青龍を捕まえろ!Ⅴ
よく見ると、それは青銀色の鱗をもつ美しい龍であった。
「トカゲ…じゃないわね、紛れもなくこれが青龍よ!それにしてもどうしてこんなに小さいの?トカゲどころかミミズにしか見えないわよ」
セオドアは笑いたいのをぐっとこらえて「どうやら青龍はお前が主と決めたみたいだな…ププッ…」と微妙な顔のレオを覗き見た。
「いま笑ったろ? 」
「…ププッ笑ってないよ。いやぁ聖獣を二匹も従えて凄いなぁって感心してただけさ」
レオはジットリした目でセオドアを睨み付けた。
「フンッ、まぁいいさ。目的は叶ったんだ。さぁ次はどうする?」
「次なんてないさ!お前達はここで死ぬのさ。ルシン、馬鹿なやつめ俺がお前の魂胆に気付かないとでも思ったか?」
声の方を振り返ると、柱の陰でグレンがニヤリと不敵に笑っていた。
後ろには弓矢をつがえた兵士達が一斉にレオ達の方に的を絞っている。
「…いや、わかっていたさ。お前は俺を殺したいほど憎んでる。ユーリを愛するようになってずっとこのチャンスをうかがっていたんだからな。だがな、俺も黙ってお前に殺られるつもりはない!お前達の大事な守り神である青龍はこのレオを主に選んだ。さぁレオ!青龍に命令を!」
レオは手のひらに青龍を乗せると、大声で叫んだ。
「雷を司る東の聖獣青龍よ!今こそ封印を解き放ち嵐を巻き起こせ!」
青龍はぐっと身を引き起こし唸り声を上げた。すると、ピカリと一瞬静電気のようなものが起こりレオの前髪を揺らすていどのつむじ風が吹いた。
シーンと静まりかえる中、青龍はレオの掌の上でモジモジとぐろを巻いて眠ってしまった。
「…あれ?これでおしまい?そんな〜!」
兵士たちからは大爆笑が起こった。
「ククク可哀想な青龍!なぜよりによってこんな奴を主に選んだ?」
セオドアはグレンの前に歩み寄った。
「そりゃあ無理矢理封印するような呪術使いより、正統な聖獣使いの方がいいに決まってるだろ!」
グレンの目が妖しく光った。
「ユーリにしてもそうだろう?無理矢理閉じ込めて側においておけばそれで満足か?」
その時、正面の扉を開いてユーリが入ってきた。
「ルシン!それは違うわ。私はね、嫌々グレンといるんじゃないの。グレンは父上の築いたリンデンハイムを立派に護り、大きくしたわ!あなたみたいな自分勝手な風来坊じゃないの!私はね…私は自分の意志でここにいるのよ」
セオドアはユーリの意志の強そうなツンと上を向いた可愛らしい唇を見て、正直負けたと思った。
間違いなくユーリは自分に恋をしている、だけど彼女は恋だけじゃ生きていけないこともよくわかっている大人の女なのだ。
「…そうかそれなら仕方ないな。だがな、やっぱり俺は力だけで征服していくようなやり方は納得出来ない!奴隷達をこんなふうに使い捨てにするやり方は特にな!」
セオドアとグレンは剣を抜き睨み合った。




