達は眠りこけているレオにキスを浴びせ、毛布をかけてやった。

アビゲイルはアンジェラの方に向き直り、ブドウ酒を一気に飲み干すと「ナスターシャってセオドアのこれ?」と小指を立てた。


アンジェラは意味深に微笑み、「さてね…それはセオドア様本人にお聞きしてみないと」とはぐらかした。


「でもさ、そのナスターシャさんってセオドア兄貴が来るの知ってたみたいじゃない?なんで?」


「ナスターシャには未来が見えるんですよ。実はセオドア様の舟が来るのを3日前からお待ち申しておりました」


「マ…マジで!?」


「ええ、ナスターシャは昔セオドア様に命を救って頂いたんです。ナスターシャは私にこう申しておりました。今度は私がセオドア様をお守りする番だ…と」


アビゲイルはゴクリと唾を飲みこんだ。


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