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人で無しの国Ⅶ

巨神像の中でその一部始終を眺めていた男はチッと舌打ちしてボソリと呟いた。



「もう少しで上手くいくところだったのに…とんだ邪魔が入ったな。こうなったらドサクサに紛れて女を頂きに行くか」



その男は巨神像の中からスッと抜け出して横たわるテレサを担ぎ上げた。



「ん…んん…ここは?あなたは…誰?」



男は慌てて巨神像の中に隠れた。



「な、なんだ気が付いたのか?バジャの奴め薬をけちりやがったな」



テレサはまだボーッとした頭でフラフラと立ち上がった。



「私…私帰らなきゃ…みんな心配してるわ」


その男は覗き窓から外の地獄絵図をテレサに見せた。



「この中をどうやって帰るんだよ、え?」



テレサは目を見開いてその光景を見た。



「キャアア!!どうして?あれは…あれはリンなの?なんでこんなことに…」



男はフフンと嘲笑った。



「あいつ、精霊使いなんだな。バカな奴!暴走しやがって…」



「止めなきゃ…リンを止めなくちゃ!」



出て行こうとするテレサの手首を男はギュッと握って離さない。

もがくテレサを抱き締めてその唇を自分の唇でふさいだ。



「ん…や…止めて何するのよ!」



「あんたじゃ無理だ。アイツは今、理性を無くして人間じゃ無くなってる」



「じゃあどうしろって言うの!?ただ見てろとでも?」



「俺が行く」



「…え?」



「俺ならアイツを止められる」



「なんですって?あなたが?」



男はうなずいた。



「だが、ただじゃダメだ。俺はあんたを気にいった。俺に抱かれる覚悟があるか?それが条件だ」


テレサは絶句してその男を凝視した。



男はニヤリと不敵な笑みを浮かべ「サァどうする?」と聞いてきた。



「あんた…一体何者?」



「俺か?俺はアビゲイル、サラマンダーの主だ」



「あ…あんたも精霊使い?」



「そうさ、だがアイツみたいにちゃちな精霊使いじゃない!それはこれから分かること…今からお前を抱く、奴を鎮めるのはそれからだ」



「どうして今なの!?そんなの後からでいいでしょ?早くリンを止めてよ!じゃないとみんな…みんな殺されちゃうわ!」



アビゲイルは小さくため息をついた。



「変身するには女が必要なんだよ!俺にはな…きっとアイツにも変身するキーパーソンがあるはずだ」



「キーパーソン?」



「ああ、それが分かればコントロール出来るようになる。俺みたいに」



アビゲイルはテレサを抱き上げ、巨神像の中の階段を上がって行った。


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