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船出

グレンは吐き捨てるように「綺麗ごとを言うな!」と怒鳴った。



剣が激しくぶつかりあうたびに火花が散る。


「それならお前は殺されそうになってもハイどうぞと言って身を投げ出すのか?違うだろう、違うからこそ剣を抜いたのさ!」



グレンの気迫に負けじとセオドアも荒い息をしながらも言い返した。



「グレン、力で支配するものはまた力で征服されるのが定めなのだ!今にきっとそれが分かる!」



テレサは二人の戦いに気をとられているレオの腕を掴んだ。



「何をグズグズしてるのよ!?早く船団をバラバラにしなきゃ!」


レオはハッとしてリンの方を向いた。



「リン!俺の今の力じゃどうにもならない。お前の力でなんとかしてくれ!」



リンは難しい顔でうなずいた。



「分かりました。やってみます!」



リンは胸に手をあてて叫んだ。



「出でよ!砂の精霊ラシード、船を遠くに飛ばしてくれ」



ゴオオオオ!!



遠くから物凄い号音が近付いてくる。

見張りの兵士が怯えた顔で甲板から慌てて駆け降りてきた。



「た…大変です!浜辺の方から巨大な竜巻が砂煙をあげて近付いています。このままだと転覆の恐れが!」



ユーリはその報告を受けてすぐに命令を下した。



「船と船をしっかりと繋ぎ止めるのよ!すぐに各船に伝えなさい!」



兵士は慌てて甲板に上がり、すぐにまた引き返してきた。



「船をつなぐ鎖が…鎖が総て断ち切られてます!もうすでに前方の船は離散してしまいました!」



レオはくたびれた様子の玄武を撫でた。

「でかした玄武!」



ユーリは急いで甲板に上がった。



まるで陸地のようにビッシリと海を埋め尽くしていた船団がすでにちらほらと数えるくらいしか残っていなかった。



「フフッ…やられたわね」



ユーリはその光景を見て、いっそ清々しい気持ちになった。



「また最初からやり直しだわね」



ユーリは目の前の戦いに夢中の二人に向かってパンパンと手を叩き「もうおしまいよ二人共!」と戦い終了を宣言した。



「グレン、私達の負け。外をご覧なさい」



グレンは急いで甲板に上がり、その光景を目にして息をのんだ。



「船が…船がない!どこだ、どこにやった!?」



狼狽えるグレンにユーリはゆっくりと言い聞かせた。



「グレン…船団は漂流して行ったわ」



「そ…そんな!」



「もし船が散り散りになったとしても愛国心や忠誠心があればみんなお前のところに帰ってくるさ。しかし、ただ力で抑えつけていただけならきっと彼らは帰って来ない。グレンそうだろ?」



ガックリと肩を落としたグレンをユーリが優しく抱き締めた。



「ええセオドアあなたの言う通りだわ。私達はここで皆が帰ってくるのを待つ事にする。そしてその家臣達ともう一度理想の国家を創るわ!」



グレンは顔をあげてユーリに微笑みかけた。


「そうだな。もう一度やり直しだ!ルシン、今回は俺の負けだ。この船はお前達にやろう。だが、今度会う時は必ず勝ってみせる!」


セオドアは嬉しそうにうなずいた。



「ああ、楽しみにしてるぜ!」



グレンとユーリそして残りの兵士達は近くの船に移って行った。



「さて!これからどうする?」



テレサが嬉しそうに言った。



「みんなで旅をしましょうよ。リンは精霊使いとして修行しなくちゃだし、レオだって同じでしょ?セオドアも色んな国を回って剣豪達と腕比べしたいだろうし、私は…幸せを探すわ!私にとっての幸せを探す」



新しい船出を祝うように青龍が高らかに鳴き声をあげた。


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